更新日: 2024.09.26 その他

祖父が自宅の庭で“野焼き”をしていたのですが、問題ないのでしょうか?祖父は「昔からしているから大丈夫」と言うのですが…

祖父が自宅の庭で“野焼き”をしていたのですが、問題ないのでしょうか?祖父は「昔からしているから大丈夫」と言うのですが…
野外でごみを燃やす「野焼き」。家族が自宅の庭で行っている姿を見たことがある方もいるかもしれません。しかし、自宅での野焼きに法的な問題はないのか気になる方もいるでしょう。「昔からしているから大丈夫」という認識は、本当に正しいのか疑問を感じる方もいるのではないでしょうか。
 
そこで今回は、野焼きの法律上の扱いを解説します。家族の野焼きに不安を感じている方はぜひご覧ください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。

「野焼き」は違法行為にあたる可能性が高い

野焼きは「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第16条の2で原則禁止されています。違反すると同法第25条により、5年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。
 
野焼きが禁止されている主な理由は、火災のリスクがあることとすすや臭いなどが近所迷惑になること、PM2.5やダイオキシン類などの有害物質を発生させるおそれがあるからです。
 
環境省によれば、PM2.5は大きさが2.5マイクロメートル(1マイクロメートル=1/1000ミリメートル)以下の粒子のことです。ぜん息などの呼吸器系疾患への影響や、肺がんリスクの上昇、循環器系への悪影響などがあるとされます。
 
一方ダイオキシン類は、炭素や水素、塩素を焼却する過程などで生じる物質です。公益社団法人日本WHO協会によれば、生殖、発育、免疫系、ホルモンなどに悪影響を及ぼし、発がんリスクがあるとされています。また広島県が公表している情報によると、一度体内に入ったダイオキシン類が半分の量になるには、約7年かかるとのことです。
 

「野焼き」が例外的に認められることもある

原則は禁止されている野焼きですが、畑などでまれに目にすることもあるでしょう。そうしたケースは、法律上の例外に該当している可能性が高いです。「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」第14条によれば、具体的には以下の5つの場合にのみ野焼きが認められます。

1.国、地方公共団体が施設管理を行うために必要なもの(例:海岸管理者による漂着物等の焼却など)
2.自然災害などの予防や応急対策、復旧のために必要なもの(例:災害時における木くず等の焼却など)
3.地域の風習や宗教行事のために必要なもの(例:どんど焼きなど)
4.農業、林業、漁業を営む上でやむを得ないもの(例:農業者が行う稲わら等の焼却など)
5.日常生活を営む上で通常行われる廃棄物焼却であり、軽微なもの(例:たき火、キャンプファイヤーなど)

ただし上記に該当する場合でも、野焼きが許可されているというわけではなく、野焼き以外で対処できるのであればそちらを活用することが推奨されています。
 
また、家庭から出たごみを混ぜたり、ビニール・プラスチック類を焼却したりはできません。違反すると、前述した「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第25条により、5年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方を科される場合があります。
 
例外として野焼きを行う際は以下の点を徹底しましょう。

●近所の了解を得る
●風の向きや強さ、燃やす場所や量などを考える
●草木は乾燥させ、煙の発生量をおさえる
●焼却中はその場を離れない
●消火する際は、水を入念にかけ、完全な消火を確認する

延焼となると大惨事につながりかねません。万が一にも迅速に対応できる体制が不可欠といえるでしょう。
 

平成13年4月以降、「野焼き」は原則禁止されている

野焼きは実施場所を問わず原則違法行為です。違反すると、5年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。
 
なお千葉市によると、野焼きが禁止になったのは平成13年4月のことです。今回のケースのような「昔からやっている」という主張は、過去の記憶に基づいていると思われます。そうした場合は、法律改正で野焼きが違法行為となったことを伝え、代替方法を提案するとよいでしょう。具体的には、地域のごみ回収日での廃棄や、業者への回収依頼などが考えられます。
 

出典

e-Govポータル法令検索 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号) 第四章 雑則 第十六条の二(焼却禁止)、第五章 罰則 第二十五条
e-Govポータル法令検索 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四十六年政令第三百号) 第六章 雑則 第十四条(焼却禁止の例外となる廃棄物の焼却)
環境省 大気環境・自動車対策 大気汚染対策 微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報 3.注意喚起のための暫定的な指針 微小粒子状物質(PM2.5)に関するよくある質問(Q&A)(1ページ)
広島県 ダイオキシン類は,どのようにして私達の体の中に入ってくるのですか?
公益社団法人日本WHO協会 WHOファクトシートをさがす 環境要因・事故 ダイオキシン
千葉市 野焼きの禁止
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集