更新日: 2019.01.08 その他

<身近な電気の話> 電気の「道の駅」

執筆者 : 藤森禮一郎

<身近な電気の話> 電気の「道の駅」
日本のエネルギー市場は規制がなくなり自由化されました。昨年4月に電力が、今年4月には都市ガスが市場競争に移行し、エネルギー間の壁がなくなりました。電力小売市場には多くの300社以上の「新電力」が参入し、新たなサービス競争が始まっています。そこで安さ以外にも魅力の「地域新電力」に注目してみます。
藤森禮一郎

Text:藤森禮一郎(ふじもり れいいちろう)

フリージャーナリスト

中央大学法学部卒。電気新聞入社、電力・原子力・電力自由化など、主としてエネルギー行政を担当。編集局長、論説主幹、特別編集委員を経て2010年より現職。電力問題のコメンテーターとしてテレビ、雑誌などでも活躍中。主な著書に『電力系統をやさしく科学する』、『知ってナットク原子力』、『データ通信をやさしく科学する』、『身近な電気のクエスション』、『火力発電、温暖化を防ぐカギのカギ』、『電気の未来、スマートグリッド』(いずれも電気新聞刊)など多数。

地域新電力の経営の主体は自治体や市民生協など

市場に参入した300社以上のうち地域新電力はまだまだ少数で小規模ですが、主要な会社としては、泉佐野電力、とっとり市民電力、浜松新電力、はりま電力、中之条新電力、水戸電力、鹿児島電力、北上新電力、湘南新電力、みやまスマートエネルギ、やまがた新電力、和歌山新電力―などがあります。

地域新電力の経営の主体は自治体や市民生協などです。太陽光、風力、地熱、バイオマスなど「地場エネルギーを活用した町おこし」や災害時の非常用電源の確保に役立つ電力システムが狙いです。地域のエネルギーで発電した電気を地域で消費すれば、雇用も増え地元でお金が回りますから、一石二鳥あるは三鳥の地域活性化効果が得られます
再生エネルギープロジェクトには大きく分けて、①日照時間の長い地域の太陽光発電を核にした取り組み、②通年で風が強いところでは風力発電を核にした取り組み、③森林資源の豊富なところでは、木質バイオマス発電を核にした取り組み、④これらを複数組み合わせて、環境負荷の低い電気を利用する取り組み―の4つがあります。自分の支払っている電気代が地方活性化に役立っていると思うと、嬉しくなりますね。

再生可能エネルギーの電気は供給が不安定でコストが高く難点はありますが、地方創生プロジェクトとして取り組む自治体が増えてきています。国や県の支援や補助を利用して「身の丈に合った」再エネ事業として期待が膨らんでいます。
まだ広く一般消費者に届くほどの規模ではないですが、地元の人たちが協力しあって地場エネルギーを活用して地方創生を目指す「地域グリーン電力」に注目です。地元産品の販売やB級グルメなどがんばる「道の駅」にどこか似ていると思いませんか。

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