更新日: 2024.07.21 その他
よく配送を頼んでいるので、「物流の2024年問題」が気になります。配送料が高くなってしまうのでしょうか?
本記事では、物流の2024年問題の概要を紹介するとともに、解決するために荷主や一般消費者にできる取り組みを紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
物流の2024年問題とは?
公益社団法人 全日本トラック協会によると、「2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制と改正改善基準告示が適用され、労働時間が短くなることで輸送能力が不足し、『モノが運べなくなる』可能性が懸念されている」と述べています。このことを総称して「物流の2024年問題」と呼ぶようです。
もっとも、トラックやバス、タクシードライバーなど、働き方改革が目指す制限時間と現実がかけ離れていた職種については、適用されるまでの猶予が与えられ、2024年3月31日までは時間外労働の上限規制なしに業務につくことができました。
しかし、4月1日からは36協定の締結を条件に、時間外労働の上限を年間960時間までとする制限が適用されたのです。現在は「自動車運転業務」についての時間外労働の上限規制は960時間ですが、将来的には、ほかの職種と同様に年間720時間を上限となる可能性もあるでしょう。
荷主に関係する影響
物流業界では、トラックドライバーの労働時間が制限されることで、より人材を確保する必要が発生し、人件費の高騰や利益の減少などの影響が考えられます。利益を維持・確保するために運賃の値上げが発生する可能性もあるでしょう。運送費の上昇は、荷主が販売する商品の値段や送料にも影響を与えると考えられます。
また、物流業界で発生した人材不足によって、配送を断られたり、指定日の配送に対応してもらえなかったりなどの問題が発生する可能性もあるでしょう。食品や冷蔵品などは、スピーディーに発送する必要があるため、配送の滞りは大きな影響を与えます。また、長距離の輸送ができなくなる可能性も考えられています。
一般消費者に関係する影響
物流業界で人材が不足すると、一般消費者がこれまで選択できた当日配送や指定日配送などのサービスを利用できなくなるおそれがあります。現在、ネットショップでは野菜や果物、水産物などの生鮮食品も販売されていますが、当日・翌日配送が難しくなれば、生鮮食品の販売はできなくなってしまうでしょう。
つまり、物流業界の人件費が高くなれば、運送費が上がり、一般消費者が利用する配送料にも影響をおよぼすのです。今後は、当日・翌日配送時や再配達時に追加料金が発生することは当たり前になるかもしれません。
物流の2024年問題を解決するためにできること
ここでは、物流の2024年問題を解決するために、荷主や一般消費者一人ひとりができる取り組みについて紹介します。
荷主にできること
今や年中忙しいイメージのある物流業界ですが、ネットショップの普及が進んだことで、クリスマスなどのイベントがある時期は特に忙しくなりました。イベントやセールがある時期の物流業界はただでさえ忙しいというのに、人材が不足した状態では、すべての配送がまかなえず混乱をまねくおそれがあります。
荷主としては、消費者にまとめ買いを訴求して配送回数を削減する取り組みを意識しましょう。例えば、まとめ買いで割引が受けられるキャンペーンを実施すれば、消費者の注文回数が減り、配送回数の削減につながります。
一般消費者にできること
物流業界の問題は、働き方改革だけが影響しているわけではなく、ネットショップの普及によって一般消費者が配送を頻繁に利用することも要因の一つと考えられています。ネットショップで商品を注文する際は、数日に小分けするのではなく、1回の注文でまとめて購入するようにすれば、配送回数を1回にまとめることが可能です。
また、必ず受け取れる日を指定して、再配達の回数を削減することも、ドライバーの負担を軽減することにつながります。直接受け取れない場合には、置き配や宅配ボックスを活用しましょう。
運賃の値上がりは配送料の負担を増やす可能性がある
物流の2024年問題によって運賃の値上がりが避けられない場合、私たちが利用している配送料金も上昇する可能性があります。物流業界やトラックドライバーの負担を軽減し、運送費の上昇を抑えるためには、荷主と一般消費者も、配送業者の負担を減らすための取り組みを意識する必要があるでしょう。
出典
公益社団法人 全日本トラック協会 知っていますか? 物流の2024年問題
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー