更新日: 2019.06.19 その他

人が住んでいなくてもかかるお金・・空き家とコストの関係

人が住んでいなくてもかかるお金・・空き家とコストの関係
数年前から空き家問題の報道が目につくようになりました。その中でも、いわゆる「実家の空き家」は、賃貸など他の空き家と比較しても増加率が高く深刻な問題になっています。
 
実家を相続したが住む人がいない、別の場所への引越しや施設への入所のため自宅が空き家になった、という場合でも、そのまま所有し続ける人も少なくありません。
 
しかし、空き家も維持コストはかかります。空き家にはどのようなコストがかかるかを知り、どのような対策ができるかを押さえておくことも大切です。
 
橋本秋人

執筆者:橋本秋人(はしもと あきと)

FP、不動産コンサルタント

早稲田大学商学部卒業後、大手住宅メーカーに入社。30年以上顧客の相続対策や不動産活用を担当。
 
現在はFP、不動産コンサルタントとして相談、実行支援、講師、執筆等を行っている。平成30年度日本FP協会広報センタースタッフ、メダリストクラブFP技能士受験講座講師、NPO法人ら・し・さ理事、埼玉県定期借地借家権推進機構理事

保有にかかる税金

空き家でも固定資産税などの税金がかかります。固定資産税は、毎年1月1日の所有者(固定資産課税台帳の記載者)に賦課される地方税で標準税率1.4%です。また、都市計画税は、不動産が市街化区域内にある場合に0.3%までの制限税率で賦課されます。
 
ただし、空き家が建っている土地は住宅用地として軽減措置があります。
 
住宅1戸あたり土地面積200平方メートルまでは小規模住宅用地として固定資産税の課税標準が6分の1、都市計画税の課税標準が3分の1に減額されるため、税額も大幅に軽減されます。(200平方メートルを超える部分については一定面積までの課税標準が固定資産税3分の1、都市計画税3分の2)
 
小規模住宅用地として軽減されているとはいえ、これらの保有にかかる税金は、所有者の収入にかかわらず毎年課税されます。空き家を取得した当初はあまり感じなくても、時間の経過とともに負担感が増していく人も多いようです。
 

維持管理にかかるコスト

 空き家の劣化を抑え、美化を保つためには維持管理が必要です。コストとしては次のような項目が挙げられます。
 
・光熱費(水道、電気、ガスなど)
・除草、剪定(業者に依頼する場合)
・ごみの処分費
・自治会費
・火災保険料
・管理のための交通費(特に遠方の場合)
・空き家管理サービス(業者に依頼する場合)
・修理費、修繕費
 
空き家の維持管理では、定期的な建物の点検とともに、清掃、空気の入れ替え、排水の臭気抜き、除草、剪定、除虫などを行いますが、これらの作業を行う際にも水道や電気が必要になります。そのため水道や電気もなかなか解約することはできず、日常は使用していなくても基本料金は支払わなければいけません。
 
しかし、水道の場合、1年に数回しか空き家に行かない場合は解約し、管理に訪れるときだけ水道課に一時使用の連絡をすることでコストが節減できます。また、持参するポリタンクの水で足りれば、水道水を使用する必要もありません(市町村により規則が異なる場合があるので、地域の水道課などにお尋ねください。)。
 
電気は、契約アンペア数を小さくすることができれば基本料金を下げられます。例えば、現在40アンペアの契約を10アンペアに変更すると1年間の基本料金が1万100円ほど安くなります。(東京電力エナジーパワー従量電灯B)
 
自治会も、必要性がなければ退会することも検討しましょう。
 
一つ一つは小さな節約でも毎年積み重なると大きな金額になり得ます。
 

空き家管理サービスのコスト

最近は空き家の管理サービスを行う会社も増えてきました。サービスを取り扱う会社も、空き家管理サービス専門の会社、地元の不動産会社などさまざまです。
 
毎月の料金は、知り合いの管理会社からのヒアリングや、空き家管理サービス会社のサイトによると5000円~1万円前後が多いようですが、中には毎月100円という料金を掲載している会社もあります。  
 
当然、料金の違いは会社や管理サービスの内容によるものですが、空き家管理サービスの利用コストははたして高いのでしょうか。評価は空き家を所有する人の条件によって異なります。
 
例えば、自宅から離れた空き家に、維持管理のために年4回行くための交通費が1回3万円かかる場合、年間では12万円となり、毎月1万円の空き家管理サービス利用料金と同じになります。
 
さらに自己管理の場合の時間コストまで考慮すると、空き家管理サービス利用の費用は高いとはいえず、所有者や管理方法によってはかえってコストダウンになることもあり得ます。
 
自己管理をする場合の費用と比較した上で、利用の可否を判断することをおすすめします。
 
執筆者:橋本秋人(はしもと あきと)
FP、不動産コンサルタント
 

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