人手不足が原因でタクシー業の倒産件数が増えている?60歳から「タクシードライバー転職」をすれば人手不足解消に?
配信日: 2025.04.09

本記事では、タクシー業界の現状と高齢者の転職がもたらす可能性について探ります。

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目次
タクシー業界の人手不足が深刻化! 2024年の倒産・廃業件数が過去最多に
株式会社帝国データバンクによると、2024年、タクシー業界では倒産が35件、休廃業・解散が47件、合計82件の事業者が市場から退場しました。これは、これまで最多だった2019年の73件を上回る数字であり、業界の厳しい現状を示しています。
これらの倒産・廃業の主な要因として、人手不足が挙げられます。2024年の倒産35件のうち、少なくとも4割以上がドライバー不足によるものでした。さらに、燃料費の高騰も経営を圧迫する要因となっています。
60歳からのタクシードライバー転職の現状と可能性
タクシードライバーの平均年齢は高く、厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によれば、全国平均で60.2歳です。そのため、60歳以上の方々の転職先としてタクシー業界は現実的な選択肢となっているといえるでしょう。タクシー会社の中には、定年を75歳に設定し、高齢ドライバーの受け入れを積極的に行っている会社もあるようです。
また、タクシードライバーは未経験からでも始められる職種であり、多くの会社は普通自動車免許があれば応募可能です。研修制度や二種免許取得のサポートを提供するタクシー会社も多く、高齢者にとって新たなキャリアを築くチャンスとなっています。
高齢者のタクシードライバー転職が人手不足解消につながる可能性と課題
高齢者がタクシードライバーに転職することは、人手不足の解消に大きくつながる可能性があります。経験豊富なシニア層の採用は、業界全体のサービス品質の向上にもつながるかもしれません。
一方で、課題もあります。高齢ドライバーの健康状態や体力の維持、安全運転の確保などが主な懸念点です。こうした課題に対応するには、定期的な健康チェックや研修の実施が欠かせません。さらに、2024年から施行された労働時間規制により、タクシードライバーの勤務時間も制限され、人手不足のさらなる深刻化も懸念されています。
こうした環境の変化に対応するためには、タクシー業界全体で労働条件の見直しを進めるとともに、若年層や外国人ドライバーなど、多様な人材の積極的な採用が求められています。
高齢者によるタクシードライバーの人手不足解消への展望
タクシー業界の人手不足解消には、高齢者の積極的な採用が有効と考えられます。さらに、ライドシェアや自動運転技術の導入も、将来的な解決策として期待されています。ただし、これらの新技術の普及には、安全性の確保や法整備などの課題が残されているのが現状です。
今後は、高齢者だけでなく、若年層や外国人労働者など多様な人材の積極的な採用と、新技術の導入を組み合わせ、持続可能なタクシー業界の未来を築くことが求められます。
出典
株式会社帝国データバンク 「タクシー業」の倒産・休廃業解散動向(2024年)
e-Stat政府統計の総合窓口 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー