更新日: 2024.09.18 その他
病院で「点滴」の注射を刺されたときに異常な痛みが…我慢するも数分後に失敗と分かり「打ち直す」と言われましたが拒否。この場合、点滴の費用はかかるのでしょうか?
今回のケースのように、点滴で大きな痛みを感じ、かつ失敗した場合、患者としては医療費の支払いが発生するのか疑問に思う人もいるでしょう。
本記事では、医療費の基本情報および医療行為に失敗があったときの対応について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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「診療報酬制度」の基本的な仕組み
公益社団法人全日本病院協会によると、私たちが医療機関で支払う医療費は、医療機関側では「診療報酬」とも呼ばれます。診療報酬は「診療報酬制度」に基づくものです。
診療報酬制度の下で、医療機関は提供した医療サービスに対する対価として診療報酬(医療費)を受け取ります。
診療報酬を支払う義務は基本的に、その医療サービスを受けた医療保険の被保険者(患者)と、医療保険の保険者にあります。被保険者は医療費の一部を支払い、保険者が残りを払います。
今回のケースで、患者が医師の診療を受けてから点滴行為を受けたと仮定した場合、患者は一定の医療サービスを受けたことになります。そのため原則的には、診療報酬の請求が発生するものと考えられます。
点滴に失敗した場合でも医療費を支払うべき?
とはいえ今回のケースでは、医療行為に失敗が認められています。また点滴のやり直しを拒否しており、正常な医療サービスを受けていない状態といえるでしょう。そのため患者側としては、点滴にかかる診療報酬の請求に納得できないかもしれません。
このようなケースで医療費の支払いがどうなるかは一概にいえません。該当医療機関や健康保険組合などに相談し、支払いの必要性の有無を確認することになるでしょう。
仮に穿刺した方法が悪く、通常の注射では感じない異常な痛みやしびれを感じたり、異常が残ったりすれば、もしかしたらお見舞金の支払いを打診されるかもしれません。あるいは点滴以外の診療報酬の支払いのみ求められる可能性もあります。
ただし刺した瞬間に異常な痛みを感じたのに、何も伝えずに我慢してしまったことで、不必要な痛みや失敗に気づくまでの時間のロスが発生したことも考えられます。この場合、単に打ち直しに協力するよう打診されるだけとなるかもしれません。
注射失敗における医療機関側の責任
採血など医療機関が患者に注射を実施したものの、失敗して神経損傷などを起こした場合、医療機関側の責任が大きく問われることもあります。実際、裁判が行われて医療機関側に損害賠償が命じられるケースも過去にありました。
例えば看護師の注意不足が原因で、点滴時の穿刺行為により後遺障害が残った事例では、医療費や慰謝料などを合わせた数千万円の支払い命令が被告に命じられています。
一方別の例では、医師から採血を受けた患者が後に左腕の腫れを訴え、神経損傷があったことが認定されました。しかし穿刺方法による損傷が不可避なケースだったと判断され、原告の請求は棄却されています。
このように医療機関による注射については、さまざまなケースがあり、今回のケースがどう処理されるか明確な判断はできないといえます。
診療報酬に疑問が残る場合は医療機関や健康保険組合に相談する
注射の失敗が発生した場合、医療費の支払い義務が免除されるか義務とされるかはケースバイケースであり、明確なことはいえません。
特定の医療行為とその支払いに対して疑問が生じる場合は、支払い拒否を強行するのではなく、まずは該当医療機関や健康保険組合に相談しましょう。
出典
公益社団法人全日本病院協会 みんなの医療ガイド 医療費の仕組み
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー