更新日: 2019.01.08 暮らし

<身近な電気の話> 省エネルギー。熱エネルギーの使い方

執筆者 : 藤森禮一郎

<身近な電気の話> 省エネルギー。熱エネルギーの使い方
 
藤森禮一郎

Text:藤森禮一郎(ふじもり れいいちろう)

フリージャーナリスト

中央大学法学部卒。電気新聞入社、電力・原子力・電力自由化など、主としてエネルギー行政を担当。編集局長、論説主幹、特別編集委員を経て2010年より現職。電力問題のコメンテーターとしてテレビ、雑誌などでも活躍中。主な著書に『電力系統をやさしく科学する』、『知ってナットク原子力』、『データ通信をやさしく科学する』、『身近な電気のクエスション』、『火力発電、温暖化を防ぐカギのカギ』、『電気の未来、スマートグリッド』(いずれも電気新聞刊)など多数。

ヒートポンプシステムを上手に使って「熱循環社会」を

<家庭のエアコンや冷蔵庫など、広く使われている>
ご存知ですか。電気の熱効率の壁を超える不思議な技術があります。化石燃料も行ったん電気に変換し、この技術を使えば熱効率が100%を超えてしまうのです。「ヒートポンプ」システムです。あまり聞きなれないかも知れませんが、すでに身近な技術とおして活用されています。家庭のエアコンや冷蔵庫、業務用の保冷庫や冷凍庫、電気温水器「エコキュート」やビル空調などに広く使われています。
「ヒートポンプ」はコンプレッサーの働きにより、環境中の大気や水から(温・冷)熱をくみ上げる技術です。「取り出せるエネルギー量」を「投入したエネルギー量」で割って得られた数字を、ヒートポンプのエネルギー成績係数と言い、「COP」で表します。例えばCOP=2とあれば、投入した電気エネルギーの2倍の熱エネルギー量を環境中から取り出してくることを意味します。家電量販店ではエアコンにこの成績係数を表示していますから、ぜひチェックしてみてください。

<最新のエアコン6倍の熱エネルギーを取り出す>
最新のエアコンはCOP=6以上になっています。つまり、投入電気エネルギー量の6倍の熱エネルギーを取り出してくれます。電気を作る過程でエネルギー損失があることを考慮しても、火力発電所の熱効率が40%の電気の場合、ヒートポンプ性能がCOP=3であれば、化石燃料を100%使い切る以上のエネルギーが手に入ります。COP=6だと熱効率換算では200%超ということになりますね。不思議な技術です。

<無尽蔵に存在する環境熱から取り出す>
ヒートポンプは、正確に表現すると環境中に拡散している無効熱エネルギーの中から、ポンプで熱をかき集めてくるシステムで、熱を作り出すシステムではありません。暖房で使えば使った電気エネルギーの6倍の冷熱を部屋の外から運んでくれます。冷房の場合は逆に温熱を集めて室内に送ってくれます。
冷蔵庫の仕組みも同じです。成績係数COPの数値が大きくなればそれだけ省エネルギーが進みます。そして低炭素化効果も大きくなるのです。無尽蔵に存在する環境熱から取り出してくるのですから、使わずに放っておく手はありませんね。モッタイナイです。

ヒートポンプシステムを上手に使って「熱循環社会」を創り上げていくことが、低炭素化社会の実現につながるのかもしれません。

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