更新日: 2024.09.16 その他
兄から「生活保護」の扶養照会が届きました。私も余裕はないのですが、“援助”ってだいたいいくらなんでしょうか…?
本記事では、生活保護の扶養照会について解説します。ぜひ参考にしてください。
生活保護の「扶養照会」とは
扶養照会は生活保護を申請する際に実施されるものです。原則として、親子、兄弟、祖父母、孫といった三親等以内の親族が対象です。
生活保護費は国や自治体の税金が利用されるため、まずは親族からの支援が求められます。仮に親族に扶養してもらいながら生活保護も受給するという不正受給が発覚した場合は、保護費の返還を求められたり生活保護が打ち切りになったりする可能性があります。
また一度不正受給をすると、再申請しても受給を認められることが難しくなるため、次に生活に困窮した際に生活保護が受けられない可能性があります。
扶養照会は断ることもできる
生活保護の扶養照会は断ることも可能です。なぜなら扶養照会に強制力はないからです。扶養照会を断る理由の例として、「扶養できる経済的余裕がないから」などが挙げられるでしょう。扶養照会を受けた親族側に「経済的に援助できない」という理由があれば断って問題ありません。
また、扶養照会を無視しても「扶養意思なし」と判断をされるのみで、親族が扶養を強いられることはなく、生活保護受給希望者も問題なく受給することができます。
ただし、扶養照会を無視すると、受給希望者が生活保護を受給できるようになるまでに時間がかかるというデメリットが起こります。なるべく無視はせず、早めに返送するようにしましょう。
扶養照会で資産や収入がバレることはない
扶養照会の通知を受け取ると「資産や収入まで調べられてしまうのではないか」と心配になってしまいますが、結論としてはそのような事態にはなりません。前述の通り、扶養照会に強制力はないためです。扶養照会については、収入や資産といった記載したくない情報は記載せず、そのまま返送することも可能です。
中途半端な扶養はよくない結果を招く
扶養照会を受けた親族が避けるべきなのは中途半端な扶養をしてしまうことです。生活保護で受給できる金額は多額とはいえませんが、医療費が無料になるなどのメリットもあります。
しかし親族が扶養する旨を回答した一方で十分な扶養ができていない場合には、受給希望者・扶養者ともによくない結果になってしまいます。中途半端な扶養は双方のためにも避けるようにしたいですね。
まとめ
扶養照会が急に届くと焦ってしまいそうですが、実際には強制力はなく、断るという選択肢を取ることもできます。また、扶養照会を受けたとしても、資産や収入まで調べられることはないため、落ち着いて返送対応を進めましょう。また、生活保護受給希望者が安心して生活をできるよう、「扶養ができるのかどうか」は慎重に検討しましょう。
執筆者:小林裕
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート