更新日: 2019.01.11 その他
一番高いのは「けやき坂」を通る路線!? ラッピングバスの広告費の実態
みなさんが乗っているバスがラッピングバスとしたら、広告費はどれほどかかるのでしょう? 都営交通の資料から「都営バス」のラッピングバスについて広告費を調べてみます。すると一番高い路線はどこでしょう?
Text:藤木俊明(ふじき としあき)
副業評論家
明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。
渋谷営業所のラッピングバスは高価格帯!
東京都営交通局では、都営バスを「ラッピングバス」として広告媒体として使えるようにしています。その価格帯には営業所別に「特S」から「D」までランクがあって、次のようになっています。一番高い価格帯の路線は「渋谷」界隈でした!
また「フルラッピング」というバスの車体を広告にする方法と、「パートラッピング」という、車体の一部を広告に使うパターンに分かれています。
■フルラッピング(車体底部をのぞく全体面積の10分の3以下)
・特S 渋谷(都01・RH01の2路線固定)1ヶ月40万円(一台あたり、以下同じ)
・S 渋谷(営業所別、以下同じ) 1ヶ月30万円
・特A 新宿・杉並・小滝橋・早稲田・深川(深川は系統によってランク変更、以下同じ) 1ヶ月20万円
・B 品川・港南・巣鴨・北・練馬・江東・深川 1ヶ月12万円
・C 千住・南千住・青戸・江戸川・臨海 1ヶ月8万円
・D 青梅 1ヶ月6万円
■パートラッピング(10平方メートルまで)
・A1 新宿・小滝橋・杉並・早稲田 1ヶ月10万円
・B1 品川・港南・巣鴨・北・練馬・江東・深川 1ヶ月6万円
・C1 千住・南千住・青戸・江戸川・臨海 1ヶ月4万円
・D1 青梅 1ヶ月3万円
「あれ? そんなにびっくりするような高い金額ではないかな」と思われるかもしれませんが、上記はあくまでも媒体としてのラッピングバスの料金で、ここに「制作料」「貼付・撤去料」が必要になります。また、所定の審査があり、掲載不可能な商品もあるようです。まさに公道を走る媒体ですからね。
ラッピングバス広告申し込みは、交通広告を取り扱う広告代理店に申し込むことになりますので、これは推測ですが、長期間での割引や、いくつかの路線を組み合わせたセット企画、キャンペーンなどがあるのではないでしょうか?
渋谷 ~ 六本木がハイソ路線のよう
さて……。この中で「特S」扱いの「都01」そして「RH01」とはどんな路線なのでしょうか? 主な停留所を見てみます。
・都01路線
渋谷駅 ~ 南青山七丁目 ~ 西麻布 ~ 六本木駅前 ~ 赤坂アークヒルズ前 ~ 溜池 ~ 虎ノ門 ~ 新橋駅
・RH01路線
渋谷駅 ~ 南青山七丁目 ~ 西麻布 ~ 六本木けやき坂 ~ 六本木ヒルズ
この路線を走るラッピングバスが、都営バスで一番高いプライシングがされているわけです。
現在、インターネット広告が主流ですが、その対極ともいうべき交通広告や屋外広告(看板や電柱広告)のような手法は「OOH(Out of Home)」と呼ばれます。広くとらえれば、街角でサンプルを配ったり、学校の前に塾の野立て看板を立てたりもOOHです。インターネット広告とは別のアプローチとして、なかなか廃れない気がします。
バス広告でも、ラッピングバスに限らず、車内のポスターやステッカー、停留所の広告ポスターなどさまざまなものがあります。こういったアナログな媒体とインターネット広告とシナジー効果を高めていくように、どんどん広告宣伝手法が進化していくのかもしれません。
※東京都交通局「都営交通の交通広告に掲出をお考えの方へ」
Text:藤木 俊明(ふじき としあき)
副業評論家