「人生100年時代」改めて考える。原因と課題と対策。我々は何をすべき?

配信日: 2019.02.07 更新日: 2019.06.28

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「人生100年時代」改めて考える。原因と課題と対策。我々は何をすべき?
一昔前は「人生80年」と言われていましたが、内閣府の「平成30年版高齢社会白書」によると日本人の平均寿命は男性約81歳、女性約87歳と「人生100年時代」の到来です。
 
この言葉は、ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授の著書『ライフ・シフト』(東洋経済新報社刊)によって、一大ブームを巻き起こしました。本書によると、2007年に誕生した日本人は107歳まで生きる確率が50%と、先進国の中でも高くなっています。
 
長寿国日本、これからどのような時代になっていくと考えられるでしょうか。
 
うらのまさこ

執筆者:うらのまさこ(うらの まさこ)

不動産業界出身のFP

人生100年時代のライフプランとお金の専門家。家計見直しから資産形成・資産運用まで、お客様のライフプラン実現をサポートいたします。国民年金基金PRで定期的にFM愛知等にも出演中。日本FP協会認定CFP(R)、1級FP技能士、宅地建物取引士。

日本が直面している「少子・高齢・人口減少社会」とは

内閣府の発表によると、日本の人口は2010年代に入ってから緩やかな減少に転じており、2053年には1億人を割り、2065年には8808万人になると推計されています。働き手となる生産年齢人口(15~64歳)は、1995年の8716万人をピークに、2013年に7901万人、2065年には4529万人へ。
 
それに対して、高齢化率(総人口に対する高齢者の割合)は増加の一途です。2017年は27.7%のところ、2036年は33.3%、2065年には38.4%に達し、国民の約2.6人に1人が65歳以上の高齢者となる社会が到来するようです。
 
2065年ともなると、筆者はデータに影響を与えないのではないか、などと感じてしまうのですが、なにしろ人生100年時代、まだ高齢化率上昇の一端を担っているかもしれませんね。
 

私たちのこれからの生活やお金に与える影響とは

さて、前述の通り、生産年齢人口は減少に向かいます。
 
日本が今後も少なからず成長を維持しようとするなら、必要なのが「労働力の確保」。このままでは、労働力は不足し、生産性はさらに低下していきます。国内ではすでに人手不足が叫ばれ、特に地方が顕著で、中小企業を中心にM&A、休廃業・解散の案件が増えているようです。
 
そこで、若者も高齢者も、女性も男性も、障害や難病のある方も、一度失敗を経験した人も、みんなが包摂され活躍できる社会を実現する…。2015年、突然登場した向きのある「一億総活躍社会」という言葉ですが、実はこのような背景があったのですね。
 
翌年2016年は、子育て支援の充実・介護支援の充実・高齢者雇用の促進・非正規雇用労働者の待遇改善・最低賃金の引き上げによって、生産の増加・収益の改善を目指す「働き方改革実現推進室」が設置されました。
 
政策のグランドデザインを検討する「人生100年時代構想会議」も、2017年から開催されています。
 
2018年末には、「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法」の一部が改正され、外国人材の受け入れに新たな道が開かれました。AI(人工知能)・ロボットの進化なども含め、どれほど生産年齢人口減少の補完となりうるのか、期待したいところです。
 
心配なのが、高齢化率の上昇による社会保障費の増大、そして現役世代の負担増です。
 
2019年度は、年金支給額がマクロ経済スライドで物価や賃金上昇率と比較し抑制されますが、今後、年金受給年齢70歳以上繰り下げ、受給開始年齢引き上げなど、年金制度を維持するための案が出てきています。健康保険料も、財政逼迫から保険料率の見直しなど、避けられない状況になるでしょう。
 
私たちは、老後の長生きリスク=生活費や介護費の上昇に対し、どのように備えていくか、できるだけ早期にライフプランとファイナンシャルプランを検討する必要がありそうです。
 
出典
内閣府「平成30年版高齢社会白書」
東京商工リサーチ「2018年休廃業・解散企業動向調査」
厚生労働省「将来の公的年金の財政見通し(財政検証)」
協会けんぽ「平成31年度保険料率について」
 
執筆者:うらのまさこ
不動産業界出身のFP
 

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