更新日: 2019.01.10 その他
部活の大会でライバルと激闘!けがをさせてしまったら、罪にあたるのでしょうか。
![部活の大会でライバルと激闘!けがをさせてしまったら、罪にあたるのでしょうか。](https://test.financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2018/07/shutterstock_1092548615-800x534.jpg)
多少のケガはお互い承知のうえですが、骨折や裂傷などの大きなケガをさせてしまった場合、相手から訴えられたら罪に問われるのでしょうか。
このようなトラブルは、なにもプロのスポーツ選手のみに起こることではありません。学校の部活動や習い事など、未成年同士でもあり得ることです。
柔道部のエース、Kくんの例をみてみましょう。
![FINANCIAL FIELD編集部](https://test.financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2017/11/39h8jtBb_400x400-e1498208749762.jpg)
Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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![石垣美帆](https://test.financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2017/12/ff-150x150.jpg)
弁護士
中央大学法科大学院卒業後、弁護士登録。原子力損害賠償紛争解決センターでの勤務経験を持つ。「幸せになるお手伝いをする」をモットーに日々邁進中。お客様のご相談を受けるに際し、「共感力」を大切にしています。
柔道部のKくん。県大会で因縁のライバルと激闘した結果…
Kくんは高校2年生、柔道部期待のエースです。Kくんは地区大会で優勝を果たし、県大会への出場が決まりました。
一試合目の対戦相手であるTくんのことは、Kくんもよく知っています。彼には以前、別の大会で負けたことがあったのです。Kくんは「絶対に負けない」と闘志を燃やしました。
試合が始まりました。KくんとTくんは開始直後から激しく攻防し、観客も目を見張ります。Kくんは守りの固いTくんに苦戦しながらも、強引に技をかけました。「決まった!」と思った瞬間、2人は体制を崩して倒れました。
審判がすかさず、「待った」をかけます。KくんはTくんの様子がおかしいことに気が付きました。Tくんはうずくまったまま苦しそうな顔をしています。
ドクターの診断で、Tくんは鎖骨を骨折していることが分かりました。試合は続行できないと判断され、Kくんは「棄権勝ち」となりました。しかし、不本意な勝ち方をしてしまったKくんは、その後の試合に集中できず、2回戦で敗退。
落ち込んでいるKくんとその両親のもとに、追い打ちをかけるかのように「Tくんの保護者がKくんを訴えたいと言っている」と伝達がありました。Kくんと家族は、故意にやったことではないのにと戸惑っています。
*物語はフィクションです
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部活の試合中に対戦相手をケガさせた場合、罪に問われるのでしょうか。東京桜橋法律事務所の石垣美帆弁護士にお伺いしました。
今回のケースでは、ケガをさせたKくんは暴行罪や傷害罪などの刑事上の罪に当たりません。
一般に、スポーツの競技中に生じた加害行為については、それがそのスポーツのルールに著しく反することがなく、かつ通常予測・許容された動作に起因するものであるときは、そのスポーツの競技に参加した者全員がその危険を予め受忍し、加害行為を承諾しているものとされます。そのため、違法性が阻却されます。
Kくんのように、柔道のルールに従ったうえで思いがけずにケガをさせてしまったようなケースでは、罪にならないでしょう。
故意に過剰な攻撃をしたなど、スポーツのルールの範囲を超えた「不法行為」と立証されない限り、賠償請求に問うことは困難です。ただし、「不法行為」も、よっぽどでない限り当てはまらない可能性が高くなります。
このようなケースで、相手を刑事で訴えるハードルは民事より高いと思われます。
部活の試合中に相手をケガさせてもルールの範囲内であれば罪には問われない
部活の試合などで対戦相手にケガをさせても、ルールの範囲内であれば刑事上も民事上も罪には問われないことが分かりました。
スポーツにおいて、ケガは想定の範囲内だと考えられるようですね。Kくんのように、競技にのめり込むあまり、ケガをさせてしまうことは誰にでも有り得ます。
「刑事上の罪に当たらない」という回答に安心された方もいるのではないでしょうか。
ただし、スポーツのルールの範囲を超えた「不法行為」は、罪に問われる可能性があります。故意にケガをさせるようなことは、絶対にしてはいけません。
学生の皆さんには、スポーツマンシップを持ったうえで、のびのびとスポーツを楽しんでほしいですね。
Text:FINANCIAL FIELD編集部
監修:石垣 美帆(いしがき みほ)
弁護士
中央大学法科大学院卒業後、弁護士登録。原子力損害賠償紛争解決センターでの勤務経験を持つ。「幸せになるお手伝いをする」をモットーに日々邁進中。お客様のご相談を受けるに際し、「共感力」を大切にしています。