私が暮らすアパートには「ごみステーション」があります。ごみの種類ごとに出す曜日が決まっているのですが、ルールを守らない場合、強制退去になるでしょうか？

各地域で曜日や時間が指定されている「家庭のゴミ出し」ですが、ルールを無視して関係ない曜日にゴミ出しする方も一定数いるものです。なかには「出張があるから」「旅行でゴミ出しに間に合わないから」といった理由で早いうちからゴミを出す方もいるでしょう。
 
今回は、自治体や物件のルールを無視してゴミを出すリスクについて解説します。

ゴミ出しの曜日と時間は自治体やマンションで定められている

ゴミ出しはアパートやマンションが独自に指定しているものもありますが、基本はお住まい地域の自治体によってルールが定められています。ルール内容は自治体によって微妙に異なりますが、大体は以下の内容であることがほとんどです。
 

・地域指定のゴミ袋を使用している
・早朝〜朝8時の間に出す
・決められた曜日と場所に出す
・液体はそのままゴミ袋に入れない

 
上記のルールの守らずにゴミ捨てをすると悪臭や犯罪の温床になり得るため、許している自治体やマンションは原則としてないといえるでしょう。
 

ルールを守らないと廃棄物処理法に違反する

物件や自治体の定めるルールを破ってゴミを捨てると「廃棄物処理法」に違反し、６ヶ月以下の懲役または５０万円以下の罰金に処せられる可能性があります。ルールを無視したゴミ捨ては廃棄物処理法第16条における「何人もみだりに廃棄物を捨ててはならない」に抵触すると認められるため、法的な処罰の対象です。
 
たとえ曜日や時間以外の規定を守っていたとしても、定められていない期間中のゴミ捨ては「不法投棄」と同じにみなされます。1回の無視だけで法律違反として摘発されるとは限りませんが、同じ行為を繰り返すと近隣住民や賃貸物件の管理人経由で摘発される可能性は高いでしょう。
 

ほかの居住者に損害を与えると強制退去や賠償もあり得る

ルールを無視してゴミを捨てると、可燃ゴミならカラスがゴミ袋を食い破って散乱したり、中身が腐敗して悪習を放ったりすることがあります。
 
原則としてルール無視だけで強制退去につながる可能性は低いといえますが、ゴミ捨てのせいでほかの居住者や近隣住民に損害を与えた場合はこの限りではありません。また、ルールを無視したゴミ捨てにより物件のオーナーに損害を与えた場合も、契約解除の事由とみなされる可能性があります。
 
例えば不法に捨てた生ゴミをカラスが荒らして敷地内に大規模な清掃が必要なレベルの汚れを生じさせている場合、物件のオーナーに損害を与えたといえるでしょう。
 

時間や曜日を無視してゴミ出しするリスク

ここからは、自治体や物件のルールを無視してゴミを出すリスクについて解説します。ゴミ捨てにルールがあるのは、相応の理由が存在するからです。勝手にゴミ捨てすると、以下のリスクが発生します。
 

カラスによるゴミの散乱・悪臭

ルールを無視してゴミを出すと、カラスがゴミを散乱させてしまい、悪臭を放つ原因になり得ます。とくに指定の曜日よりも早くにゴミを出してしまうと、カラスやカラス以外の害獣がゴミを発見してしまう可能性を高めるのです。
 
また、周囲に散らかったゴミの処理は自分自身で行わなければならないため、手間を省こうとした結果、面倒な手間を生じさせてしまいます。
 

個人情報の流出

ゴミのなかには住所や電話番号といった個人情報が記載された書類も含まれます。あまりにも早くからゴミを出してしまうと、悪意を持つ第三者によってゴミのなかを荒らされて情報が流出してしまうかもしれません。
 
とくに夜中は人の出入りも少ないため、悪意のある第三者や泥棒に絶好の機会を与えてしまうのです。
 

周辺環境の悪化

ルールを無視してゴミを捨て続けると、そのうち同じ物件の住民や近隣の人たちから「ここは勝手にゴミを捨てても大丈夫」と認識されてしまい、不法投棄が常態化してしまいます。お住まい地域によってはゴミ出しのタイミングを逃した別の物件の人が勝手にゴミを置いて帰るといった事態も起こるでしょう。
 
不法投棄が増えると、悪臭やゴミの散乱が常態化し近隣のモラルも悪化するため、めぐりめぐって自身の生活環境を悪くしてしまうのです。
 

不法投棄はリスクの高い行為

ゴミ捨ては一定のルールを守っているからこそ、物件内やお住まい地域の綺麗さが維持されています。この秩序が破られると、周囲はゴミが散乱して悪臭を放つ劣悪な地域に変貌してしまうでしょう。
 
場合によっては不法投棄として法的に処罰される可能性や、物件の強制退去もありえます。ゴミ捨てはルールを守って行いましょう。
 

出典

兵庫県弁護士会　「ごみ出しのルール－守らなければ罰則適用も」神戸新聞 2003年2月4日掲載
神戸市　ごみと資源の分け方・出し方
大田区　可燃ごみ
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー