更新日: 2024.09.14 子育て
子どもが3人だと「所得制限なし」で「大学無償化」の恩恵を受けられると聞きました。年収700万円ですが、“大学進学費用”は貯めなくて問題ないでしょうか…?
今回の制度拡充を受け、「うちには子どもが3人いるから、大学費用を用意しなくても良いかも?」と期待している人もいるかもしれません。本記事では、2025年度から拡充予定の大学無償化制度の概要や注意点について解説します。
新しい大学無償化制度の概要
2025年度から、3人以上の子どもを同時に扶養している多子世帯を対象に、所得制限なしで大学などの授業料・入学金が無償化されます。無償化の対象になる学校には、大学の他に短期大学や専門学校なども含まれます。
従来、多子世帯であっても年収600万円相当以上の家庭は無償化の対象外でしたが、新制度では所得に関係なく無償化の対象となります。経済状況にかかわらず子どもを大学などに進学させられるようになるため、「子どもをたくさんもうけたいが進学費用が心配」という家庭にとって大きな支援となるでしょう。
子どもが3人以上いれば全員無償化の対象になる?
「子どもが3人以上の世帯は大学無償化の対象」と聞くと、子ども全員が無償化されるような印象を受けるかもしれません。ただし無償化の対象となるには、「3人以上の子どもを同時に扶養している」必要があります。
例えば、それぞれ2学年差の3人兄弟の場合、大学無償化の対象になるかどうかを見てみましょう。
▼1年目
長男:大学1年生 ……大学無償化対象
次男:高校2年生
三男:中学3年生
▼2年目
長男:大学2年生 ……大学無償化対象
次男:高校3年生
三男:高校1年生
▼3年目
長男:大学3年生 ……大学無償化対象
次男:大学1年生 ……大学無償化対象
三男:高校2年生
▼4年目
長男:大学4年生 ……大学無償化対象
次男:大学2年生 ……大学無償化対象
三男:高校3年生
▼5年目
長男:大学卒業
次男:大学3年生 ……【大学無償化対象外】
三男:大学1年生 ……【大学無償化対象外】
この例では、次男が無償化の恩恵を受けられるのは「3年目」と「4年目」の2年間のみであり、三男は完全に無償化の対象外です。このため、全員が無償化の恩恵を受けられるとは限らないのです。
大学費用を全く用意しないのは危険
前項の例の場合、長男が4年間大学無償化となるとも限りません。次男が大学に進学せず就職して扶養から外れると「3人以上の子どもを同時に扶養している」という条件を満たさなくなります。その場合、長男の大学3年生・4年生時は無償化されないため、授業料を全額用意する必要があります。
また無償化されるのは「授業料」と「入学金」のみであり、教材費や実習費は対象外です。今後、制度や家計の状況が変化するリスクもあります。さまざまな可能性をシミュレーションし、できる範囲で大学進学費用を準備しておいたほうが安心でしょう。
大学無償化制度を正しく理解しよう
2025年度からの大学無償化制度は多子世帯にとって大きな助けとなりますが、全ての子どもが無償化の恩恵を受けられるとは限りません。第2子や第3子については恩恵を受けられる期間が短いため、制度の対象となる条件をしっかり理解しておくことが大切です。
子どもの年齢差や将来設計、家計の状況に応じて、進学費用を計画的に用意してくださいね。
出典
文部科学省 「加速化プラン」による施策の充実
執筆者:山田麻耶
FP2級