今年から大学に進学し「1人暮らし」する娘。「月10万円仕送りしてほしい」と頼まれましたが、わが家の家計状況ではキツイです。この金額は普通なのでしょうか?
配信日: 2025.04.17

とはいえ、近年の物価上昇や家賃の高騰などを考えると、大学生の一人暮らしの費用も上がっているのではないでしょうか。一般的な仕送り金額はどれくらいなのか気になる人もいるでしょう。本記事では、大学生への仕送り額10万円が妥当かどうか、どうしても難しい場合の対応方法について解説します。
仕送りの平均額は? 生活費は足りる?
全国大学生活協同組合連合会の第60回学生生活実態調査によると、2024年の下宿生に対する仕送り額の平均は7万2350円です。したがって、10万円という金額は平均よりも約3万円高いことになります。
とはいえ、平均額である7万円はもちろん、10万円であっても大学生活を過ごすには十分とはいえないようです。同調査によると下宿生の1ヶ月の生活費は平均13万1710円となっており、7万円であれば6万円不足、10万円であっても3万円不足するからです。
下宿生の1ヶ月の生活費13万1710円のうち住居費の平均額は5万6090円となっています。住居費は地域差が大きく、かつ一度決まると減額しづらく、毎月継続的に発生する固定費です。
例えば、都心部など家賃の高い地域の大学に進学する場合はこれ以上にかかる可能性があるため、平均額を元に生活費を決めるのは難しい場合もあるでしょう。また、女子学生の場合は、住居のセキュリティなどの観点から住居費が高くなる傾向があります。
仕送り額を決める上で大切なこと
前記の一人暮らしにかかる1ヶ月の生活費13万1710円はあくまでも平均値で、全ての人がこの金額で生活できるとは限りません。
仕送り額を決める際には、生活費や住居費を現実的にシミュレーションし、不足がある場合どうカバーするかを考えることが重要です。大学生の場合、本人がアルバイトで補填(ほてん)するという選択肢があります。
仕送りが平均の7万円の場合、必要なアルバイト時間
例えば、住居費が平均より1万3910円高い7万円だった場合、1ヶ月に必要な生活費は14万5620円と計算できます。仕送り金額を平均値の約7万円とした場合の不足分は約7万6000円です。
これを東京都の最低時給1163円で賄おうとするなら、月に約65時間、週に約16時間働く必要があります。平日学校終わりに3時間×3日、休日に7時間×1日といったところでしょうか。
仕送りが10万円の場合、必要なアルバイト時間
一方、同じく住居費が7万円だった場合で、仕送り金額が10万円だとすると、不足分は4万6000円です。これをアルバイトで賄うには、月に約40時間働けば済みます。1週間に10時間なので、平日に3時間×1日、休日に7時間×1日といった具合です。
アルバイト時間をセーブしたい場合は、奨学金の利用も検討
アルバイトを週に3時間×2日程度に抑えたい場合(アルバイト収入は2万7912円)、月に仕送りが7万円であるならば、月の収入は合計9万7912円となります。前記した通りの条件とした場合の生活費14万5620円に対して約5万円の不足が生じるため、これを奨学金でカバーするというのも1つの手です。
その場合、借入金額は年間60万円、4年間で240万円となります。無利子の場合でも、10年完済のためには毎年約24万円、月に2万円の返済が必要であることは考えておく必要があるでしょう。
アルバイトがどれくらいできるかは、一人暮らしの家から大学までの通学時間、本人の学業の忙しさなどによって変わります。こういった事情も見通しながら、仕送り金額を決めましょう。
教育ローンの検討も
娘に無理なく大学に通ってほしい、でもお金がないという場合は、教育ローンも1つの選択肢になります。
奨学金は子どもが借りるものですが、教育ローンは親が借りるものです。将来的に子どもに負担をかけたくない場合には検討する価値があります。
教育ローンには、日本政策金融公庫が扱う「教育一般貸付(国の教育ローン)」をはじめ様々なものがあり、在学中は利息のみを支払うといったことも可能です。返済計画をしっかり立てることが大前提ではありますが、子どもの負担を減らしたい場合や、学業に専念させたい場合には、有効な手段になるでしょう。
仕送り額は現実的に決めることが大切
最新の調査によると、仕送り金額は平均で月約7万円ですが、実際の生活費は平均で月13万円を超えるため6万円の不足が生じます。仕送り金額が10万円であったとしても3万円不足しますし、家賃が高いなどの理由で不足分はもっと大きくなることもあるでしょう。住居費や生活費を考慮して仕送り金額を現実的に決めることが重要です。
不足分は、本人のアルバイトや奨学金、教育ローンで補う方法などがありますが、学業への影響や返済負担を考慮し、無理のない範囲で計画を立てる必要があります。子どもの生活を支えながら、家庭の負担をバランスよく調整することが大切です。
出典
全国大学生活協同組合連合会 第60回学生生活実態調査
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士