更新日: 2019.01.11 その他
サマータイムって何?メリット・デメリットは?早く出社して早く退社。そんな上手くいくの?
そもそもオリンピック期間中の暑さ対策から浮かんできたこの案、いったいどんなメリットがあり、どんなデメリットがあるのでしょうか?
Text:藤木俊明(ふじき としあき)
副業評論家
明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。
かつて「サンマータイム」として日本でも導入されていた
今回、オリンピック時期の猛暑を想定し、2時間時計の針を進めたサマータイムの導入により、涼しい早朝の時期から競技をスタートさせることが主眼のようです。たとえば午前9時スタートの競技は実質午前7時からのスタートになるわけですね。
実はこの制度、日本でも1948年~1952年に実施され、5月第1土曜日24時(例外あり)から9月第2土曜日25時までをサマータイム(当時はサンマータイムと呼ばれていたそう)として、1時間時計の針を進めたのです。
これは当時日本を占領していた占領軍の指示によるものでした(米国や欧州では導入)。1952年の占領終了と主権回復により、世論調査の結果から廃止されました。ちなみに、その時期は「サンマータイム」と呼ばれていたそうです。Summerをそのまま日本語読みしたのでしょうか?
日本のサマータイムが廃止された理由としては、当時の世論調査で、「やめたほうがいい」という意見が多くを占めたからのようです。
現代で心配なのはシステム対応
ただし、2012年の世論調査※によると、「賛成」とする人の割合が50.9%、「反対」とする人の割合が28.8%、「わからない」と答えた人の割合が20.3%となっており、その時点では賛成派が多かったようです。
賛成理由を見てみると、「エネルギーの節約になるから」が66.6%と最も高く、「夕方の明るい時間が増えることで,私たちの行動の選択肢が拡がるから」(45.6%),「切替日においてライフスタイルを自ら考え直し,その中で地球環境問題や省エネ等への対応などについて考えていく『きっかけ』となるから」(28.4%)などの順となっています。「始業時間が涼しく冷房用のエネルギーが節約できる」「夕方明るいので照明時間を短くできる」「涼しい朝の時間に通勤・通学ができる」という声があがっており、これがまさにサマータイム導入のメリットでしょう。
反対理由を見てみると、「切替日において時間あわせが面倒だったり,混乱したりするから」が35.2%、「生活時間の変更で体調を崩す恐れがあるから」が33.8%、「エネルギー節約の効果があるとは考えられないから」をあがた者の割合が33.4%、「日本の地形・風土になじまないから」が30.6%という声があがっています。これらがそのままデメリットでしょう。
2012年の時期でも「時間あわせ」が面倒とされていますが、まさにデメリット、問題とされているのが、コンピュータシステムの時間対応です。サマータイムを導入すると、1年で2回時計を切り替えなくてはなりません。その時、不具合が起きないか、システムの管理が大変だという声があがっているのです。サマータイム導入の前に大規模なシステムの改修を行わなくてはならないという声も多く、そのためには時間がない、その予算はどうするのかというIT業界からの切実な叫びが聞こえてきます。
思い起こせば、1999年の年末、「2000年問題」(システムが99から00の年号に変わる時不具合が起きると予見されていた)に備えて、たくさんのシステムエンジニアが動員され、年の変わり目にスタンバイしていました。それを思い起こすと、確かにカンタンなことではないでしょう。
現在、政府を中心に議論が進められているようですが、かつて日本で実施された時とは比べようもなくシステム化された現状を考えていただければと思います。
出典※内閣府大臣官房政府広報室
https://survey.gov-online.go.jp/h13/h13-ondanka/2-2.html
Text:藤木 俊明(ふじき としあき)
明治大学リバティアカデミー講師・副業評論家