4月から多子世帯の大学無償化がスタートしますが、世帯年収2000万円以上のわが家も対象になりますか?

配信日: 2025.04.21

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4月から多子世帯の大学無償化がスタートしますが、世帯年収2000万円以上のわが家も対象になりますか?
2025年度から、給付型奨学金と授業料等減免がセットになっている高等教育の修学支援新制度が拡充され、学部生対象の「多子世帯の大学等の授業料等無償化」が開始されます。
 
生計維持者が子どもを3人以上同時に扶養している間、所得制限なく、国が定める一定の額まで大学等の授業料および入学金が減免されることになりました。制度の概要と申し込み方法を解説します。
新美昌也

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

高等教育の修学支援新制度の拡充

給付奨学金と授業料等減免がセットになっている高等教育の修学支援新制度は、2020年度にスタートしました。学力基準と家計基準(所得と資産)を満たした学生が対象です。
 
また、一定の要件を満たしていることを国等が確認した大学、短期大学、高等専門学校(4年・5年)、専門学校に通う学生が対象です。大学院生は対象外です。2025年2月19日時点で、大学・短期大学の94.9%、高等専門学校の98.2%、専門学校の78.5%が確認を受けています。
 
当初、「住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯(給与所得者の場合、世帯の年収380万円以下程度)」が対象でしたが、2024年度からは、世帯の年収600万円以下程度の中間層まで対象が拡大し、多子世帯の学生や私立理工農系の学生に対して支援が行われるようになりました。
 
2025年度からは、多子世帯の授業料等が所得制限なく無償化されることになりました。
 

多子世帯の授業料等無償化の内容

2025年度から 高等教育修学支援制度の支援が拡充され、日本学生支援機構(以下、「JASSO」)から「多子世帯」の認定を受けた学生等は、所得の制限なく、入学料および授業料が減免されます。所得制限はありませんが、資産基準(学生と生計維持者(原則父母)への資産の合計額が3億円未満)および学力基準に基づく審査があります。
 
なお、JASSOの給付奨学金の学力基準は従来どおりですが、2025年度より給付奨学金の支援を受ける場合、資産基準は5000万円未満に変更になりました。
 
これにより、多子世帯の子どもが経済的理由により大学等への進学を諦めるハードルが低くなりました。ただし、多子世帯の給付奨学金は従来どおりです。世帯の年収600万円程度以下が対象で、所得に応じた金額が支給されます。
 
無償化で全額支援といっても支援金額には上限があり、通う学校により異なります。たとえば、国公立大の場合は入学金28万円、授業料54万円、私立大の場合は入学金26万円、授業料70万円が減免の上限額です。
 

扶養する子どもが3人以上の世帯が対象

多子世帯とは、3人以上の子どもを同時に扶養(経済的に支援)している世帯を指します。3人以上同時に扶養されていても、申込者本人が扶養されていない場合は支援対象になりません。
 
扶養する子どもの数は、原則として申請時点で確定している直近の年末時点の住民税情報に基づいてJASSOが確認をします。具体的には、2025年春の在学採用で申請する場合は2023年12月31日の住民税情報、2025年秋に申請する場合は2024年12月31日における住民税情報で審査されます。
 
2025年春の在学採用で申請する場合、2023年12月31日時点で、1人が社会人になり扶養を外れている場合は多子世帯にはなりませんが、2024年4月に社会人になり扶養を外れても2025年春の在学採用では多子世帯になります。
 
2024年1月1日~2025年3月31日に新たに生まれた生計維持者の実子は、子どもの数に加えられますので該当する場合は大学に申告しましょう。
 
ただし、扶養親族であっても以下の方は対象外です。

・配偶者
 
・尊属の人(申込者の祖父母)
 
・生計維持者よりも年長の人(申込者の父または母が扶養している父または母の兄・姉等)

申し込み方法

申し込み方法には、高校3年次に申し込む「予約採用」と、大学等へ進学後に申し込む「在学採用」の2種類があります。多子世帯の授業料等無償化の開始年度である令和7年度は、「在学採用」のみの申し込みとなります。
 
大学等へ入学後に申請手続きを行うことから、入学手続き時にはいったん入学金・授業料を全額学校へ納付し、後日、当該学校から支援額が返還される場合もあります。ただし、2024年度以前入学者が納付した入学金は、さかのぼって減免されませんのでご注意ください。
 
なお、2026年度進学予定の高校3年生が多子世帯の支援を申し込む場合は、2025年春に予約採用が可能です。
 
具体的な申し込み方法は、学校の奨学金担当窓口にご相談ください。
 

出典

文部科学省 高等教育の修学支援新制度
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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