就職して半年後支払いがスタート 奨学金はもらうのではなく、借りている 勘違いしていると大変なことに
配信日: 2018.08.25 更新日: 2019.01.10
実際に学生生活を始めてみて、余裕があるくらいなら、借入額を減額することもできます。そうすれば必要最小限の借入に抑えられ、将来の返済の重圧から少し解放されるでしょう。
Text:黒澤佳子(くろさわよしこ)
CFP(R)認定者、中小企業診断士
システム監査技術者、不正検査士(CFE)
アットハーモニーマネジメントオフィス代表
栃木県出身。横浜国立大学卒業後、銀行、IT企業、監査法人を経て独立。個別相談、セミナー講師、本やコラムの執筆等を行う。
毎日小学生と高校生の子育てに七転八倒しながら、明日の子供たちが希望を持って暮らせる社会の実現を願い、金融経済教育に取り組んでいる。
また女性が自分らしく希望を持って生きられるよう、女性起業家支援を中心に経営サポートを行っている。
大学では会計、マーケティング、経営、経済等のビジネスの基本科目の講義を担当。
https://www.atharmony-office.jp/
返済がスタートするのは、就職して半年後
貸与終了の翌月から7か月目(3月に貸与終了した場合は10月)に返済がスタートします。
就職を期に一人暮らしを始めたり、新生活は何かと物入りだったり、初任給や初めてのボーナスは思ったより手取りが少ないことがあるので、半年の猶予は非常に助かります。この半年の間に生活基盤を整えておくとともに、くれぐれも奨学金の返済を想定しないやりくりにならないよう、きちんと考えておきましょう。
また、月賦返還の場合は、毎月27日に口座引落となります。20日や25日が給料日となっている会社が多いので、27日であれば給料が出た直後に引き落としとなり、残高不足は回避できるはずです。
しかし、この口座引落、慣れていない若者は意外と知らないのですが、残高が1円でも足りないと引き落とされません。つまり「延滞」となりますのでご注意を!
返済ができなくなったとき……将来にわたって影響が!
残高不足により引き落しができなかった場合は、翌月に2か月分引き落としになります。その際、延滞日数に応じて年利5%の延滞金が賦課されます。
債権回収会社等から文書や電話による督促があり、本人からの返済がなければ、連帯保証人や保証人への請求もあります(※通常、連帯保証人は債務者本人と同等の返済義務があります)。
基本的に1回でも延滞は延滞ですが、3か月以上延滞した場合に、個人信用情報機関に個人情報が登録される対象となります。
個人情報が登録されるとどんな影響があるのでしょうか? 奨学金の延滞もローンの延滞と同じで、例えばクレジットカードが使えない・作れない、自動車ローンや住宅ローンが組めないなど、信用力は著しく低下することになります。返済すれば情報は更新されますが、1度登録されると5年間は削除されません。
将来にわたる影響は大きいので、滞りなく返済しましょう。そして、どうしても返済できないときは、減額返還や返還機関猶予などの制度の利用を考えましょう。延滞する前に、必ず奨学金返還相談センターに連絡をしましょう。
まずは本人が「返還」の自覚を持ちましょう
将来返済するのは本人だということは、保護者も本人も改めて認識する必要があります。学生の間は、借りるだけで返済がスタートしないので、どうしても「借りている」という意識がなくなりがちです。必要な分は借りるけれど、必要以上に借りない、ということも大切ですね。
奨学金の貸与中に、「返還のしおり」をもらいます。返還については、このしおりに詳しく書いてありますが、この冊子は70ページ以上にも及ぶため、全部読んで正しく理解するのは大変なことです。まずは大事なポイントだけでも知っておいてください。
Text:黒澤佳子(くろさわよしこ)
CFP(R)認定者、中小企業診断士、システム監査技術者、不正検査士(CFE)
アットハーモニーマネジメントオフィス代表