更新日: 2019.05.17 子育て
【児童扶養手当】の全部支給となる所得制限限度額が引き上げられる!?
また、所得の算定にあたって、養育者や扶養義務者などの方が未婚のひとり親の場合、税法上の「寡婦(夫)控除」がみなし適用されることになりました。それぞれのポイントを解説します。
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
児童扶養手当とは?
0歳から中学校卒業までの児童を養育している方に支給される「児童手当」とは別に、18歳に達する日以後の最初の3月までの間(一定以上の障害がある場合は20歳未満)の児童を扶養している母子家庭の母・父子家庭の父・母又は父に代わってその児童を養育している方に支給されるのが「児童扶養手当」です。
父又は母に重度の障害(国民年金の障害等級1級程度)がある児童や婚姻によらないで生まれた児童なども対象です。
児童扶養手当の金額(平成30年4月1日現在)
全部支給で児童1人の場合は、月額42,500円になります。2人目は月額10,040円、3人目以降は1人につき月額6,020円が加算されます。
一部支給で児童1人の場合は、月額42,490円~10,030円、2人目は10,030円~5,020円、3人目以降は6,010円~3,010円となります。
本人及び扶養義務者(同居している直系親族・兄弟姉妹)の所得が扶養親族等の数による所得制限限度額以上の場合は、手当が減額されたり、受給できなくなったりします。離婚して実家に戻る場合、親の所得も関係してくるので知っておきましょう。
児童扶養手当は年3回払いです。12月~3月分を4月に、4月~7月分を8月に、8月~11月分を12月に受け取ることができます。なお、まとめ払いは家計管理上好ましくないので2019年11月分の児童扶養手当から支払回数が2か月分ずつ年6回になります。奇数月に支払われます。
(参考)
一部支給の手当額については、下記の計算方法により算出します。
1人目の児童 手当月額=42,490-[(申請者の所得-全部支給所得制限額)×0.0226993]
2人目の児童 手当月額=10,030-[(申請者の所得-全部支給所得制限額)×0.0035035]
3人目の児童 手当月額=6,010-[(申請者の所得-全部支給所得制限額)×0.0020979]
※[ ]内は10円未満四捨五入
出典:練馬区ホームページ
児童扶養手当の全部支給所得制限限度額が引き上げられました
児童扶養手当は前年等の所得に応じて、手当の全額を支給する「全部支給」と一部を支給する「一部支給」があります。このうち、「全部支給」となる所得制限限度額が平成30年8月分(12月支給)から引き上げられました。「一部支給」及び「扶養義務者等」の所得制限限度額は据置となっています。
改正前、「全部支給」となる所得制限限度額は、子どもが1人の場合、収入ベースで130万円でしたが、改正後、160万円になりました。
なお、対象となる所得は、8月~12月の申請が前年の所得、1月~7月が前々年の所得となります。
所得の算定に当たって控除の適用が拡大されました
所得額は、「収入-給与所得控除-諸控除(障害者控除、医療費控除など)-8万円(社会保険料控除)+養育費の8割相当額」の計算式で求めます。
諸控除のひとつに「寡婦(夫)控除」がありますが、今回の改正により、養育者や扶養義務者などの方が未婚のひとり親の場合に、税法上の「寡婦(夫)控除」がみなし適用されるようになりました。
また、これまで区画整理などを理由に土地などを国や市に売却した場合、発生した売却益等がそのまま児童扶養手当の所得算定の対象となっていましたが、今回の改正により、特別控除が適用されるようになりました。
例えば、収用交換などのために土地を譲渡した場合の5,000万円、特定土地区画整理事業などのために土地等を譲渡した場合の2,000万円、マイホームを譲渡した場合の3,000万円などの特別控除が適用されます。
参考・参照:厚生労働省「「児童扶養手当」についての大切なお知らせ」「「児童扶養手当」が年6回になります」
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。