更新日: 2019.01.10 その他
【驚愕!!】別れた彼女が出産していた! 養育費を支払わなければならない?
離婚の場合は、当然、養育費を請求できますが未婚の場合はどうなるのでしょうか。
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
未婚の母が増えています
厚生労働省が実施する「全国ひとり親世帯等調査(旧:全国母子世帯等調査)」によると、母子世帯になった理由について、平成23年度調査では「未婚の母」が7.8%となり、7.5%の「死別」を初めて上回りました。平成28年度調査では8.7%、8.0%と差が広がっています。
また、年間の就労収入をみても未婚は死別や離婚を下回り、生活の厳しさがうかがえます。養育費を請求できるかどうかは子どもの教育費などにも大きく影響します。
養育費とは?
養育費は子どもが経済的、社会的に自立するまで、子どもを監護・教育するために必要な費用をいいます。
具体的には、衣食住に必要な経費、教育費、医療費などがこれに当ります。この親の義務は、生活に余力がなくても、自分と同じ水準の生活を保障する強い義務(生活保持義務)とされています。
養育費を請求するには「法律上の親子関係」が必要です
彼氏と別れた彼女が生んだ子どもが元彼氏の子どもであれば、元彼氏は養育費を払うのが親の責任といえます。しかし、養育費を請求するには「法律上の親子関係」が必要です。生物上の親子関係(血のつながり)があっても法律上の親子関係がなければ、養育費は請求できません。
では、彼女は泣き寝入りしなければいけないのでしょうか。「法律上の親子関係」を持たせる方法として「認知」があります。
「認知」の方法は2つ
「認知」とは、婚姻関係にない男女の間に生まれた子について、その父または母が自分の子であると認め、法律上の親子関係を発生させること、をいいます。「認知」には、任意認知と強制認知の2種類があります。
任意認知とは、父親の方から自分の意思で自発的に親だと認めることです。具体的には、父親が役所に行って「認知届」を出します。これにより、養育費を請求できるようになります。
また、遺言によって認知をすることもできます。遺言執行者を選任しておけば、死後に遺言執行者が「認知届」を出してくれるので、確実に子どもの認知ができます。この場合、父親は、すでに亡くなっていますので養育費を請求することはできません。しかし、相続はできます。
なお、任意認知をする場合、子どもが20歳以上のケースではその子どもの承諾が必要です。
これに対し、強制認知という方法があります。父親が認知を拒む場合にとる方法です。まず、父親に対して調停を申し立てることによって認知をするように求めます。当事者双方の間で,子どもが父親の子どもであるという合意ができ,家庭裁判所が必要な事実の調査等を行った上で,その合意が正当であると認めれば,合意に従った審判がされます。
調停で父親が応じない場合には、母親が未成年の子の法定代理人として「認知の訴え」を提起することができます。「認知の訴え」では妊娠の経緯などの事情やDNA鑑定などで父子関係の立証をする必要があります。
認知請求が認められると、父親の意思に関係なく強制的に法律上の親子関係が生じます。つまり、子どもの出生時にさかのぼって父の非嫡出子としての身分を取得することになります。
このように養育費を請求するには父親の「認知」が必要です。父親は自分の子であれば責任もって子どもを扶養しなければなりません。
<参考・参照>
民法780条~788条。
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。