更新日: 2023.02.12 子育て

【2023年4月から】「出産育児一時金」が42万→50万に! でも「産院も値上げ」って本当?

【2023年4月から】「出産育児一時金」が42万→50万に! でも「産院も値上げ」って本当?
2023年4月から出産育児一時金が42万円から50万円に引き上げられます。これほどの引き上げは過去にありませんでした。これから出産する人にとっては朗報ですが、喜んでばかりいられないかもしれません。
 
というのは、産院の利用者などの間で出産費の値上げが話題になっており、「出産育児一時金が総額になっても産院も値上げなら意味がない」という意見もあるためです。本記事ではその内容を検証します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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出産育児一時金とは何か?

出産育児一時金は国による保険給付の一つで、出産前後の経済的負担の軽減を主な目的としています。
 
・出産育児一時金の概要
出産育児一時金は、国民健康保険や健康保険などの被保険者かその人の被扶養者が出産(妊娠85日以上の早産、死産、流産、人工妊娠中絶を含む)した際に、一定金額が支給される制度です。
 
現在の支給額は原則、胎児1人につき42万円(本人支給分40万8000円、産科医療補償制度の掛金分1万2000円)ですが、2023年4月からは50万円に引き上げられることが決定しています。
 
・出産育児一時金の仕組み
出産育児一時金には「直接支払制度」があります。この制度を導入している産院で所定の手続きをすれば、市区町村や「協会けんぽ」から産院へ一時金が直接支払われるため、妊婦は多額の出産費用をあらかじめ用意しておく必要がありません。
 
費用が一時金を上回った場合は不足分を窓口で支払う必要がありますが、逆に下回った場合は住所地の市区町村か協会けんぽへ申請すれば、その「差額分の支給」が受けられます。なお、直接支払制度を希望しない場合は、出産後に住所地の市区町村や協会けんぽへの申請が必要です。
 

出産育児一時金を50万円に引き上げる理由

「出産育児一時金の2023年4月からの引き上げ」は、2022年12月10日の岸田内閣総理大臣記者会見で発表され、12月15日の厚生労働省社会保障審議会で了承されました。
 
・出産育児一時金が引き上げられた理由
厚生労働省によると、2021年の出産費用(妊婦合計負担額)は47万3315円となり、この10年間で5万7000円近くも増加しています。そのため、現在の出産育児一時金では、妊婦は5万円超も自己負担しなければいけません。国が出産育児一時金の大幅な引き上げに踏み切ったのには、このような背景が大きく関係しているようです。
 

産院が値上げをしているという情報は本当か?


出産育児一時金の引き上げを見越したように、産院の出産費が値上げされているという情報があります。一部の産院では「増額分である8万円も値上げしていた」という利用者による情報もありますが、このような話は本当なのでしょうか。
 
・出産費を値上げしている産院は少なくない模様
「産婦人科医院 値上げ」で調べてみると、全国各地の産院が出産費の値上げの発表を確認できます。値上げ幅は、5000円、1万2000円、3~4万円など、産院によって異なります。そのため、利用者の情報にある「8万円の値上げ」もあり得ない話ではないでしょう。
 
・値上げの理由
各産院が値上げの理由として挙げているのは、世界的なエネルギー価格の高騰による「光熱費の上昇」、円安による医療機器、医薬品、食材などの値上がりです。医療機関では電気の消費量が多く、医療機器や医薬品などの多くは輸入品のため、電気料金の上昇や円安による物価高の影響を比較的受けやすい業界なのかもしれません。
 
・国は出産費の「見える化」を推進
分娩は自由診療のため公的医療保険は適用外です。公的医療保険の対象であれば産院独自の値上げは起きないことから、適用を求める声は少なくありません。ただ、現時点で国にその考えはないようです。
 
その代わりに、産院の出産費を「見える化」する方針を示しています。誰もが事前に各産院の出産費を把握できるようにすることで、利用者による比較検討を可能にしようというのが主な目的のようです。
 

産院は出産費を事前に問い合わせたうえで利用しよう

2023年4月から出産育児一時金の引き上げが始まります。当一時金は、国民健康保険や健康保険の被保険者やその人の被扶養者が出産(妊娠85日以上の早産や死産などを含む)した際に、一定金額が支給される制度です。
 
現在の金額は42万円ですが、2023年4月からは50万円に引き上げられます。その一方で、出産費を値上げする産院が少なくありません。昨今の電気料金の高騰や円安による物価高が主な理由ですが、大幅な値上げをしている産院もあるようなので、出産費を事前に問い合わせておくと安心です。
 

出典

厚生労働省 出産育児一時金について
厚生労働省 医療保険制度改革について
首相官邸 岸田内閣総理大臣記者会見
全国健康保険協会 子どもが生まれたとき
調布市 国民健康保険加入者が出産したときの出産育児一時金
壬生町 よくある質問集
大阪市 出産育児一時金
大阪府 対策一時支援金について
東京都 東京都医療機関物価高騰緊急対策支援金
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 

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