電車で「終点」に行ってみたい! 改札を出ずに折り返すのは「ルール違反」? 運賃ルールを解説
配信日: 2023.09.12
そこで気になるのが、終点の駅まで行ったあとで、改札を出ずに同じ経路を折り返して戻ることはルール違反かどうかです。この記事では、主にJRの運賃計算の特例について説明し、その制度と改札を出ずに同じ経路を戻る行為の関係について解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
JRの運賃計算の特例:大回り乗車について
運賃計算という観点からは、 改札を出なければ何をやってもよいということにはなっていません。鉄道各社によってその考え方が異なることがありますが、終点まで行ってそのまま折り返す経路の有効性については、主に運賃特例を参考にできるでしょう。
例えば、JRにおいては、大都市近郊区間内での乗車に特別な運賃計算が適用されます。実際に乗車する経路に関係なく、最も安くなる最短経路で運賃が計算されるのです。これは「大回り乗車」と呼ばれるものです。適用条件については、次のような決まりがあります。
・条件1: 乗車経路が大都市近郊区間内のみであること
大都市近郊区間とは、JRが特定している都市圏内の一定の範囲を指します。例えば、東京近郊区間ならば、東京都内やその周辺が該当します。
逆に言えば、大都市近郊区間をはみだす経路では大回り乗車の特例は適用外です。例えば、東京近郊区間から茨城県まで移動する場合、その一部が大都市近郊区間に含まれないため、通常の運賃計算が適用されます。
JRでは、東京、新潟、仙台、大阪、福岡の5つの大都市近郊区間が設定されています。各区間には特有の範囲があり、これを超えると特例が適用されなくなります。東京近郊区間であれば、東京都内を中心に、埼玉県、千葉県、神奈川県などが含まれます。なお、新幹線による特定の区間は除外されています。
・条件2: 乗車駅と下車駅が同一でない経路であること
大回り乗車を行う場合、乗車駅と下車駅が同一であってはなりません。もし同一駅で降りる場合、それは途中下車とみなされ、通常の運賃計算が適用されます。
・条件3: 同じ駅を2回通らない経路であること
また、同じ駅を2回通過しないようにする必要があります。例えば、A駅からB駅、再びA駅に戻るような経路は不可です。
私鉄各社においても、それぞれの運賃計算の特例があります。多くの場合、大都市近郊区間など特定の区間でのみ乗車する際には、特別な運賃計算が適用されることが多いようです。しかし、これは各社で異なるため、詳細は窓口で確認しましょう。
改札を出ずに戻るのはNG?
終点まで行った後、改札を出ずに折り返しの電車に乗る行為については、特例運賃適用範囲であっても、大回り乗車の条件3を満たしません。つまり、最短距離の運賃ではなく、すべての経路をもとにした運賃を払う必要があるのです。
具体的なケースにより、割引が効く運送約款や規定が適用される場合もあります。経路が決まった時点で、駅係員に速やかに確認したほうがよいでしょう。
また、うっかり乗り過ごしてしまったなどの場合は、戻っても問題ない場合もあるようです。そのため意図せず乗り過ごしてしまったという場合、まずは駅係員に相談しましょう。
運賃ルールを理解して正しい乗車を
JRや私鉄各社には運賃計算の特例があり、大都市近郊区間などでは「大回り乗車」などの格安の料金計算が適用される場合があります。
しかしながら、終点まで行って折り返しの電車に乗る行為は、残念ながら適用外です。基本的にはすべての経路に掛かる運賃を支払う必要があります。なお、各社で運送約款や規定が異なる場合もあるので、事前に確認することが重要です。
出典
JR東日本 運賃計算の特例
JRおでかけネット 大都市近郊区間内のみをご利用になる場合の特例
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー