更新日: 2019.01.10 その他

問題となっている「空き家問題」空き家を放置し続けると、固定資産税の税額がはね上がる!?

執筆者 : 高橋庸夫

問題となっている「空き家問題」空き家を放置し続けると、固定資産税の税額がはね上がる!?
今年も、10月1日から「住宅・土地統計調査」(総務省統計局)が開始されています。この調査は5年に1度実施されており、全国の住宅について多面的に調査し、そのデータを公開しています。
 
前回の2013年の調査結果では、全国の空き家は約820万戸。年々増加傾向にあることが報告されました。
 
そのような状況を踏まえ、2015年に施行されたのが「空家等対策の推進に関する特別措置法」です。この法律によって、空き家を放置し続けた場合に、固定資産税等の税額が現状より、約6倍も高くなる可能性があります。
 
高額な固定資産税が課せられてしまうのは、どんな空き家なのでしょうか? それを避けるには、どうすればいいのでしょうか? 具体的な内容についてご紹介します。
 
高橋庸夫

Text:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

「空家等対策の推進に関する特別措置法」の施行

年々、増加傾向にある空き家への懸念として、管理が不十分な空き家が増加し、それを放置し続けることで建物の倒壊や火災の発生の危険性が高まるとともに、衛生面や景観の悪化など、さまざまな問題が発生することが挙げられます。
 
さらに、最近では逃亡犯の隠れ場所などに使われてしまうことも憂慮されています。
 
そのため、地域の実情に応じた空家対策をするべく、「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、市町村長が「特定空家等」として認定できることを定めています。
 
特定空家等と認定され、是正措置の対象となった空き家は、「住宅用地等の特例」が非適用となってしまうため、固定資産税の税額が大幅に増加されることとなります。
 
つまり、空き家を放置してしまうと、多額の固定資産税が課税される可能性があるということです。
 
なお、空き家が「特定空家」と認定されるかの判断は、空き家の状態と周辺への影響の両面から判断され、以下の4つの状態が「特定空家等」となります。
 
(1)倒壊など著しく保安上危険となる恐れがある
(2)著しく衛生上有害となる恐れがある
(3)著しく景観を損なっている
(4)周辺の生活環境を保全するために放置できない
 

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住宅用地等の特例とは?

毎年1月1日における固定資産の所有者に対し、固定資産税や都市計画税が課税されます。
 
その中で、住宅用(賃貸住宅も含む)の敷地として利用されている土地には、生活の基礎という観点から課税標準額が軽減される措置があります。
 
それが「住宅用地の特例措置」です。
 
具体的には、200平方メートルまでの小規模住宅用地については、課税標準額が6分の1になります。さらに、200平方メートルを超える部分(一般住宅用地)については、課税標準額が3分の1となります。もし、特定空家等と指定された場合は、この特例が適用できなくなるのです。
 
例えば、所有する土地が、課税標準額2400万円で200平方メートルあった場合の固定資産税(標準税率1.4%)を計算してみましょう。
 
(1)住宅として利用の場合(200平方メートルまでの小規模住宅用地)
 2400万円×6分の1×1.4%=5万6000円
 
(2)特定空家として、特例適用が除外となった場合
 2400万円×1.4%=33万6000円   ⇒ 6倍の税額
 
また、この他にも新築住宅の税額軽減の特例や都市計画税などについても考慮しておく必要があります。
 

特定空家と認定されないためには?

繰り返しとなりますが、特定空家と認定されると、固定資産税の「住宅用地の特例措置」が非適用となってしまいます。
 
それでは、どのような対策をしておけば、それを回避することができるでしょうか? 重要なポイントは、「しっかりと管理しているか?」ということです。
 
想定される管理の事例として、別荘として利用、賃貸物件として利用、管理会社などに管理を委託するなどが考えられます。また、維持管理が難しい土地の場合には、売却を検討することも、より現実的な対策といえるでしょう。
 
なお、空き家を解体して青空駐車場として利用するなどの場合には、住宅用地ではなくなるため、住宅用地の特例の対象からはずれてしまいます。その点は注意が必要です。
 

まとめ

今年の住宅・土地統計調査では、おそらく前回よりも全国で空き家が増加していることでしょう。
 
現在、空き家を所有している方はもちろんですが、近い将来、相続などによって空き家を所有する可能性がある方も多いと思います。
 
空き家を「ただ放置しておくことはできない」との認識をしっかりと持ち、有効な活用方法について、普段から考えておくことが大切です。
 
参考・出典:
総務省統計局ウェブサイト ホーム>統計データ>平成25年住宅・土地統計調査>調査の結果>結果の概要>日本の住宅・土地-平成25年住宅・土地統計調査の解説- 結果の解説
国土交通省ウェブサイト ホーム>政策・仕事>住宅・建築>住宅>空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報
 
Text:高橋 庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー