「児童手当が増えたから扶養内パートを辞める」というパート仲間。児童手当って扶養内パートと同じくらいもらえるの?

配信日: 2025.04.20

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「児童手当が増えたから扶養内パートを辞める」というパート仲間。児童手当って扶養内パートと同じくらいもらえるの?
扶養内パートをしている同僚から、「児童手当が増えたからパートを辞める」という話を聞いたAさん。彼女には子どもが3人います。児童手当ってそんなにもらえるのか、Aさんの疑問にお答えします。
柴沼直美

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

児童手当の基本情報

児童手当は、児童(0歳から18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子)を養育している家庭に対して国が支給する支援制度です。金額は子どもの年齢や養育している子どもの数、所得によって異なります。
 
2025年度については、3歳未満の場合は月額1万5000円(第3子以降は3万円)、3歳以上 高校生年代までは月額1万円(第3子以降は3万円)です。Aさんの同僚には子どもが3人ということですから、最低でも月額5万円(1万円+1万円+3万円)、多ければ月額6万円(1万5000円+1万5000円+3万円)となります。
 

児童手当だけで生活は成り立つのか?

児童手当はありがたい制度ですが、生活費のすべてを賄えるには至らないでしょう。
 
子ども1人にかかる、教育費や生活費を整理しましょう。
 

・食費・生活費:月約2~3万円
・保育園・幼稚園費用(無償化の対象外部分): 月約1~2万円
・小学校の学費・教材費:公立で月約5000~1万円、私立で月約4万円以上
・習い事・塾費用:月約1~3万円以上
・中学・高校の学費:公立で月約1~1万5000円、私立なら月約5万円以上

 
これらは、あくまでも一般的な平均値なので目安にしてください。各家庭・学校によって変わります。このように見てみると、児童手当だけでは子ども1人の生活費をカバーすることは難しいことが分かります。
 

児童手当を活用するための家計管理

それでも、せっかく支給された児童手当を有効に活用するためには、どんな点に気をつければよいでしょうか。
 

(1)児童手当は「生活費」ではなく「貯蓄・教育資金」に回す

児童手当は、できるかぎり貯蓄や教育資金として活用するのが理想です。例えば、毎月1万円を貯蓄に回すと、15年間で180万円の貯蓄になります。学資保険やNISAを活用し、計画的かつ効率的に増やすのも選択肢です。
 

(2)パート収入と児童手当のバランスを考える

Aさんのパート収入が扶養内(年間103~130万円)であれば、手取りは月8~10万円ほどという計算になります。児童手当が増えたとしても、パート収入がなくなってしまえば、家計に大きなマイナスの影響があることを認識する必要があります。
 

(3)「収入減」と「支出削減」はセットで考える

それでも子育てに時間を割かなければならず、パートを辞めることを余儀なくされる時期もあります。そのようなときは、収入の減少を補うために支出を抑えることを考えましょう。比較的取り組みやすい支出削減としては、以下の項目があります。
 

・通信費の見直し(格安SIMへの切り替えで月5000円節約が可能になる場合があります)
・保険契約の見直し(不要な特約を削減できる場合があります)
・食費・日用品費の工夫(まとめ買いや節約レシピの活用)

 

児童手当だけでなく、他の支援制度も活用する

児童手当以外にも、家庭の状況に応じて利用できる以下のような支援制度があります。
 

・児童扶養手当(ひとり親家庭向け)
・医療費助成制度(自治体による補助)
・就学援助制度(低所得世帯向けの学費補助)

 
これらの支援については、お住まいの自治体の公式サイトや市区町村の窓口で確認しましょう。こうした制度を活用することで、家計の負担を軽減できます。
 

まとめ

「児童手当が増えたからパートを辞める」という考え方は、家庭の収入や支出の状況、また子育て環境によって適切かどうかが変わりますので一概にどちらがいいかと判断することはできません。
 
ただ、児童手当は貴重な支援であることは間違いないのですが、生活費を賄うには十分ではないことを認識しましょう。したがって、パートを辞める場合、家計の支出も見直すことが必要です。また、児童手当以外の支援制度も活用することも検討しましょう。
 
最も大切なのは、家庭ごとのライフプランに合わせてバランスのよい選択をすることです。「働くことのメリット」「家計の収支バランス」「子どもの将来の教育費」などを考えたうえで、家族と相談しながら最適な選択をしていくことが大切だといえるでしょう。
 

出典

こども家庭庁 児童手当制度のご案内
こども家庭庁 児童扶養手当について
東京都福祉局 医療助成
東京都教育委員会 就学援助事業のお知らせ
 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者

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