更新日: 2019.01.07 その他
結婚式や謝罪の場に現れる「代理スタッフ」 副業として注目!?
たとえば、夫婦が結婚式を挙げたいのだけど、どうしても新婦のお父さんに出てもらえない事情がある……。
そんな時、父親の代理として出席する副業があるのです。その「代理出席サービス」を展開している株式会社ファミリーロマンス代表取締役石井裕一氏に、どんな仕事なのかお話を伺ってきました。
Text:藤木俊明(ふじき としあき)
副業評論家
明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。
女性の登録が多いファミリーロマンスのスタッフ
ファミリーロマンスは「代理出席サービス」を展開していますが、そのサービスをみると、「結婚式出席」(友人、親族、会社関係者などの代わりに結婚式に出席など。新郎や新婦の代行もあるそう)「両親代行」(両親の代わりになって恋人に会ってもらうなど)の他、「舞台やライブ観客のサクラ代行」(空席をつくりたくないイベントに観客として参加など)、「謝罪代行」(謝罪しなくてはいけない相手に謝罪を代行など)などさまざまな代理・代行のサービスがあります。
しかし、親族のふりをして結婚式に出たりするのには、演技力が必要ではないでしょうか? どんな人たちがファミリーロマンスのスタッフになっているのでしょうか?
「年齢的には下はゼロ歳から上は85歳までさまざまなスタッフが登録しています。多い年齢層は20代中盤から40代前後でしょうね。社会人なりたての方から役職が付いて中堅になったビジネスパーソンというところですか。男女比は女性がちょっと多くて6割ぐらいです」(石井さん以下同)
演技力が必要だと思うのですけど? 役者さんとか?
「基本的には役者さんではない素人の方が多いです。サービス開始当初は、演じることがうまい人、つまり役者さんがいいと思っていたのです。ぼくがもともと役者だったので」
そうなんですか! 役者さんだったんですね。
「ところがこのサービスをこなしていくと、大切なのは演技ではないんですよ。代理出席サービスとは脚本がないんです。役者さんとは脚本あってこそなんです。われわれのこのサービスは、スタッフ自身の人生経験が生かされる。演技力じゃなくてその人の『人間力』が大事なんですね」
ということは、シニア世代でもスタッフになれる?
「もちろんです。逆にシニア世代の方が安心できますね」
演技経験は求めていないということでいいですか?
「ぜんぜん求めません」
なるほど。今スタッフはどれぐらいいらっしゃるのですか?
「全国で1500名です」
稼いでいる人で、どれぐらいの月収になるのでしょうか?
「いろんなサービスがあるのですけど、すごく稼ぐ人で月30万円ぐらいいきますかね。最低報酬が時給2000円なんです。最低の業務時間が2時間。早く終わっても2時間分で4000円プラス交通費。
だいたい1回当たり5000円ぐらいが最低のランクです。あとは、案件によっていろいろオプションがあって、結婚式の代理出席だと余興をやったりスピーチをやったりで違ってきます。
あと謝罪代行だと専門的なものがあれば、高いときは1時間5万円という場合もあります」
初心者向けの代理出席サービスは観客代行
でもやはり初心者にはハードルが高く見えます。
「比較的初心者向きの代理出席サービスは『観客代行』でしょうね」
観客になるのですか?
「ライブとかセミナーに代理出席してもらいます。カンタンにいえばサクラですね。映像を撮るので空席はつくりたくない。あと、アイドルが出るけどチケットが売れていない。それで、レコード会社や事務所がアイドルに内緒で手配するわけです」
こちらの料金を同社のWebサイトで見ると、基本料金は8000円に、オプションで「ファンとしてサインを貰いに行く」は2000円、ファンとして花束を渡しにいく(花束代込み)は4000円とあります。
しかし「拍手や掛け声など盛り上げる演出」は無料なので、スタッフとして代理出席した人はがんばって盛り上げなくてはならないでしょうね。
代理出席サービスのスタッフにぜひとも守ってもらいたいことはなんでしょうか?
「ドタキャンだけはやめてほしいですね。大きな影響がありますね。あと、情が入りすぎるとうまくいかないということもあります」
代理出席サービスのスタッフになるには演技力は必要ないことです。石井社長によると、依頼人に喜んでもらえるのは何よりうれしいとのこと。もちろん秘密厳守は求められますが、いろんな場面に出会える副業のようです。
Text:藤木 俊明(ふじき としあき)
明治大学リバティアカデミー講師・副業評論家