4月13日から開催の大阪・関西万博。予想収益と経済効果はどのくらいなんでしょうか？

いよいよ幕を開けた大阪・関西万博。およそ3兆円もの経済効果が予測されていますが、実はチケット販売や来場者支出の裏側には思わぬ課題もあるといわれています。本記事では、未来の都市経済を左右する万博の真実に迫ります。

大阪・関西万博で見込まれる経済波及効果は約3兆円

経済産業省によると、2025年4月13日から開催された「大阪・関西万博」は、半年間で約2820万人の来場が想定されており、この万博による経済波及効果は、約2兆9000億円と試算されています。
 
その内訳には、会場の建設投資や運営・イベント費用として1兆5378億円、来場者による消費として1兆3777億円が見込まれています。
 
この試算には、産業連関分析という手法が用いられており、「どの産業にどれだけ需要が波及するか」を数値化したものです。ただし、この数字はあくまで一定の前提条件のもとでの推計であり、確定した利益ではありません。
 

来場者の消費がカギ！ 飲食・宿泊・交通に期待される波及効果

万博による経済効果の半分近くは「来場者の消費」が占めています。一般財団法人アジア太平洋研究所によれば、例えば、国内からの宿泊来場者1人1泊あたりの消費単価は3万4538円、海外からの来場者は1人1泊あたり1万8911円と想定されています。
 
これらの支出は、交通、宿泊、飲食、買い物、娯楽サービスなどさまざまな業界に広く波及します。特に宿泊数を増やすことで、地域により大きな経済的恩恵がもたらされると見られています。
 
また、会場周辺だけでなく、京都や奈良など関西圏全体への観光が広がれば、経済効果は一層高まるでしょう。数千億円規模の追加的な波及効果も期待されます。
 

チケットの前売り券販売、目標未達の懸念

およそ3兆円もの経済効果が期待されている万博ですが、収益に直結するチケットの前売り券販売枚数は目標に届いていない状況です。
 
前売り券の目標販売枚数を1400万枚としていましたが、大阪・関西万博の公式Webサイトによれば、2025年4月9日時点で1000万枚にも達していません。特に、販売されたチケットの多くが企業による購入であり、開幕直前の駆け込み需要はあったものの、一般消費者の購入が伸び悩んでいると報じられています。
 
販売不振の要因としては、まずチケットの種類が多すぎることが挙げられています。多様な選択肢が用意されているものの、消費者にとってはかえって選びにくく、分かりにくいという声があります。
 
次に、オンラインでの購入手続きが煩雑である点です。特に高齢者を中心に、購入をためらうケースが見られます。
 
さらに、万博そのものへの関心があまり高まっていないことも要因です。イベントの内容や開催の意義が十分伝わっておらず、関心が広がっていないと指摘されています。
 
これらの課題に対処するため、主催者側は当日券の導入や通期パスの割引など、販売促進策を講じました。しかし、根本的な解決には至っておらず、今後の動向が注目されます。
 

経済効果を最大化するには？ 今後の注目ポイントと私たちにできること

大阪・関西万博による経済効果を最大化するためには、行政や企業の施策だけでなく、私たち一人ひとりの行動も重要です。例えば、万博会場に足を運ぶ際は周辺地域の観光も楽しむことで、地域経済に貢献できます。
 
また、地元産の商品やサービスを積極的に選ぶことも、波及効果を高めるひとつの手段です。また、万博の成功とは、単に会場に多くの人が集まることだけではありません。その後に何を地域にもたらし、未来へどのようにつなげられるか、それこそが、今注目すべき最大のポイントです。
 

出典

経済産業省 商務・サービスグループ博覧会推進室 大阪・関西万博経済波及効果 再試算結果について（2ページ）
一般財団法人アジア太平洋研究所 大阪・関西万博の経済波及効果－最新データを踏まえた試算と拡張万博の経済効果－

大阪・関西万博公式Webサイト お知らせ 入場チケットの販売状況について 2025年4月9日現在 販売状況（累計販売枚数）
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー