更新日: 2019.08.07 その他

「フィンテック」ってなに?

執筆者 : 宮﨑真紀子

「フィンテック」ってなに?
フィンテック( Fintech)という言葉を耳にするようになりました。ですが、この言葉の意味は、あまり知られていません。
 
実は、このフィンテックは、私たちの身近なところで便利に機能してくれており、今後ますます発展することが期待されているのです。
 
ここでは、フィンテックとはいったい何なのか、考えてみたいと思います。
宮﨑真紀子

執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

私たちの生活はフィンテックに囲まれています

フィンテック(F i n t e c h )は、ファイナンス(F i n a n c e 金融)とテクノロジー(T e c h n o l o g y 技術)という二つの言葉を組み合わせた造語です。
 
その意味は、「技術を駆使した金融システム」といったところでしょうか。掛け合わせて造語を作るというのが得意な日本人ですが、日本が発祥というわけではなく、海外から入ってきたもので、現在はアメリカが先行しています。
 
とは言え、私たちは既にフィンテックに囲まれた生活をしているのです。象徴的なのがスマートフォン。通話やメール、検索の機能はもちろんですが、今では、スマホで出来ることが格段に増加し、買い物も銀行の振込も、画面をタッチするだけで簡単に済ますことが出来ます。
 
フィンテックが進んだ背景には、このスマートフォンやクラウド、AI(人工知能)の発達があります。最新技術を活用することで、金融サービスが容易にスピーディーに受けられるようになったのです。
 

電子マネーが一番身近です

具体的にはどのような例があるか見ていきましょう。
 
現金を持ち歩かなくても、カードやスマホで簡単に決済できるようになりました。また、プリペイド式やデビット方式、従来通りの銀行引落としと選択肢も増えました。好きな方法で使い分けるのも便利です。
 
外貨預金をしておけば、海外に行ったときに、ATMで外貨を引き出すことはもちろん、その口座からデビット払いをすることも出来るようになりました。円高の時に預金しておけば、お得な気分が味わえます。
 
ポイントを貯められるのも魅力です。お店ごとにカードを作ってしまい、お財布が複数のカードでかさばっていませんか。お財布売り場でも「10枚のカードが入れられるので便利ですよ」と、大きなお財布を勧められることがあります。
 
フィンテックが先行しているアメリカでは、20枚以上のクレジットカードを一つにまとめる機能も開発されています。日本でもこれが進めば、お財布の中からカードを探すことなく、よりスマートに使えるようになります。
 

ご家庭からインターネットを通じて、様々なやりとりが気軽にできます。

■便利な家計簿アプリ:シートを読み取る機能で費目分けの必要なく、面倒な記帳に悩まされえることはなくなりました。複数の口座を一括管理出来ますので資産管理も楽ですし、残高の確認も面倒ではありません。
 
■家から振込みが:銀行のATMに行かなくても振り込みが出来るというのも、とても便利です。定期預金や積立預金を始めたり、外貨預金に移したり、すべてがネットで完結できます。窓口で待たされることもなく、時間を気にすることもありません。また、住宅ローンの手続きも、ゆっくり家族と相談しながら進めることができます。
 
■保険の契約も簡単に:自分にあった保険が分からない、内容をしっかり説明して欲しいなど、パソコンやスマホの操作が不安という方のために、コールセンターを24時間体制にするなど、整備が進んでいます。
 
対面の商品に比べ、商品の内容がよりシンプルで分かりやすいという特徴があります。
 
■証券会社のオンライン取引:これも、時間を気にせず、自宅から気軽に取引できるところが魅力です。
 

資産運用の「リスク許容度」が診断できるロボアドバーザー

オンラインでの証券取引で、最近注目されているのは、ロボットアドバイザーです。
 
資産運用を始める時、「リスクのある商品に投資して損したら嫌だな」と思いませんか。どれくらいの損失なら耐えられるかを「リスク許容度」といいます。これは、投資する金額が、保有している金融資産のどのくらいの割合なのかに大きく連動します。
 
同じ10万円を投資するのでも、手持ちの資金が20万円の方の場合と、1000万円の方では違います。ですが実際には、この「リスク許容度」は、その人の性格による所も大きいのです。これは、自分で判断することはなかなか難しいものです。
 
ロボアドバイザーを利用すると、簡単ないくつかの質問に答えることで、リスク許容度が診断されます。その結果を踏まえて、ポートフォリオが作成されます。
 
リスク許容度が低ければ、債券の割合が多く株式の割合が少ないものを、高ければ相応の配分を勘案して結果が示されます。また、これに準じた投資信託の商品も例示してもらえるので、とても便利です。
 
投資信託を選ぶにあたって、これまではスクリーニングするサイトを使うことが多く、運用成績等を知るには重宝しました。
 
これからは、いくつかのロボアドバイザーにポートフォリオを提案してもらい、お勧めの投資信託について検討する、というのも選択肢に入ると思います。
 
今までは、「お客さまにぴったりのポートフォリオを作ります」といったサービスは「ラップ口座」という形で行われていました。このサービスを受けるには300万円から、といった金額が必要でした。またコース別に決められた投資信託になっているため、お任せすると自分でアレンジ出来ないというデメリットもありました。
 
ロボアドバイザーの登場で、証券会社のサービスも、より身近に使いやすくなるのではないかと期待されています。
 

今後は金融の枠を超えて大きく広がる可能性もあります

映画「この世界の片隅に」の制作にあたり、クラウドファンディングで資金を集めたことが話題になり、エンドロールには、協力した人たちの名前がずらりと並びました。
 
資金を必要としている人や企業と、その企画に賛同して支援したいという出資者を結ぶ取り組みは、急速に広がっています。煩雑な手続きや審査を省いてできるため、利用者の拡大が進むことは間違いないでしょう。
 
また、身近なところでは、スーパーの食料品売り場で、売られている野菜の生産者などの情報とともに、その素材を使ったレシピが公開されるといったサービスも始まっています。
 
今後はカードで支払うと、家計簿を自動記帳し、「今月の食費の予算残は3000円になりました。節約しましょう。」といったメッセージが流れるようになるかもしれません。
 
何から何までお見通し、という世の中は怖い面もありますが、決定権は自分(人間)にあるのですから、しっかりとした判断力を身につけ、このフィンテックを十分に活用し、充実した生活に結び付けたいものです。
 

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