更新日: 2019.05.17 その他

定年後、中小企業の「顧問」として働きたい大企業経験者必見 リタイア世代と企業をつなぐ公的支援制度とは

定年後、中小企業の「顧問」として働きたい大企業経験者必見 リタイア世代と企業をつなぐ公的支援制度とは
大企業に長く勤め、定年を迎えます。
 
しかし、定年後も自分が身につけた仕事の知識や経験を生かしたい。ボランティアではなく、多少の報酬ももらいたい。
 
できたら企業の顧問として、週に一度ほどのお手伝いに行くぐらいのペースで働きたい。でも、どうやったらそんな風になれるのでしょうか? 
 
特別なコネや技能がなくても、大企業での一定の経験があれば、シニア世代と中小企業をつないでくれる公的制度があります(関東地区中心)。
 
関東経済産業局のマネジメントメンターという制度です。
 
藤木俊明

Text:藤木俊明(ふじき としあき)

副業評論家

明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。

国が支援するシニア世代と企業とのマッチング制度

関東地方を中心に、地銀、信用金庫、信用組合などの金融機関が、定期的に「新現役交流会」という、マッチングイベントを開催しています。この「新現役」というのは、「マネジメントメンター」とほぼ同じ意味で、大企業をリタイアあるいはそろそろリタイアするシニア人材のことだと思ってください。
 
関東経済産業局のホームページからマネジメントメンターに登録し、この「新現役交流会」(ほぼ毎月関東地方や東海地方などで開かれています)に参加すると、メンター(アドバイスをくれる人材)を求めている中小企業を紹介されます。
 
参加するためには費用はいりませんが、交通費は自腹です。だいたい金融機関の大会議室や地域の公共施設が会場になります。
 
いろんなメンターが求められていますが、筆者の体感値では「生産管理」「人材採用・開発」「海外展開」「マーケティング」「経営戦略」などが多く求められているようです。
 
交流会に参加すると、後日金融機関から、「中小企業と引き続き面談していただきたい」という連絡を受け取ります。連絡が来ないときはマッチング不成立です。
 
そして中小企業に訪問して、「具体的にどのようなサポートができるか」ということを詰めます。この打ち合わせについての交通費は支給されます。話がまとまったら、本格的に中小企業のサポートに入ります。
 

時給5000円で中小企業を3回サポート、のち顧問契約へ

中小企業へのサポートは最大3回訪問して行います。1時間当たり5000円(税別)×時間と交通費がもらえます。1回当たり3時間サポートを行うとすると、1万5000円(税別)+交通費です。
 
この報酬は、中小企業からではなくて公的予算から支払われます。もちろん、何社か掛け持ちしても良いのです。
 
最大3回支援のあと、中小企業から希望があれば顧問契約の相談に入ります。ここからは、民間同士の契約となります。
 
マネジメントメンターを足がかりにして、中小企業との顧問契約を締結するわけですね。むろん、話が進まず3回で終わりの場合も多いです。
 

多少煩雑な事務処理が必要

マネジメントメンターに登録できるのは、「ほぼ50歳以上」「中小企業の特性(大企業とはいろんな意味で違うこと)をよく理解し、ボランティア精神があること」「1つの専門分野に通算してほぼ10年以上の経験があり、実務支援能力があること」「中小企業を支援するのに健康状態の問題がないこと」「反社会的勢力でないこと」と関東経済産業局のホームページでは定めています。
 
ただし、マネジメントメンターへの登録、交流会への参加、事務連絡のシステムへの登録、活動記録のシステムへの登録など、ある程度パソコンの操作知識とかなり多くの書き物が求められます。大企業経験者なら問題ないはずです。
 
ちなみに筆者もマネジメントメンターに登録しており、中小企業2社の顧問をしています。顧問料は、やはり時給5000円(税別)とさせてもらい、現在、月に数万円の収入です。筆者の場合副業ですね。
 
でも報酬そのものより、「ああ、自分の知識や経験が役に立っているな」と感じられて、とてもうれしいものです。
 
現在、関東だけでなく全国的に取り組みが広がっていますので「マネジメントメンター」または「新現役交流会」で探してみてください。
 
Text:藤木 俊明(ふじき としあき)
明治大学リバティアカデミー講師・副業評論家

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