更新日: 2024.09.29 その他

子どもが「奨学金を利用するから大学の費用はいらない」と言っていますが、将来の返済額って毎月どのくらいですか? 新生活の負担にならないか心配です。

子どもが「奨学金を利用するから大学の費用はいらない」と言っていますが、将来の返済額って毎月どのくらいですか? 新生活の負担にならないか心配です。
大学進学には授業料をはじめ、さまざまな費用がかかります。奨学金制度を利用する場合、将来子どもが返済する際にどのくらいの負担がかかるか気になるでしょう。そこで本記事では、奨学金の返済額をシミュレーションするとともに、返済が滞った際に利用できる救済制度について紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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奨学金の主な種類

本項では、日本学生支援機構が提供している奨学金のなかから主な種類を紹介します。奨学金の種類によって、利子の有無が決まります。
 

日本学生支援機構:第一種奨学金

まずは、第一種奨学金の貸与金額と毎月の返済額を紹介します。
 
図表1

月額貸与金額 毎月の返済額 返済年数
4万5000円
(国・公立・自宅通学者)
1万2857円 14年
5万1000円
(国公立・自宅外通学者)
1万3600円 15年
5万4000円
(私立・自宅通学者)
1万4400円 15年
6万4000円
(私立・自宅外通学者)
1万4222円 18年

出典:独立行政法人日本学生支援機構「奨学金貸与・返還シミュレーション」より筆者作成
 
第一種奨学金は、日本学生支援機構が提供する無利子の貸与型奨学金です。第一種は、優れた学業成績を持ちながらも、経済的理由で修学が困難な学生を対象に貸与されます。そのため、有利子の第二種奨学金に比べて、学力や家計に関する選考条件が厳しく設定されていることが特徴です。
 
貸与を受けた場合、返還は卒業などにより貸与が終了してから7ヶ月目から始まります。無利子の奨学金は、経済的な負担を軽減し、優秀な学生が学業を続けられるよう支援する大切な制度といえます。
 

日本学生支援機構:第二種奨学金

次に、第ニ種奨学金の貸与金額と毎月の返済額を紹介します。なお、貸与利率は令和6年度7月の利率1.310%にて計算しています。
 
図表2

月額貸与金額 毎月の返済額 返済年数
3万円 1万103円 13年
5万円 1万4778円 15年
8万円 1万8298円 20年
10万円 2万2873円 20年
12万円 2万7448円 20年

出典:独立行政法人日本学生支援機構「奨学金貸与・返還シミュレーション」より筆者作成
 
第二種奨学金は、日本学生支援機構が提供する有利子の貸与型奨学金です。第一種奨学金とは異なり、利子をつけて返済する必要がありますが、利率の上限は3%です。実際の利率は年度や月によって異なりますが、教育ローンに比べて非常に低い水準で推移しています。
 
第二種奨学金は、比較的広範囲の学生が利用可能で、第一種奨学金に比べて学力や家計の条件が緩和されているのが特徴です。そのため、学費の補助が必要な多くの学生にとって、教育費の負担を軽減する大切な手段となっています。
 

奨学金返済の負担を減らす方法

本項では、奨学金の返済が厳しいときに利用できる制度を紹介します。
 

減額返還制度

減額返還制度は、災害や傷病、その他経済的理由などの理由で奨学金の返済が困難になった場合に、月々の返済額を減額できる制度です。通常、適用期間は1年間で、最大15年まで延長が可能です。返済期間は長くなりますが、返済総額は変わりません。
 
減額返還制度の適用を受けた場合、当初に約束した返済額の2分の1まで減額が可能です。第一種奨学金を利用している方については、平成29年から返済額を当初の3分の1まで減額できるようになりました。
 

返還期限猶予制度

返還期限猶予制度は、災害や傷病、経済困難、失業などの影響で奨学金の返済が困難になった場合に、月々の返済を一定期間延期できる制度です。適用期間は1年間で毎年申請を行う必要がありますが、最大で10年まで延長が可能です。
 
返済の開始を延期できるため、返済金額そのものは変更されず、経済的な負担が軽減できます。しかし、返済期間が長くなるため、返済完了までの期間が延びる点には注意が必要です。返還期限猶予制度は、困難な状況に直面したときでも柔軟に対応できる手段といえます。
 

在学猶予制度

在学猶予制度は、奨学金受給者が学校に在籍している間、奨学金の返済を延期できる制度です。学校に通っている間は最大で10年間まで、月々の返済を猶予できます。猶予の申請には在学猶予願(在学届)の提出が必要で、有効期間は1年のため毎年猶予の申請を行う必要があります。
 
在学期間中に返済がスタートしないことから、学業に集中できる環境を提供するための制度といえるでしょう。通信制大学に通っている場合でも利用が可能です。
 

奨学金の返済額は種類によって異なる

奨学金の返済額は種類や借りる金額によって異なるため、条件にあわせてシミュレーションを行い、実際の返済額を算出しましょう。返済が厳しくなった場合に利用できる制度も複数あるため、返済が遅延する前に対策を立てておくのがおすすめです。
 

出典

独立行政法人日本学生支援機構 JASSO 奨学金貸与・返還シミュレーション
独立行政法人日本学生支援機構 JASSO 月々の返還額を少なくする(減額返還制度)
独立行政法人日本学生支援機構 JASSO 返還を待ってもらう(返還期限猶予)
独立行政法人日本学生支援機構 JASSO 在学猶予
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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