ひとり親家庭を支援する4本の柱とは

配信日: 2019.03.04 更新日: 2019.06.19

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ひとり親家庭を支援する4本の柱とは
ひとり親の中でも母子世帯の年間稼働所得(労働による所得)は、約214万円と、「児童のいる世帯」の647万円と比較すると約3分の1となります(※1)。
 
子育てと仕事・家事・家計管理・家庭内の問題解決をひとりで担うひとり親の収入確保には、難しさがあると言えます。
 
このようなひとり親家庭への支援施策は、「経済的支援策」・「養育費の確保策」・「就業支援策」・「子育て・生活支援策」の4本柱があり、これらは年々拡充されてきています。あらためて、どのような制度があるのか確認していきましょう。
 
井上美鈴

執筆者:井上美鈴(いのうえみすず)

ファイナンシャル・プランナー,ライフシンフォニア 代表

~シングルマザー・子育て世代にお金の話をわかりやすく伝えるFP~
家計管理・公的制度の紹介・教育費や老後資金の貯め方・奨学金・投資などすぐに役立つお金の話」を分かりやすく伝えるFP。
 
漠然としたお金の不安を感じる時間をなくし、「子育てという限られた貴重な時間」や「自分自身が望む豊かな時間」を大事にしてもらいたいという思いで活動している。
 
離婚後3年で教育資金を貯めた、自らのシングルマザー体験が強み。
 
金融機関(証券会社・銀行)・公立学校事務員・派遣会社コーディネーター等のさまざまな仕事を経験。現在、大学生の子どもを育てるシングルマザー。
https://lifesinfonia.com

経済的なサポート

ここでは、ひとり親家庭が利用できるものを紹介していきます。すべての子育て世帯対象のものは除いていますので注意してください。(例 児童手当など)
 
◆児童扶養手当
対象年齢(18歳になった最初の3月31日まで、ただし障害のある児童は20歳未満)の児童がいる家庭に支給される手当です。平成30年8月からは、全額支給の対象者の所得制限限度額が30万円引き上げられました。(※2)
 
また、これまでは年3回(1回につき4ヶ月分の手当)の支給でしたが、2019年11月から年6回(1回につき2ヶ月分の手当)となります。平成31年3月分までの児童1人の場合の支給額は、前年所得87万円未満で全額支給の月額4万2500円。
 
前年所得87万円以上230万円未満は、一部支給で月額4万2490円から1万30円までの額が所得額によって決まります。児童が2人以上の家庭は、所得制限額が引き上げられ手当額も加算される仕組みです。
 
◆児童育成手当(東京都独自の制度)
東京都内に住んでいるひとり親家庭等が対象で、18歳になった最初の3月31日までの児童がいる家庭に支給される手当です。支給額は月額1万3500円です。
 
◆ひとり親家庭等医療費助成制度
児童扶養手当や育成手当と同じく、児童が18歳になった最初の3月31日までの医療費が助成されます。所得により、自己負担額ゼロか1割負担のどちらかになります。
 
◆母子父子寡婦福祉資金貸付制度
生活費や引っ越し、進学、就学などの資金を無利子または年利1%で借りることができます。
 
◆その他
一定の障害のある児童を対象に、特別児童扶養手当、障害児福祉手当、児童育成手当(障害手当)があります。ひとり親家庭独自の制度ではありませんが、児童扶養手当と併給できるので、該当する方は申請してみるとよいでしょう(一部、併給できない場合もあり、窓口での確認が必要です。)
 

養育費確保のためのサポート

◆養育費相談支援センター
離婚時に養育費の取り決めをしていない、取り決めたものの未払いで困っているなど養育費に関する相談を行っています。
 

仕事に関するサポート

◆マザーズハローワーク
子育てをしながら仕事を探す人のための就業支援機関です。ひとり親に特化して仕事を紹介している場所もあります。
 
◆自立支援教育訓練給付金
雇用保険制度の教育訓練給付の指定教育訓練講座を受講するときは、受講料の一部(本人が支払った費用の60%相当額、限度額20万円)が助成されます。
 
◆高等職業訓練促進給付金
看護師・介護福祉士・保育士・理学療法士・作業療法士などの資格を取得する場合、給付金などが支給されます(非課税世帯/月額10万円・課税世帯/月額7万500円)。
 
◆在宅就業推進事業
在宅業務を希望するひとり親に対して業務の発注などや、在宅就業コーディネーターが在宅業務の相談支援を行います。
 
◆ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業
高卒認定試験に合格することが適職に就くために必要であると認められるひとり親家庭の親と子(18歳未満)が対象です。
 
・受講修了時給付金(10万円を限度とし、受講費用の20%相当を支給)
・合格時給付金(受講費用の40%相当を支給)
※2つの給付金の合計額、15万円が上限
 

子育てや生活へのサポート

◆母子生活支援施設
自立のために住居の援助を要する母子世帯のための施設です。居室代は、所得に応じて決まります。
 
◆ひとり親家庭ホームヘルプサービス
日常生活の家事や育児に困ったときにヘルパーを派遣してくれる制度です。所得に応じた負担金があります。
 
◆ひとり親家庭児童への学習支援
各自治体では、「無料塾」や「家庭教師派遣」などさまざまなスタイルの学習支援を実施しています。
 
◆公営住宅の優遇制度
ひとり親のみの特別抽選や、当選確率を優遇するなど全国の各自治体で優遇制度が行われています。
 
◆その他
粗大ごみ無料や水道料金の減免、交通費の割引などの制度があります(自治体によって内容が異なります)。
 

子どもとの豊かな生活のために、子育て支援策を上手に活用!

支援の具体的な内容は、地域によって異なります。お住まいの自治体のホームページや「ひとり親家庭のしおり」「子育てハンドブック」などのサポートブックで確認しましょう。相談窓口へ足を運ぶことも有益な情報を得るために有効です。
 
公的な制度の他に、NPO団体や民間の支援制度もあります。常に情報をアップデートして、地域や民間の支援制度を上手に活用していくことは、日々の生活のさまざまな課題解決への近道になります。
 
忘れてはいけないのは、これらのサポートは子どもが18歳または20歳までのものがほとんどだということです。ひとり親家庭で重要なことは、それ以降を視野に入れた生活設計を今から考えていくことではないでしょうか。
 
出典 
(※1)「ひとり親家庭等の支援について」 平成30年4月 厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課
(※2)「児童扶養手当についての 大切なお知らせ」厚生労働省
 
参考
「社会福祉の手引き」 東京都福祉保健局
 
執筆者:井上美鈴(いのうえみすず)
ファイナンシャル・プランナー,ライフシンフォニア 代表
 

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