更新日: 2024.09.26 その他
最近、ガソリンスタンドで「ぶら下がっているタイプの給油機」を見かけなくなりましたがなぜでしょうか?
今回は、ガソリンスタンドの給油機の変化について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
目次
ガソリンスタンドは減少傾向にある
ガソリンスタンド自体の減少も、懸垂式の給油機を見なくなった理由と関係があるようです。2018年度〜2022年度までの全国のガソリンスタンド数は、表1の通りです。
表1
出店数 | 対前年増減数 | |
---|---|---|
2018年度 | 3万70軒 | -677 |
2019年度 | 2万9637軒 | -433 |
2020年度 | 2万9005軒 | -632 |
2021年度 | 2万8475軒 | -530 |
2022年度 | 2万7963軒 | -512 |
※経済産業省資源エネルギー庁「令和4年度末揮発油販売業者数及び給油所数を取りまとめました」を基に筆者作成
表1のように、毎年およそ400〜700軒のガソリンスタンドが減少しています。ハイブリッド車や電気自動車など、燃費性能の高い車が普及したことも原因の1つと考えられるでしょう。
昔よりも車の燃費が向上したことで、ガソリンスタンドを利用する機会が減り、利用者が減少したとも考えられます。また、ガソリンスタンドの利用者が減ると、売上も比例して少なくなるため、経営が難しくなるかもしれません。
懸垂式のガソリンスタンドが減少している理由
ガソリンスタンドで懸垂式の給油機を見かけなくなった要因の1つとして、セルフ式ガソリンスタンドの増加も影響しているようです。セルフ式ガソリンスタンド数の変遷は、以下の通りです。
●平成14年度末:2523件
●平成19年度末:7023件
●平成24年度末:9275件
●平成29年度末:1万100件
●令和元年度末:1万320件
●令和2年度末:1万467件
●令和3年度末:1万608件
●令和4年度末:1万721件
このように、セルフ式ガソリンスタンドは、平成29年度末まで急激に増加し、以後毎年増えていることが分かります。
なお、セルフ式ガソリンスタンドを運営する際の給油機は、懸垂式と地上に設置するタイプのどちらでも問題はないようですが、運用のしやすさから、地上に設置するタイプが多く採用される傾向にあります。
懸垂式の給油機は設置コストが高い傾向にある
懸垂式の給油機は、地上設置式に比べるとコストがかかるようです。
懸垂式は、地下の貯蔵タンクからガソリンを汲み上げるポンプ装置が必要となります。また、動力制御装置、給油量や料金の表示装置、吊り下げられた給油ホースの格納部分などが分散しているため、システムを構築する際の配管工事費が発生するようです。
以上のことから、懸垂式は設置コストがかかるため、地上設置式の給油機を採用するガソリンスタンドが多くなっていると考えられます。
懸垂式給油機の減少は、設置コストの高さとセルフ式ガソリンスタンドの増加が原因
懸垂式のガソリンスタンドが減少した理由としては、ガソリンスタンド数の減少と、セルフ式ガソリンスタンドの増加が関係しているようです。セルフ式ガソリンスタンドでは、地上設置式給油機の方が運用しやすいため、懸垂式ガソリンスタンドの新規出店が減っていると考えられます。
さらに昨今は、燃費性能の高い車が普及しているため、ガソリンスタンドの利用頻度が減っていることも原因の1つでしょう。
国土交通省はカーボンニュートラルに向けて、2035年には新車販売を電動車のみとする目標を公表しています。それにより、今後もガソリンスタンドの利用が減るため、結果としてガソリンスタンドの減少が続く可能性があります。
出典
経済産業省資源エネルギー庁 令和4年度末揮発油販売業者数及び給油所数を取りまとめました
一般財団法人 日本エレルギー経済研究所 石油情報センター セルフSS出店状況 調査結果について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー