更新日: 2019.01.11 その他
マンション購入時にこだわる「南向き部屋信仰」 マンションの価格と階数と方位の関係
いったい階数や方位はどれぐらい価格に影響しているのでしょうか? また、そうまでして南向きにこだわるべきでしょうか?
Text:藤木俊明(ふじき としあき)
副業評論家
明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。
新築マンションの「階数」「方位」と販売価格の調査データが発表される
そんな判断に役立ちそうな調査データが、株式会社マーキュリーから報道発表されました(※1)。これは、首都圏で2009年から2018年の10年間に供給された物件を対象に、物件の平均坪単価を1とした時、各住戸の坪単価がどの程度なのか指数化したものを、階数別・方位別にまとめたものです。
まず階数によってどれぐらい坪単価が違うのか、「25階~29階の西向きを基準とした時の階数帯ごとの方位別価格差」で示されています。すると、同じ西向きの部屋でも、階数によって指数に変化が出ます。
■西向き
・55~59階 1.092
・50~54階 1.115
・45~49階 1.058
・40~44階 1.043
・35~39階 1.028
・30~34階 1.006
・25~29階 1.000[基準値]
・20~24階 0.977
・15~19階 0.976
・10~14階 1.005
・5~9階 0.987
・1階 0.942
同じ西向きの部屋での比較ですと、おおむね25階以上で平均坪単価の基準値を上回る価格になるようです。
ただし、方位によってこれは大きな差が出て、たとえば、
■北西向き 55~59階 1.438
■南西向き 55~59階 1.410
などと、平均坪単価の基準値を40%も上回る価格となっています。
階数が高くなると、ある程度価格が上がっていくということは、ある程度わかっていたことですがデータで再認識できますね。では方位はどうでしょう?
南向き信仰が価格に如実に表れる!
マーキュリー社の報道発表では、次に「階数ごとの南向き住戸を1とした時、階ごと、各方位でどの程度の格差があるか」を発表しています。
階数ごとに違いはありますが、南向きの同程度の部屋に比べて、次のように坪単価が安くなるということです。
■(南向きの同程度の部屋に比べて)東向きはマイナス3.7%~ 9.6%
■(南向きの同程度の部屋に比べて)西向きはマイナス4%~ 9.6%
■(南向きの同程度の部屋に比べて)北向きはマイナス5.3%~ 13.0%
同調査によると、南向きを基準とした際、南向き>東向き>西向き>北向きの順で価格に差が出るようです。東向きが南向きに次いで人気ということでしょうか。そしてやっぱり北向きは一番価格が低くなる、よく言えばリーズナブルのようです。
仮に物件価格の基準(南向き住戸)を5000万円とした場合、東向きでは185万円~480万円、西向きでは200万円~480万円そして北向きでは265万円~650万円もの差が出ることになるということです。
ここまで「南向きの部屋」信仰が強いのなら、逆にリーズナブルな「その他の方位の部屋」を検討することも選択肢にいれたらどうだろう、という気になります。
「南向きの部屋」ですが、「日当たりがいい」というのは大きなメリットです。ずっと「南向きの部屋信仰」が続くのなら、手放す時もいい条件で売れるかもしれません。
しかし「南向き住戸は夏には暑すぎる」という声があります。とくにタワーマンションの上部では、日差しを遮るものはありません。日差しが強すぎてカーテンを閉めっぱなしにしておかなくてはいけない、という笑えない話もあります。今後、ますます酷暑はひどくなるという予測もあります。あえて南向きにこだわらず、予算とバランスを見ながら住み家を検討することも必要ではないでしょうか?
※1 株式会社マーキュリー 2018年8月23日報道発表
Text:藤木 俊明(ふじき としあき)
副業評論家