愛犬を自転車のかごに乗せて散歩する人…これって法律的に問題ないの?
配信日: 2018.12.11 更新日: 2019.01.10
その一方、「徒歩ではなく、自転車のかごに愛犬を乗せて散歩を楽しんでいる」。そんな話を聞くこともあります。
そこで、今回は愛犬を自転車のかごに乗せて散歩することが、「法律的に問題があるのか?」について検討していきます。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
愛犬をかごに乗せると違反になる可能性が
結論から述べると、愛犬をかごに乗せた状態で自転車を運転してしまうと、道路交通法などの諸法令により、5万円以下の罰金に科せられる可能性があります。
なぜなら、道路交通法71条では、「車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない」とし、71条の6号では次のように定められているからです。
前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項
※前各号とは、安全確認など運転者の義務について定めた内容です。
上記条文をみると、「愛犬をかごに乗せて自転車を運転してはいけない」とまで直接的には書かれておらず、道路や交通の状況によっては許されると解される余地があるように感じます。
しかし、上記条文をもとに、各都道府県はそれぞれ条例などを制定しており、そこで「安定性を欠くような状況で運転をしてはいけない」などといったようなルールを定めていることがほとんどです。
犬は動物であり、いくら安全に気を配っていたとしても状況次第では突発的に動いてしまい、運転者もそれに驚いて安定性を欠き、なんらかの事故を引き起こす可能性もあります。
その点を考慮すると、愛犬の動きについて、なんらかの対策を講じることのないまま、愛犬を自転車のかごに乗せて運転する行為は、上記道路交通法の規定や公安委員会の定める諸規則、あるいは各都道府県の定める条例などに違反し、処罰の対象となるおそれがあるのです。
また、その際の罰金は5万円(道路交通法120条9号)と定められており、決して安い金額ではありません。
民事上の責任が発生する可能性も
仮に、愛犬が突然かごから抜け出してしまい、なんらかの事故を引き起こしてしまったと仮定しましょう。
このとき、突然飛び出してきた愛犬を避けるために他者がけがをしてしまったり、愛犬が他人に噛みついたり、襲いかかってしまうなどの被害が発生してしまうと、上記道路交通法の規定による罰則のみでなく、民事上の責任を負うこととなるおそれもあります。(民法718条など)
道路交通法による罰則と民法上の責任は別物であり、両面から責任を問われるおそれもあることに留意しておいてください
愛犬の散歩には充分な注意を!
自転車での散歩は気持ちがよく、ついつい「愛犬をかごに乗せて」と考えてしまうこともあるでしょう。
しかし、状況によっては自転車の運転に支障をきたし、自身や愛犬だけでなく、場合によっては周囲の人にまで危険を及ぼしてしまうおそれもあります。
それにより、道路交通法や民法などの各種法令による規制の対象となってしまうこともあるでしょう。また、愛犬をかごに乗せておらずとも、周囲に気を配らないような方法で散歩をしてしまうと、関係する諸法令により責任を問われることも考えられます。
愛犬との散歩を楽しむ際は必ず周囲の状況に配慮し、安全の確認を怠らないようにしましょう。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士