ある日、郵便受けに「家賃値上げ」お知らせが!「月6万→7万円」に上がるそうですが、拒否することはできますか? 通知が届いたときの対応方法とは
配信日: 2025.04.20

本記事では「家賃値上げ」通知が届いたときの対応方法について解説します。
家賃値上げは拒否することもできる
家賃を値上げする行為自体は法律で認められている一方、入居者は必ず応じなければならないわけではありません。貸し手側および入居者双方の合意がなければ値上げをすることはできないからです。
また、値上げに同意しないことにより貸し手側から「応じないなら退去するように」と言われたとしても、「値上げ前の家賃」を支払い続ければ追い出されることはありません。
家賃値上げには正当な理由が必要
家賃の値上げは正当な理由がなければ行うことはできません。
今回のケースは借地借家法の第32条において定められている「借賃増減請求権」に関するものであり、値上げを要求できるケースとされているのは、主に次の3つです。
●不動産物件の維持費や税金が上昇している場合
●不動産物件の資産価値が上昇している場合
●周辺の不動産物件の相場よりも当該物件の家賃が安い場合
仮にこれら3つのケースに照らし合わせて、貸し手側から入居者に丁寧な説明が行われ、入居者が納得できる場合には、家賃は値上げされるでしょう。
家賃値上げを拒否した場合
前項で記載しているような正当な理由を貸し手側が主張したとしても、入居者が納得しなければ家賃値上げを拒否することはできます。ただしその場合、貸し手側が調停や裁判を起こす可能性はあります。
しかし貸し手側も調停や裁判を行うと時間や費用もかかるため、実際に行われるケースはそれほど多くないでしょう。また、もし裁判の結果、貸し手側の主張が通ったとしても、入居者は「値上げ通告」をされたときからの値上げ分とその利息を払えば問題ありません。
一方、家賃値上げを拒否した場合、貸し手側との関係性は悪化することも考えられます。何か住居のトラブルがあり話し合いが必要になった場合、スムーズに解決できなくなるかもしれません。長くその住居に住みたいのであれば、貸し手側との良好な関係性は重要です。貸し手側とは双方が納得できる話し合いの場を設けたいところです。
退去の選択肢を伝えてもよい
「家賃の値上げをするのであれば退去します」と伝えてしまってもよいでしょう。貸し手側にとって空室リスクは避けたいところです。次の入居者の見込みが立ちづらい場合には、値上げ要求を取り下げてくれるかもしれません。
また入居者側としても、家賃値上げを拒否することによって居心地が悪くなるくらいであれば、ちょうどよい機会と割り切り、実際に引っ越ししてもよいでしょう。
まとめ
本記事では「家賃値上げは拒否することもできる」ことを解説しました。貸し手と入居者が今後の家賃について話し合った結果、双方が合意できない場合には、値上げ拒否や引っ越しといった手段を検討するようにしましょう。
出典
e-Gov 法令検索 借地借家法
執筆者:小林裕
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート