生活保護を受給している家庭の「進学率」は?進学したい子どものための支援とは?
配信日: 2023.09.28
しかし、生活保護を受給していない家庭と比べると、進学率はいまだ低いというのが現状です。十分な教育が受けられないことで、しっかりした収入を得られる仕事に就けないという、貧困の連鎖が懸念されています。
本記事では、生活保護世帯の子どもの貧困率や進学率をはじめ、進学したい子どものための支援についても、ご紹介します。

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生活保護世帯の子どもの貧困率は高い
収入から税金や社会保険料を引いた可処分所得を高い順に並べて、中央の額の半分(貧困線)に満たない世帯の割合を「相対的貧困率」といいます。
厚生労働省が公表している「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、2021年の貧困線(等価可処分所得の中央値の半分)は 127 万円となっており、貧困線に満たない世帯の割合(相対的貧困率)は、15.4%です。
このことから、6人に1人は「その国の生活水準と比較して相対的に貧しい状態にある」ということを示す「相対的貧困」に当てはまっていることが分かります。
また、厚生労働省の「被保護者調査」によると、2023年6月時点での被保護実人員は202万563人、被保護世帯数は164万9300世帯となっています。
生活保護世帯の子どもの進学率は?
また内閣府の「子供の貧困に関する指標の推移」によると、生活保護を受給している家庭の子どもの大学進学率はいまだ低く、2017年にはわずか35.3%という調査結果が出ています。
全世帯の大学進学率が73.0%であることを考えると、大幅に低いことが分かります。
進学先の内訳は、19.0%が大学・短大(全世帯は52.0%)、専修学校・各種学校が16.3%(全世帯は20.9%)です。
進学したい子どものための支援について
生活保護世帯の子どもの自立を支援するために、2018年から開始されたのが「進学準備給付金制度」です。新生活の立ち上げ費用として、自宅から学校に通う学生には一時金として「10万円」、進学するために、自宅から転居して通学する学生には「30万円」が支給されます。
また以前は、子どもが大学に進学した場合は、同じ家に住んでいても「世帯分離」という扱いになり、住宅扶助が減額されていましたが、2018年からは、大学就学中に住宅扶助を減額しない措置の実施も開始されました。
生活保護世帯でも大学進学を前向きに考えられる時代に
生活保護世帯の子どもの貧困率はいまだ高く、経済的な理由から、進学をあきらめてしまう人も少なくありません。
しかし現在は、生活保護世帯の子どもが進学の夢を実現させるための支援が充実していますので、あきらめる前に確認してみましょう。
未来ある子どもに、幅広い教育の機会を与えることは、今の日本にとって、重要な課題といえます。
出典
厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況(14ページ)
厚生労働省 被保護者調査 (令和5年6月分概数)の結果
厚生労働省 社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会(第14回) 資料5 生活保護制度の現状について(26ページ)
内閣府 第6回 子供の貧困対策に関する有識者会議 資料1 子供の貧困に関する指標の推移 子供の大学等進学率について(4ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー