更新日: 2019.06.21 その他

身近な存在になってきている「先進医療」受けるのにかかるお金

身近な存在になってきている「先進医療」受けるのにかかるお金
多くの医療保険やがん保険に先進医療保障が付けられるようになり、陽子線治療等を受けられる医療機関が増えたこともあって、先進医療が以前よりも身近な存在になりつつあります。
しかし、先進医療は全額自己負担であることから、費用について十分に理解しておくことは大事です。
 
そこで、先進医療の中から陽子線治療と重粒子線治療について、実施している各医療機関のホームページから具体的な治療費を調べてみました。
 
松浦建二

執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/

陽子線治療の先進医療費用は240万円~314万円

2019年(平成31年)1月1日現在、先進医療Aの陽子線治療を受けられる医療機関は全国に16カ所あります。そのうちホームページで確認できなかった社会福祉法人高清会高井病院(奈良県)以外の15カ所の先進医療費は下記表の通りです。
 
※先進医療Aは、先進医療Aは未承認等の医薬品や医療機器の使用(適応外使用)を伴わない医療技術で、陽子線治療は2001年に先進医療の適用を受けています。
 
陽子線治療(先進医療A)を実施している医療機関の治療費
 

 
資料:厚生労働省先進医療の概要について
 
同じ先進医療の陽子線治療を受けても、医療機関によって技術料に差があります。
 
比較的低額なのは福井県立病院と静岡県立静岡がんセンターの240万円ですが、どちらも照射回数が一定以上増えると費用も増えるので、必ずしも240万円で済むとは限りません。ただ、どちらも県内居住者には20万円~25万円の助成があるので、地元住民は割安に受けられます。
 
技術料が比較的高額なのは一般財団法人メディポリス医学研究財団メディポリス国際陽子線治療センターの314万円です。福井県立病院等とは74万円の差がありますが、鹿児島市から離れた指宿市にあるリゾート滞在型の医療機関で、隣接したホテルに滞在しながら、とてもリラックスした環境で治療を受けられそうです。

 

重粒子線治療の先進医療費用は288万円~350万円

先進医療Aの重粒子線治療を受けられる医療機関の先進医療費は下記表の通りです。
 
重粒子線治療(先進医療A)を実施している医療機関の治療費
 

資料:厚生労働省先進医療の概要について
 
先進医療の重粒子線治療を受けられる医療機関は全国5カ所しかありませんが、その中で先進医療の技術料が比較的低額なのは兵庫県立粒子線医療センターの288.3万円です。兵庫県立粒子線医療センターは陽子線治療も行っており、費用は同額に設定してあります。
 
技術料が比較的高額なのは、神奈川県立がんセンターの350万円で、兵庫県立粒子線医療センターとは61.7万円の差があります。他の3カ所は全て314万円になっています。
 
先進医療を受けると先進医療の技術料の他に、保険診療と共通する診察や検査等の費用の自己負担分(3割等)がかかります。また、遠方の医療機関で治療を受けるとなると、交通費や宿泊費等の負担も意外と大きくなります。
 
昨今は、医療保険やがん保険に必ずと言って良いほど先進医療保障があります。加入している保険にこの保障が付いていれば、先進医療を受けた時に技術料相当分の給付金を受け取れるので、先進医療に関する経済的な心配は不要です。
 
しかし、その他の費用は別で考えなければなりません。宿泊費が1日1万円なら10日で10万円、他に新幹線代やタクシー代、食費等を考えたら、数十万円の出費も十分考えられます。がんで治療するだけでも大変なのに、お金の心配もしていたら治るものも治らなくなってしまいます。事前に安心できる備えをしておきたいものです。
 
先進医療保障の中には技術料相当分以上の給付金を受け取れるタイプもあるので、加入している人は保障内容を改めて確認しておくと良いでしょう。
 
※先進医療の保障は医療保険やがん保険に付加して加入します。先進医療保障の詳細については保険会社に直接確認してください。
 
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
 

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