通信教育課程にも支給される「JASSO給付奨学金」　支給の対象と支給手続きの方法とは

返済の必要のない給付奨学金は、経済的に修学困難な学生の進学を後押しする事を目的とした制度です。貸与奨学金の対象校であれば給付奨学金の対象になります。
 
そして、奨学金といえば、大学・短大・高等専門学校の通学課程の場合を想定しますが、実は通信課程も対象になります。
 
逆に、通学課程でも、奨学金の対象にならない大学もあります。
 

通信教育課程も対象

JASSO（日本学生支援機構）の給付奨学金は、通学の課程だけではなく、通信教育課程も対象になります。
 
通学課程の場合、新入学の4月から卒業するまで、毎月1回振り込まれます。
 
支給額は、自宅通学の場合、国立2万円、公立2万円、私立3万円で、自宅外はさらに1万円加算されます（自宅外の場合、証明書が必要です）。
 
社会的養護を必要とする人は、自宅生でも自宅外通学の月額になります。また、国立で授業料の全額免除を受ける場合は、自宅生は支給停止、自宅外生は2万円に減額となりますが、給付奨学生の身分は継続します。
 
通信教育課程の場合、入学から卒業する年度まで年1回5万円の振込です。
 
ただし、通学先の学校を通じて、スクーリングの受講を申請しなければなりません。受講しなかった年度は、給付奨学金の振り込みはありません。また、通年スクーリングの年度は、通学課程として扱われます。
 
放送大学は、全科目履修生で面接授業を受ける場合が対象になります。「社会的養護を必要とする人」は、通学課程の場合も、通信課程の場合も、初回の振込時に1回限り、一時金24万円が加算され振り込まれます。
 

支給対象校、対象学科は限られる

給付奨学金に採用候補者となった人が、対象の学校に進学しないと支給されません。ただし、正規の学籍で在籍する場合に限ります（科目履修生や聴講生は対象外です）。
 
専修学校の場合、支給対象かどうかが学科ごとに異なります。日本学生機構のホームページに対象学科一覧表がありますが、学校に確認することが必要です。
 
また、大学の付属施設、専修学校の高等課程・一般課程、高等学校の専攻科・別科、そしてその他の学校も対象外です。
 
例えば、自治医科大学（医学部）、学校教育法によらない学校（語学学校、職業訓練校、防衛大学校、警察大学校等）等です。
 

奨学生としての自覚を持つ

進学先が決まったら、進学先の学校に「採用候補者決定通知」を提出し、引き替えに交付されたID・パスワードで、「進学届」を機構にインターネットで届け出ます。期限内に届け出ないと、採用候補者の権利を失います。
 
そして、学校が定める期間内に「誓約書」を提出します。期限内に提出がなければ、採用時にさかのぼって奨学生の身分を失います。振込済みのものは返金となります。
 
年に2回の「在籍報告」をしなかったら支給終了となり、「給付奨学金継続願」を期限内に提出しなければ、年度内で終了します。
 
そして、「給付奨学金継続願」の提出後、大学より奨学生としての適正が保たれていることが確認され、機構に報告されます。
 
ここで、成績不振・学校処分により奨学生としてふさわしくないと認定された場合、廃止となります。
 
成績不振にやむを得ない理由（病気等）がない場合、学校処分の除籍・退学・無期停学・3カ月以上の停学となった場合、返還が必要となってしまいます。
 
給付奨学金は、優秀な学生で経済的に修学困難な学生の進学を後押しするためのもので、貸与奨学金とは違って返済の必要がないものとなっています。
 
国庫が財源になっています。このため、給付奨学生として採用されたら、自覚を持ってしっかり勉学に励みましょう。
 
Text：林 智慮（はやし ちりよ）
CFP®認定者
相続診断士　
終活カウンセラー　
確定拠出年金相談ねっと認定FP