更新日: 2019.01.10 暮らし

無職期間の間に受けた仕送りは特別受益に該当する?しない?

執筆者 : 柘植輝

無職期間の間に受けた仕送りは特別受益に該当する?しない?
特別受益とは「マイホーム資金を援助してもらった」「事業に必要な資金を援助してもらった」など、被相続人(財産を遺して亡くなった人)から相続前に受けた特別の利益をいいます。(民法903条)
 
この特別受益には、通常の範囲内での生活費は該当しないとされています。では、失業などによって生じてしまった無職期間に仕送りを受けていた場合はどうなるでしょう。
 
これは通常の生活費として特別受益には該当しないのでしょうか。それとも、通常の範囲から外れるとして特別受益に該当するのでしょうか。
 
 
柘植輝

Text:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

特別受益に該当する?しない?

ズバリ、結論から述べてしまうと「無職期間の仕送りは特別受益に該当する可能性がある」となります。
 
なぜなら、民法903条1項には特別受益の範囲として「生計の資本として贈与を受けた」との規定がされているからです。ところが、具体的にどのような贈与が「生計の資本」に該当するかについては明記されていません。
 
そのため、「これくらいの金額であれば特別受益に該当する」「このような理由による贈与であれば特別受益に該当する」といったような基準について、一概に判断することはできません。
 
実際に特別受益に該当するか否かを判断するには、贈与の理由や必要性、贈与当時の経済状況などを総合的に考慮する必要があるため、注意が必要です。
 
とはいえ、過去の例を見る限り1カ月あたり数万円の小遣いを1年間もらっていたという程度では特別受益とはみなされないようです。
 

特別受益があると…?

特別受益とは、先に述べたとおり被相続人から受けた特別な利益のことをいいます。
 
そこで一つ考えてみてください。
 
例えば、兄弟のうち一人が特別受益として1000万円の援助を受けていたにもかかわらず、他の兄弟と同じ割合で遺産を相続した場合です。
 
これでは特別受益のあった相続人(被相続人の財産を受け次ぐ人)のみ、他の相続人に比べて1000万円多く相続したのと実質的に変わりがありません。
 
そこで、相続人のうち一人に特別受益があったときは、特別受益の部分については相続財産の前渡し分として相続分を計算し、相続人間の公平を図ることになります。(民法903条1項)
 

具体的に計算してみましょう!

特別受益のある相続人が存在する場合には、相続財産に特別受益の金額を加えたものを相続財産とみなして個人の相続分を計算します。
 
そして、特別受益のある人はそこから特別受益の分を引いて最終的な相続額を確定させます。
 
今回は計算を簡略化するために次のような事例で計算します。
 
・相続財産は1000万円
・相続人は兄と弟の2人のみ
・相続割合は兄弟で半分ずつ
・兄は無職の期間に1000万円の援助を受けていた(特別受益)
 
まず、特別受益を受けた人(兄)がいるため、遺産である相続財産に特別受益の金額を加え、計算の基礎となる相続財産を算出します。
 
1000万円(相続財産)+1000万円(特別受益分)=2000万円
 
2000万円を兄弟で等しく分けると兄と弟の相続分はそれぞれ1000万円ずつ(2000万円÷2=1000万円)となります。
 
しかし、兄には特別受益の1000万円が存在するため、それを差し引きます。
 
1000万円-1000万円=0
 
すると、兄の相続する金額は0円となり、遺産を受け取ることができません。それに対し、弟は特別受益が存在しないため1000万円の遺産をそのまま相続することとなります。
 

仕送りが特別受益に該当するかも?

無職の期間に仕送りを受けており、かつ、それが特別受益に該当してしまうと将来の遺産相続に影響をおよぼすことがあります。
 
しかし、その仕送りが特別受益に該当するか否かについて一概に判断することはできず、仕送りの金額や必要性など、個別具体的な事情を総合的に考慮して判断されます。
 
無職期間に受けた仕送りが特別受益に該当するのか判断に迷ったときは、一度専門家などに相談するとよいでしょう。
 
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー

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