高速道路で「オービス」を光らせてしまいました。スピード違反でも「前科」がつくと聞いたことがありますが、公務員の私は“クビ”になる可能性もありますか?「青キップ」なら大丈夫でしょうか…?
配信日: 2024.07.31
「オービスによる取締りを受けると、罰金刑に処されて前科がつく」と耳にしたことがある人もいるでしょう。過去に法律をおかし有罪判決を下されたことを示す「前科」がつくと失職したり、医師や薬剤師のような国家資格を失ったりすることもあるため、自分がどうなるか不安になる人もいるはずです。
本記事では、オービスによる取締りで前科がつくのは本当なのか、スピード違反で職を失うことはあるのかを見ていきます。
目次
スピード違反に対する罰則は6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金
道路交通法第22条にて「車両は、道路標識等や政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない」旨が規定されています。
同法第118条により「第22条(最高速度)の規定に違反した場合は6ヶ月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する」旨、記載されているとおり、スピード違反は懲役または罰金につながる行為です。
懲役はもちろん、罰金も刑事罰なので、スピード違反でも「前科」がつく可能性はあります。ただし、スピード違反が必ずしも前科につながるとは限りません。最高速度をどれだけ超過したかによって罰則の内容が変わります。
速度超過が一般道30km/h(高速道路40km/h)未満なら反則金で済む
交通違反の中でも軽微なものであれば、交通反則通告制度に基づいた手続きが行われます。通称「青キップ」と呼ばれる制度で、反則金の支払いを行えば刑事処分が免除される仕組みです。
スピード違反においては一般道では30km/h未満、高速道路においては40km/h未満の速度超過であれば、交通反則通告制度を適用できます。オービスに感知されても、速度超過が青キップの範囲に収まっていれば前科がつくことはありません。
青キップが適用できない違反の場合は前科がつく
一般道で30km以上、高速道路においては40km/h以上の速度超過を犯した場合、交通反則通告制度が使えず、刑事裁判にかけられ刑事罰が科せられます。
スピード違反などの交通裁判の場合は警察官と検察官の事情聴取の後、検察官が略式起訴相当と認めた場合に裁判所へ申請を行い、裁判所が略式命令という形で罰金を決定することが多いようです。
ただし、罰金刑も刑事罰なので前科がついてしまいます。履歴書に賞罰欄があれば書かなければなりません。これは罰金を支払って5年経過し、刑が消滅するまで続きます。
青キップ相当の違反でもオービスは光る?
オービスを光らせた瞬間は、自分がどれほどの速度超過をしているか分かりません。以前は青キップ相当の違反であれば、オービスが光ることはないと言われていました。つまり、オービスを光らせることは「前科がつく違反をした」ことと同義だったのです。
警察はオービスでの取締りの基準を公表しておらず、真偽はわかりません。近年は青キップ相当の違反でも取締りを行っているとも言われています。
万が一オービスに検知されてしまったら、後にできることは青キップ相当であることを祈るのみです。
公務員の地位や国家資格を失う可能性はある?
刑事罰を受けると公務員は職を失い、医師や薬剤師などは国家資格を失うと言われることがありますが、実際はどうでしょうか。
地方公務員法第16条では、「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者」を「条例で定める場合を除くほか、職員となり、又は競争試験若しくは選考を受けることができない」と定めています。したがって、スピード違反で刑事罰が科されたことを理由に公務員が職を失うことはないでしょう。
一方で医師の場合は、罰金刑以上が「相対的欠格事由」となっています。2023年11月22日に行われた医道審議会医道分科会議では、速度超過によるものかどうかはわかりませんが、道路交通法違反を犯した医師に医業停止4ヶ月が言い渡されています。
仕事をクビにならない、あるいは資格取り消しにならないなら大丈夫というわけではありませんが、スピード違反が仕事にも大きな影響を及ぼす可能性があることを肝に銘じておきましょう。
スピード違反で後悔しないように安全運転を
スピード違反をしてしまうと、超過速度によっては前科がついてしまいます。職業にかかわらず前科がつくことによって今後に大きな影響を与える可能性があることがあるのです。自分がどんな立場であっても交通ルール遵守を心がけましょう。
出典
e-Gov法令検索 道路交通法
e-Gov法令検索 地方公務員法
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士