更新日: 2019.01.11 その他

最近は中小企業でも増えている? M&Aが増えている2つの理由とは

最近は中小企業でも増えている? M&Aが増えている2つの理由とは
M&Aというと、以前は映画「ハゲタカ」に代表されるようなイメージで、外資系ファンドが企業を次々買収し乗っ取っていく様相で、あまり印象は良くありませんでした。
 
その後、国外での成長に活路を求める日本企業は、海外のM&Aを推し進め、活況を続けています。最近は中小企業でも経営手法として活用することが増え、国内で個人のM&Aも耳にするようになりました。
 
宮﨑真紀子

Text:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

M&Aが増えている背景

先日、国内のM&A案件を仲介している会社の方に、話を聞く機会がありました。2017年のM&Aの件数は約3000件だそうで、バブル期の800件に比べても、件数の多さが分かります。この背景に考えられることは中小企業にM&Aが普及してきたことが考えられます。そこには2つの理由があります。
 

(1)買収する側の理由

企業が新規事業に乗り出す場合、新会社や新部署を立ち上げるのではなく、既存の企業を買収する方向に変わってきています。既存の会社は、培われた技術などのノウハウや人材及び取引先も持っています。これらをそのまま活かすことが出来るので、短期間で事業を軌道に乗せることが出来ます。
 
企業の拡大戦略に要求されるスピード感にもマッチしています。
 

(2)買収される側の理由

一番に考えられることは、後継者不足による事業承継対策としての活用です。数年前までは、M&A仲介の7割が後継者不在によるものだったそうです。少子化が進み、先祖代々の家業を兄弟の誰かが引き継ぐ、という昔の常識は無くなりつつあります。
 
経営状態は良好で技術もあるのに、後継者がいないという理由で廃業するのは惜しいです。従業員も黙ってはいません。この場合の社長の年代は60歳代以上が考えられます。
 
比して、最近は50歳代の社長が会社を売却するケースが増えているそうです。今後の内需を下方予想して、会社の将来を考えると、今売却しておいた方が良いと判断しての選択だそうです。2代目や3代目で、成熟期に入った、比較的規模の大きい会社に見られるという特徴があるそうです。 
 

個人のM&Aは今後増加する?

個人のM&Aについても考えてみます。自分の会社を持って夢を叶えるためには、起業するのが一般的です。会社である程度の経験を積んで脱サラをして起業するだけでなく、学生時代に起業する、シニアになって起業する…様々な場合があります。
 
個人事業主として独立したい~とは別に「経営者となりたい」と考える人にとっては、個人のM&Aは魅力的です。小さな会社を買うことで実現します。「この会社を自分の手でより魅力的な会社にしたい」という会社が見つかり、その会社が後継者を探していたら、M&Aを検討しては如何でしょう。
 
日本酒好きの友人が、後継者不在で閉めてしまう蔵元が多いと嘆いていたことがあります。中には、“あのお酒が飲めなくなるなんて”と後継者をかって出る人が現れることもあるそうです。
 
「これは、その蔵元のお酒だよ」と嬉しそうに盃を傾けていました。後継者となった人はM&Aを活用したか否かは確認していませんが、こういった例が増えると嬉しいです。
 
「ハゲタカ」はTVで連続ドラマが始まりました。M&Aは今後も気になるワードになると思います。身近な存在として、目が離せません。
 
Text:宮﨑 真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

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