更新日: 2019.06.28 その他
野球もサッカーにも!「フレックス・プライス」という、チケットの販売スタイルとは
昨年ぐらいからスター選手が続々と活躍の舞台をJリーグへ移しており、特に、元ドイツ代表ポドルスキ、元スペイン代表のイニエスタやビジャが在籍するヴィッセル神戸、元スペイン代表フェルナンド・トーレスが在籍するサガン鳥栖には注目が集まっています(いずれの選手もワールドカップでの優勝経験あり)。
さて、スポーツ観戦をする時に必ず必要なのは「チケット」ですね。プロ野球やJリーグで、昨年あたりからチケットの販売スタイルが大きく変わってきていることをご存じでしょうか。
執筆者:大場脩(おおば しゅう)
ファイナンシャルプランナー。
山形をベースに全国で活動する。
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一部チームでは「フレックス・プライス制度」導入
みなさんは「フレックス・プライス」という、チケットの販売スタイルを知っていますか? フレックス・プライスとは、文字通りフレックス(変動)+プライス(価格)の意味で、「価格変動制」と呼ばれます。
チケットの価格は、どの試合でも席種によって「固定価格」であることが一般的でしたが、フレックス・プライスは、試合日やその日のイベント、対戦カードなど、需要の高さに応じて価格を変動させる仕組みです。
この仕組みは、ホテルの予約や航空券の予約などですでに、おなじみです。スポーツ界では、欧米ではメジャーになりつつありますが、日本ではここ数年で少しずつ浸透してきました。
この「フレックス・プライス制度」は大きく分けて2種類のタイプがあります。
○一般的なフレックス・プライス制
チームがあらかじめ、試合日やイベント、対戦カードなどによって価格帯を設定し、その価格で売り出す方式です。
例えば筆者の地元、山形のサッカーJ2チーム「モンテディオ山形」の場合は、グレードを「☆☆☆ (みつぼし)」「☆☆ (ふたつぼし)」「☆ (ひとつぼし)」の3種類に分けて価格帯を設定し、チケットを販売します。この方式を、今年から導入する予定です。
○ダイナミック・プライシング制
対戦チームや前売券販売状況、天候などのデータをもとに人工知能(AI)を使い、1日ごとにチケット価格を変えるのが「ダイナミック・プライシング制」です。
昨年からサッカーJ1の横浜F・マリノスが本格的に導入しました。定価よりも安くなったり、高くなったり1日ごとに価格が変動します。ですので、買った日によって、チケットの価格が異なります。
「フレックス・プライス制」のメリット&デメリット
ファンにとってのメリットは、チケットを「安く買えること」です。デメリットは、人気のチケットが「高くなってしまうこと」。特に1日ごとに価格が動く場合は、その傾向が顕著になります。
チーム側の視点で考えてみると、人気カードやイベント日などにフレックス・プライス制度でチケット単価を上げれば、チケット収入増につながり、チームの運営面でも良い影響が期待されます。
逆に、チケットが安い試合では「ご新規さん」をメインターゲットにして集客していけば、ファン獲得の導入口としても活用できます。デメリットとしては、AIを使う場合、AIの予測が外れると観客動員数やチケット収入増につながらないことがあり得る、という点です。
スポーツチームもスポンサーやファン獲得のため、そして、しっかりと収益を上げるためにさまざまな取り組みをしています。今後、フレックス・プライス制はますます広がることが予想されています。
スポーツ観戦をする時はスポーツチームの取り組みにも目を向けてみるといいのではないでしょうか?
執筆者:大場脩(おおば しゅう)
ファイナンシャルプランナー