千葉駅から我孫子駅構内の「唐揚そば」を食べに行きたい! 改札を出ないなら“初乗り切符”150円で食べに行ける? 往復「1480円」払う必要があるの? 大回り乗車の特例もあわせて解説
配信日: 2024.09.05
しかし、電車に乗らずに駅ナカ施設を利用する場合は入場券、電車に乗って駅ナカ施設を利用し、再び戻ってくる場合は往復の運賃を支払う必要があります。
例えば、片道720円の運賃がかかる駅まで往復したにもかかわらず、入場券や初乗り切符、区間外の定期券で改札を出入りすることは、不正乗車に当たります。しかし、ある特例を使えば、初乗り料金で離れた駅構内の施設を使える場合があります。
きっぷのルールを確認しながら、離れた駅の施設を賢く使う方法を見ていきましょう。
千葉駅と我孫子駅を入場券や初乗り運賃で往復するのは不正
我孫子駅の構内(改札内)には、唐揚そばで有名な駅そば・弥生軒があります。例えば千葉駅に住む人がこの唐揚そばを食べに行く場合を考えましょう。
JR東日本のルールでは、改札を出なくても、実際に電車に乗った区間の運賃支払いを求められます。千葉駅から我孫子駅までの運賃は740円(ICカードを使わない場合)です。仮に改札を出ない場合でも往復で1480円支払わなければなりません。
入場券を買って千葉駅の改札を出入りすることも、初乗り運賃を払って千葉駅と我孫子駅を往復した後、千葉駅の隣駅・東千葉駅を出ることも不正乗車です。駅員に指摘を受けた場合、不正乗車となり、本来支払うべき運賃の3倍相当額の支払いを求められる可能性があります。
例えば千葉駅から西船橋駅の定期券を持つ人が、西船橋駅の改札から入り、我孫子駅を往復したのちに千葉駅の改札から出るといった行為も不正乗車です。
定期券区間外運賃の3倍相当額の支払いに加えて、定期券没収のペナルティが科される可能性があります。
大回りの特例を使えば初乗り運賃でも行き来できる!
千葉駅から我孫子駅まで行って東千葉駅で出る場合、「大都市近郊区間内のみをご利用になる場合の特例」を使えば、初乗り運賃で行き来できます。
この特例は、「大都市近郊区間内のみを普通乗車券で利用する場合は、実際に乗車する経路にかかわらず、最も安くなる経路で計算した運賃で乗車することができる」というものです。ただし、同じ駅を通らないこと、途中下車をしないこと(改札を出ないこと)が求められます。
図表1はJR東日本の大都市近郊区間を示しており、千葉駅、我孫子駅、東千葉駅の順に、重複せずに乗り継げば特例が適用され、千葉駅から東千葉駅の運賃(初乗り150円、ICカードを使わない場合)で済むというわけです。
図表1
JR東日本 きっぷあれこれ
具体的には、まず千葉駅から西船橋駅、新松戸駅の順に乗り換え我孫子駅構内のそば屋で食事をします。帰りは我孫子駅から成田駅へ行き、佐倉駅を通って東千葉駅(図表1の佐倉駅と千葉駅の間にある駅)で下車すれば、重複することなく目的を果たせるのです。
ちなみに東千葉駅と千葉駅は約850メートルしか離れていません。
初乗りきっぷは一定以上の時間が経過すると、自動改札が閉まってしまうことがあるため、その場合は係員のいる出口を使います。長い時間構内に滞在していた理由を尋ねられることがあるため、通ってきたルートの説明ができるように準備しておくと良いでしょう。
電車の運賃は正しく払うことが大切! 特例を上手に使おう!
電車の運賃は、改札を出入りした駅の間のみ支払えばいいと思われがちです。しかし本来のルールは、改札を出なくても実際に乗った区間の運賃が必要で、これに従わなかった場合は、不正乗車となり3倍の料金支払いが求められる可能性があります。
不正乗車を指摘され、後悔することのないように、運賃は正しく支払いましょう。
しかし、大都市近郊区間内のみをご利用になる場合の特例、つまり重複せずに一筆書きで乗車する場合は、初乗り運賃でも遠くの駅に行くことが認められているのです。
途中下車ができないことや、大回りすると時間がかかることに注意は必要ですが、上手に使えば、初乗り運賃で遠く離れた駅ナカグルメを楽しめるかも知れません。
出典
JR東日本 旅客営業規則
JR東日本 きっぷあれこれ 大都市近郊区間内のみをご利用になる場合の特例
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士