更新日: 2024.10.05 子育て
子どもがほしいけど、教育費を払えるか不安です。子どもは1人、公立の小・中・高校に通えば世帯年収800万円でも授業料を給料だけでまかなえるのでしょうか?
子どもがほしいと思ってはいるものの、教育費用を準備するために家計が切迫するのではないかと心配だそう。大学費用はコツコツ積み立てる予定ですが、小中高すべて公立に通わせれば今の給料でまかなえるのか確認したいとのことです。
執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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世帯年収800万円で子どもの教育費はまかなえる
子どもの教育費について、小中高でどのくらいかかるかを確認します。
図表1
公立の場合、小学校が1年間で35万2566円、中学校が53万8799円、高等学校が51万2971円となっています。
年収800万円ということは、税金や社会保険料を控除したいわゆる手取り額は80%と考えて640万円になります。そのなかから教育費として、年間約35~54万円の負担があるという計算になり、所得の1割以内に収まっていることが確認できます。
中学・高校の学費(学校教育費)無償化
このうち、国公立学校における義務教育は申請不要で無償化となっています。2024年4月からは高校については所得制限が撤廃されましたので、全世帯が対象となっています。
つまり、学習などは学校だけで、塾や習い事を一切させない、というスタンスを貫くのであれば、年収800万円であれば問題なく教育費の心配はないといえるでしょう。
学校外活動費をどの程度かけるか
「教育費は負担が大きい」とよく言われるのは、この学校外活動費がどの程度かかるのか、あるいはどの程度かけるのかの予測が立てられないためです。
「子どもがほしいけれど、どうしようか……」と、まだ迷っている間は実感もわかないでしょうが、いざ生まれてくると、「あれをさせたい」「これができるようにしてあげたい」など親の夢も子どもにかける期待も膨らんでいくものです。
さらに子どもが小学校、中学校へと進むにつれ、子どもの世界での人間関係が構築されていきます。親もママ友・パパ友仲間が増えてくるにつれ、よその子の学校外活動費(塾や習い事)の様子も気になりますし、子どもに「やってみたい」と言われれば、やらせてあげたいと思うこともあるでしょう。
事実、先ほどの表では、学校教育費よりも学校外教育費のほうが概して高額になっています。この費用は家庭での一存で決まりますし、当然国や自治体からの補助の対象外です。高校に上がれば、部活動によっては、ユニホーム代や用具、楽器などの費用、あるいは遠征や合宿でまとまった出費は避けられません。
「教育費が大変な負担」というのは、公立学校の場合はほぼイコール「習い事にかかる費用が大変」という意味です。そこを「うちはやらない」と言い切ることができるか、逆に際限なく支援していくか、で大きな差が出ます。
上限を設定するなら、きちんと説明が必要
大事なわが子に寄せる期待で、生まれる前は「公立で小中高を通す」という決意は忘却のかなたに飛んで行ってしまった、ということも十分にあり得ます。しかし、一生続く家計を無理なく運営していくためには、上限を設定しなければなりません。
まだまだ、「親の都合で子どもがかなえたい夢を応援してあげられなかった」という考え方は根強いですが、「家庭内の予算」「どうやってやりくりしているのか」「どこまでが許容範囲なのか」などといったことを説明することが大切だという考え方をもった親も増えてきました。
子どもが理解したかどうかを確認しながら腹落ちするように数字を交えて示せば、子どもは自ら「与えられた枠の中で自分の夢を探す」ようになるかもしれません。
出典
文部科学省 結果の概要-令和3年子供の学習費調査
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者