更新日: 2019.01.08 暮らし

ブランド重視だけのお米選びは損!? では、どんなお米を選べばいいの?

執筆者 : 毛利菁子

ブランド重視だけのお米選びは損!? では、どんなお米を選べばいいの?
新潟県魚沼地方(魚沼市、南魚沼市など5市2町)で収穫された魚沼(産)コシヒカリ(※)など、ブランド米の人気は相変わらず高いですが、お値段も高いですね。ところが、高値で流通するがために、ニセ魚沼コシヒカリが相当量、流通しているというニュースをご記憶の方もいらっしゃると思います。この地域内の生産量と流通量がだいぶ違っているというのです。
奮発して買った魚沼コシヒカリに、他地域産のお米が素知らぬ顔をして混じっていたりする可能性があるとしたら・・・出費に見合わない買い物になるかもしれません(それだけでなく、産地偽装は犯罪です)。

(※)新潟県産の場合は、平成17年からコシヒカリBLという品種が作付けされている。従来のコシヒカリとは別品種だが、コシヒカリという銘柄で販売

 
毛利菁子

Text:毛利菁子(もうり せいこ)

農業・食育ライター

宮城県の穀倉地帯で生まれ育った。
北海道から九州までの米作・畑作・野菜・果樹農家を訪問して、営農情報誌などに多数執筆。市場や小売り、研究の現場にも足を運び、農業の今を取材。主婦として生協に関わり、生協ごとの農産物の基準や産地にも詳しい。大人の食育、大学生の食育に関する執筆も多数。

魚沼コシヒカリと同じくらいおいしい米は、意外にたくさんある

さて、「お米界」が気にする日本穀物検定協会という一般社団法人があります。昭和46年産米から、白飯の「外観・香り・味・粘り・硬さ・総合評価」の6項目で食味試験をしてきた団体です。あまり知られていませんが、同協会が基準としているのは「複数産地のコシヒカリのブレンド米」を炊いた白飯です。同じ府県内産の同一品種であっても、地区ごとにテストをしているのがミソです。新潟県のコシヒカリがこれに当たります。

さて、平成28年産米で「基準米よりも特に良好なもの」とされる特Aに輝いたのは、魚沼コシヒカリなど44産地の21品種でした。常連の新潟県内産コシヒカリなどに加えて、新顔の神奈川県産のはるみと広島県産のアキサカリもランクインしました。米どころというイメージのなかった県の米も大健闘しているのです。米どころとして、つとに知られる北陸や東北も、安穏としてはいられない状況になってきています。

ですから、消費者側も「おいしい米産地はここ」、「おいしい品種はこれ」という固定観念を変えないと、損をすることになりかねません。だって、魚沼コシヒカリと同じ特Aランクのおいしい米産地は全国に43もあり、品種だって20もあるのですから。

北海道米も3銘柄が特Aにランクイン!

かつて、北海道は寒さの影響でおいしい米はできないというのが常識/共通認識でした。北海道出身の70代の知人は今でも言います。「中学の修学旅行で青森に行って、宿で食べたご飯の旨さに衝撃を受けたなあ。内地(本州)の人らはこんなに旨いものを食べていたんだ、と」。

数十年前まで、北海道米は「猫またぎ」(猫ですら食べたがらない、という意味)などと揶揄されていました。しかし、平成28年産米のランキングでは、ななつぼし、ゆめぴりか、ふっくりんこの3品種が特Aに輝いています。北海道の気候に合ったこれらの品種を開発した研究機関や、日々の農作業に励んだ農家の努力の賜でしょう。価格はというと、どれも魚沼コシヒカリよりお安くなっています。

「じゃあ、どのくらい安いの?」とお思いの向きもいらっしゃることでしょう。例えば、粘りとコシが特長のななつぼし。7年連続で特Aを獲得している優良品種です。この米は、平成17年から全国の大学生協の食堂で使われてきました。ななつぼしを提供するようになってから、「飯がまずいという声が聞かれなくなった」そうです。生協食堂といえば、食事にお金を掛けられない学生たちの強い味方ですね。つまり、そのくらいお手頃価格だということです。気になる方は、店頭でチェックして、ほかの品種の価格と比較してみて下さい。

用水路を隔てただけで米価は違ってくる!?

「そうは言っても、私は産地重視、味重視だから、値段は高くてもやっぱり魚沼コシヒカリが良いわ」という方もいらっしゃるでしょう。確かに、魚沼コシヒカリは文句なくおいしいですね。現地で食べると、本当にビックリします。

日本穀物検定協会では、新潟県産のコシヒカリは6地域別(上越、中越、下越、魚沼、岩船、佐渡)で食味試験をしています。魚沼産はもちろん堂々の特Aですが、上越、中越、佐渡の米も同じランクなのです。中越の中には、魚沼地域と用水路1本、あるいは道路1本隔てただけの田んぼも、当然ながらあるわけです。そんな農家は悔しそうに言いました。「種籾も、田んぼの雪解け水も、気候も変わんないんだよ。違うのは値段だけだ」。それを聞いて、私はそのことに初めて気がついたものです(農家ごとの栽培技術や意欲には差があるような気はしていますが)。

魚沼産にこだわる方でも、それならば魚沼地域に近い産地の特A米を、魚沼産よりも求めやすい価格で買う、という選択もありだとは思われませんか?

高い米=旨い米、安い米=まずい米という思い込みを捨てよう

消費量が減っているとはいえ、米は日本人の主食です。少しでもおいしいものを食べたい、と思うのは至極当然のことです。同時に、おいしさに見合った価格で買いたい、とも思います。

味覚は人によって違います。炊き方やおかずによっても感じ方が違ってくるものです。ご飯に風味がありすぎても、おかずの味の邪魔をしてしまうことがあります。冷めてもおいしさを保つ米など、品種によって持ち味も違います。また、その年の天候によっても、米の味は左右されます。

高い米=旨い米、あるいは安い米=まずい米という思い込みを捨て、選択肢を広げて賢いお米選びをしてみてはいかがでしょうか。

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