「お薬手帳」を持参すると医療費が安くなるって本当? マイナ保険証を使っていれば「お薬手帳」は不要になりますか?

配信日: 2025.04.17

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「お薬手帳」を持参すると医療費が安くなるって本当? マイナ保険証を使っていれば「お薬手帳」は不要になりますか?
病院に行く際、持ち物として欠かせないのがお薬手帳です。お薬手帳は、過去に受診した医療機関の情報が記載されていたり、処方された薬の記録を残したりする重要なものです。一見、ただの医療記録と思われがちですが、医療費が安くなります。
 
今回の記事では、お薬手帳を持参することでどのくらい医療費が安くなるのか、またマイナ保険証にはどのような役割があるのかについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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お薬手帳の持参で医療費が安くなる仕組み

まずは、なぜお薬手帳を持参すると医療費が安くなるのかを解説します。
 
私たちが調剤薬局で薬を処方してもらう際、服薬管理指導料がかかります。服薬管理指導料とは、これまでの医療の記録をもとに、個人に合った安全な薬を提供するという点数です。お薬手帳があることで正しい薬の処方ができるようになります。
 
お薬手帳の持参を促すために、2016年に診療報酬制度が改定され、調剤薬局へお薬手帳を持参すると自己負担が少なくなるという制度へ変更となりました。
 
この改定により、お薬手帳を持参した場合は380円、持参しなかった場合は500円とそれぞれ料金が変更されていますしたがって、お薬手帳を持参すれば120円もお得になり、自己負担が1割だと10円、3割だと40円の差になります。
 
ただし、お薬手帳を持参しても医療費が安くならない場合があります。安くなる条件は「6ヶ月以内に同じ薬局で薬を処方されたときのみ」です。
 
6ヶ月以上経過していたり、別の薬局で処方してもらっていたりする場合は、お薬手帳を持参しても安くならないので注意しましょう。また、病院やクリニックのすぐ近くにある「門前薬局」も対象外となります。
 

どのくらいお得になる?

では、実際にどのくらいお得になるのかをそれぞれ見ていきます。
図表.1は、お薬手帳を持っている場合、持っていないときと比べてどのくらいお得になるのかを表したものです。自己負担1割と3割で、70歳までに月1回医療機関にかかった場合、20歳、40歳、50歳でどのくらい差があるのかを解説します。
 
図表.1
 

20歳 40歳 50歳
自己負担1割 6000円 3600円 2400円
自己負担3割 2万4000円 1万4400円 9600円

筆者作成
 
若ければ若いほど、お薬手帳を持参したときの差額は大きくなることがわかります。また、年齢を重ねるにつれて月1回以上病院に通うとさらに大きくなります。
 
加えて、お薬手帳を持参して同じ薬局を3ヶ月以内に再度利用すると、さらに医療費を抑えることが可能です。同じ薬局だと処方履歴をすぐに確認できるため、残薬で量の調整をしてくれたり、飲み合わせできる薬を処方してくれたりします。
 
また、処方履歴があることで薬剤師もスムーズに確認でき、時間をかけずに処方できます。待ち時間や作業にかかる時間を短縮できるのもポイントです。
 

お薬手帳を持つメリット

医療費が安くなること以外にも、お薬手帳を持つことでさまざまなメリットがあります。具体的にどのようなものがあるのかを解説します。
 

個人に合う薬を処方できる

今までの薬の情報がなければ、どの薬が自分に合っているのかがわからないことがあります。何も情報がないまま薬を処方した場合、副作用が起こるかもしれません。しかし、お薬手帳があれば、今までの処方履歴から個人に合った正しい薬の処方が可能です。副作用やアレルギーなどが確認できるので安心して薬が飲めます。
 

災害時でもスムーズな処方が受けられる

お薬手帳がないと、災害で医療機関がやっていない場合、副作用などのリスクから薬をもらえない可能性があります。しかし、お薬手帳があれば処方箋がなくても薬をもらうことができます。服用している薬がある人は、常に持ち歩いていると安心です。
 

マイナ保険証があればお薬手帳は不要?

厚生労働省によると、マイナ保険証で過去1ヶ月から5年間の薬の情報が、マイナポータルや電子版お薬手帳で確認できるとされています。電子処方箋に対応している薬局であれば、マイナ保険証にて薬の受け取りが可能です。
 
しかし、まだ電子処方箋に対応していない薬局も多くあるため、マイナ保険証で利用する場合は事前に確認しておくのがおすすめです。心配な人は、普段のお薬手帳も持っておくといいでしょう。
 

お薬手帳を持つ習慣をつけよう

お薬手帳は医療費が安くなったり、自分に合う薬を処方してもらえたりとメリットがたくさんあります。過去にどんな薬を飲んでいたかも自分自身で確認できるため、薬の情報も知ることができます。また、マイナ保険証の普及により医療の利用がより便利になりました。マイナ保険証を利用する場合は、紐づけを忘れずに行うようにしましょう。
 

出典

厚生労働省 マイナ保険証について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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