更新日: 2019.01.08 その他
年齢に関係なく使えるおトクな切符「青春18きっぷ」
「青春」と「18」のコトバで誤解する人も
「青春18きっぷ」と聞くと、利用者は18歳までが対象だとか、年齢制限があるパスだとかを連想する人がいるかもしれません。しかし実際は年齢に関係なく、若者からシニア層にいたるまで、JRの駅の窓口で誰でも購入し利用できます。他の割引パスは、年齢制限がある、発行しているJRの会社内しか使えない、というものが多いのとは大きな違いです。サイズも普通発行されている特急券よりは大きなサイズの長方形で、自動改札機は通りません。
最初に乗るときに、当日有効のスタンプを押してもらい、改札を出入りする際は、その都度券を見せて通ることになります。
学生などあまり費用をかけずに利用も多いのですが、最近では、むしろ自由の時間多いシニア世代の利用が多くなっています。比較的安くなおかつ時間をゆったりと楽しむ人が多いためです。「青春18きっぷ」というより「青春68きっぷ」と呼んだほうがいい、と皮肉る声すらあります。とにかくこの切符は、JR全社にわたって利用できるため、日本全国JRならば、自由にどこへでも行けることが大きなメリットです。
どれだけ乗ればおトクになるか
青春18きっぷは5枚綴りで1万1850円、1回当たりの利用だと2370円になります。普通運賃が1回当たり2370円以上になる利用の仕方をすれば、トクをする計算です。利用方法として便利な点は、1人で5回利用することもできますし、家族・友人など5人以内であれば、1枚の切符でグループ旅行もできることです。例えば、1回は家族4人のグループ旅行に使い、1回は1人で自由な旅をするといった利用が可能です。
1回の利用額が2370円ですから、これ以上の運賃となる区間に乗車すれば、おトクになります。本州のJR3社の料金でみると、往復で71キロ、片道で141キロ以上が目安になります。東京駅を起点に東海道線では、往復する場合は二宮(神奈川県)、片道だと吉原(静岡県)より先まで行くプランであれば、おトクになり利用価値があります。大阪駅を起点に東海道線を東に行く場合は、往復だと野洲(滋賀県)、片道だと大垣(岐阜県)が目安になります。
ただ以外な盲点もあります。東京から小田原へ行く、大阪から姫路へ行く、というケースでは、距離が71キロ以上あるので、十分おトクに思われますが、実はそうではありません。ほぼ平行して走る私鉄があり、これで往復すれば、青春18きっぷの1回分、2370円より安く往復できるからです。
ですから、日帰り旅行だと、東京起点に考えると、熱海や伊東(東海道線)へ行く、高崎や渋川に行く(上越線)水戸や日立に行く(常磐線)といったプランを立てれば利用価値が出てくると思います。泊りであれば、東京から静岡の先まで行くプランを立てればよいわけです。出発地点を定め、そこからの距離をあてはめれば、どこまでいけば、おトク感がでるかはすぐにわかります。
乗車制限があるので要注意
この切符の性格上、JRの普通列車と指定席のない快速列車だけか利用できますが、新幹線はもとより、在来線の特急・急行には乗車することはできません。ただし普通列車が1本も走っていない区間は、例外として在来線の特急にも乗車できます。具体的には、北海道・石勝線の新夕張・新得間などが対象になります。鉄道区間以外では宮島航路には乗船可能ですが、JRが経営するバス路線には乗車できません。
新幹線と平行して走る旧JRの第三セクターの路線についても、一部区間を除き、青春18きっぷでは乗車できません。具体的には、しなの鉄道(軽井沢・篠ノ井間)、あいの風とやま鉄道(富山・糸魚川間)、肥薩おれんじ鉄道(八代・川内間)、道南いさりび鉄道(木古内・五稜郭間)などが、これにあたります。旧JRの時代から比べると、新幹線ができたことで、JRの路線が第三セクターとなり、利用ができなくなりました。その意味ではこの切符の不便さが増えています。
青函トンネルの通過に関しても、新幹線の開業で不自由になりました。青森と函館を結ぶ在来線の特急「白鳥」が走っていたときは、普通列車の走らない例外的区間だったために、青春18きっぷで、蟹田と木古内の間はこの特急が利用できました。新幹線が開業し、さらに木古内・五稜郭間も第三セクターに移管されたため、この区間を利用する場合、奥津軽いまべつと木古内の間は新幹線、木古内と五稜郭の間は第三セクターに乗車できるオプション券(片道2300円)を、別途購入する必要があります。本州と北海道を行き来する場合の不便さは、コスト面でも乗り換え方法の煩雑さでも増大しています。
利用方法の自由度は高い
青春18きっぷの利用方法もいろいろです。まず、とにかく長距離をなるべく安い料金で行きたい人、通称「乗り鉄」といわれる人にはお勧めです。例えば、長い距離の移動手段として使おうと思えば、東京と大阪の間を1日で往復することも可能です。また2日間かければ、東京から九州まで行くこともできます。
次に距離はそれほど長くはなくても、目的地を決めて鉄道の旅をする人にもお勧めです。東京からのケースだと、豊橋、松本、越後湯沢、会津若松、いわきなど、300キロ前後の目的地を定め、温泉に1泊の旅行をすることも可能です。
さらに、1枚の切符で5人以内でしたら利用できますので、100キロ前後の地域(例えば東京から熱海、日光、水戸などの日帰りのグループ旅行に利用することができます。とくに利用期間が春休み、夏休み、冬休みの時期に利用できますので、簡単な家族や友人との1日旅行としても利用できます。ただしグループ旅行の場合は、全員が一緒に鉄道を利用する必要があり、鉄道利用時の単独行動はできません。
いずれにせよ、利用方法がいろいろと楽しめるおトクな切符に間違いはありませんので、「青春18きっぷ」の言葉どおりに解釈せずに、とくにシニアの方の利用をお勧めします。