先月から娘家族と同居を始めたのですが、娘の夫に気を遣います。周りからは「羨ましい」と言われるのですが、二世帯のメリットはありますか?

配信日: 2025.04.17

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先月から娘家族と同居を始めたのですが、娘の夫に気を遣います。周りからは「羨ましい」と言われるのですが、二世帯のメリットはありますか?
「娘が家族を連れて戻ってきました」という話を耳にする機会が増えました。離婚したわけではなく、家族には夫も含まれます。この二世帯同居のメリットとデメリットについて考えます。
宮﨑真紀子

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

お金だけではないメリット

子ども世帯の同居のメリットとして1番に挙げられるのは経済的メリットです。
 
親の住む実家に戻ることで家賃がかからなくなり、家賃以外の光熱費なども押さえられます。教育費がかさむ世代にとって、このメリットは大きいです。子どもの世話を優先することで、仕事時間をセーブせざるを得ないケースもあります。仕事時間を確保する意味でも親との同居によるメリットはあります。
 
筆者が「しばらく留守になりますので、よろしくお願いします」隣人から言われたのは2月のことでした。理由は、2人の孫が高校・大学のダブル受験で手伝いに行くとのこと。娘夫婦は仕事が忙しく、食事などの面倒を見てほしいと依頼されたそうです。年代的にも娘夫婦は働き盛りで、会社では責任のある立場にあることが想像できます。
 
シニアの間で「子育て中の子世帯に協力できるから」という理由で、これまで住んでいた郊外の一戸建てから子世帯近くのマンションに引っ越す事例を聞くことがあります。老夫婦2人にとっては広すぎる間取りや庭木の手入れなど、一戸建て住宅にはお年寄りには管理しきれないデメリットがあります。
 
とはいえ、住み慣れた自宅です。住み替えを躊躇するところに、引っ越しの理由があれば手放すきっかけになります。
 
今回は、この住み替えの逆パターンです。はじめから二世帯同居していたのではなく、いったんは独立したものの、家族を連れて出戻ってきた子世帯との同居事例です。
 
戻ってきた時期はさまざまです。現在の働き盛り世帯は共働きが一般的なので、出産後も仕事を続ける中で、ベビーシッターの役割は重要です。「信頼できる」「多少のわがままを言える」等の条件を満たす意味では、自分の親が1番の選択肢かもしれません。
 
孫が幼い頃だけでなく先出の例にもあるように、手伝ってほしい場面はいろいろあります。“ちょっとした頼みごとをする”相手がそばにいることは、二世帯同居の大きなメリットです。
 
親にとってもメリットはあります。夫が家事をしないというAさん。「入院することになったときに気になるのは夫の食事だけど、娘が同居しているので心配なく過ごせた」と言います。老後のことを考えると、同居して良かったと実感しているそうです。
 

デメリットには要注意

もちろん、良いことばかりではありません。
 
二世帯同居をしているAさん一家は6人暮らしです。自宅は二世帯同居の作りではないので、6人全員がリビングで過ごすことも多いそうです。入浴の時間となると大変です。
 
「『どうぞ』と譲り合うけど、気を遣っているわけではなく、テレビやゲームを中断されたくないから。最後は「いい加減にしろ!」と主人が一喝し、婿が慌てることもあるのよ」一緒に暮らすことで気苦労も多々あるようです。
 
近々娘家族と二世帯同居を始めるBさんは、同居に向けて自宅をリフォーム中です。孫と同居は楽しみな反面、自分の居場所は確保したいと言います。短期間の帰省と違い、無理をすると長続きしません。公私のけじめは必要です。
 
これは空間だけでなく、経済的な面でも同じです。子世帯にとって、実家に戻ることで世帯支出を減らせますが、相応分の負担は必要です。そのあたりの取り決めは、初めにハッキリさせておくことが大切です。
 
他に兄弟姉妹がいる場合はなおのこと、将来の相続問題にも発展します。「実家の活用」という意味でも、とても有効な手段です。「上手に暮らすにはお互いの努力は欠かせないけれど、いつもにぎやかで楽しい」とは、Aさんからのメッセージです。
 
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

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