更新日: 2023.02.09 子育て

春からお子さんが幼稚園や保育園などに通園する方へ-無償化についてしっかり確認しよう!

春からお子さんが幼稚園や保育園などに通園する方へ-無償化についてしっかり確認しよう!
2019年10月から始まった「幼児教育・保育園の無償化」は、所得による適用の可否や自治体独自の取り組みなどもあり情報があふれていて分かりにくいのが現状です。「結局、わが家の場合はどうなの? 」という声も聞かれます。
 
この春からお子さまが幼稚園や保育園に通う家庭も多いことでしょう。いま一度、制度の概要とタイプ別の無償の範囲について確認しておきましょう。
大竹麻佐子

執筆者:大竹麻佐子(おおたけまさこ)

CFP🄬認定者・相続診断士

 
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での業務を経て現在に至る。家計管理に役立つのでは、との思いからAFP取得(2000年)、日本FP協会東京支部主催地域イベントへの参加をきっかけにFP活動開始(2011年)、日本FP協会 「くらしとお金のFP相談室」相談員(2016年)。
 
「目の前にいるその人が、より豊かに、よりよくなるために、今できること」を考え、サポートし続ける。
 
従業員向け「50代からのライフデザイン」セミナーや個人相談、生活するの観点から学ぶ「お金の基礎知識」講座など開催。
 
2人の男子(高3と小6)の母。品川区在住
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表 https://fp-yumeplan.com/

これまでの経緯

子育て世帯への負担軽減を目的とした「幼児教育・保育園の無償化」(※1)は、2019年10月1日から施行されました。
 
消費税10%への増税のタイミングと重なり、読み書きや体力、コミュニケーション能力など幼児期からの生きる力を身につけること、安心して子どもを育てられる体制づくり、経済的負担の大きい幼稚園の利用料など、それまでの検討課題の解決策としてスタートした背景があります。
 
子育て世代にとって、無償化はうれしい制度なのですが、対象施設のタイプなどにより負担が発生する場合もあり、複雑で分かりにくいのが現状です。幼稚園や保育園選びは、自宅からの距離や教育方針など安心して預けられる環境を優先すべきですが、制度を理解したうえで、経済的なメリットも活用したいものです。
 

わが家は無償になる? ならない?

まずは、内閣府の「幼児教育・保育の無償化」の例を見てみましょう。無償化の範囲については、子どもの年齢や預け先、住民税非課税世帯かどうか等により負担が異なります。
 

子どもの年齢は?

「幼児教育・保育園の無償化」は、3~5歳までの子どもの幼稚園や保育園の利用料が対象です。
 
基本的には、小学校入学前の3年間分の利用料が無償になりますが、幼稚園については、満3歳から年少クラスに入園できる場合も多くあるため「入園できる時期に合わせて満3歳から」、保育園などについては「3歳時クラス(4月1日時点で満3歳)」と開始時期が若干異なります。
 

子どもが通う施設はどのタイプ?

「幼児教育・保育園の無償化」と言っても、そもそも、文部科学省所管の教育施設である「幼稚園」と厚生労働省所管の児童福祉施設である「保育園」では、設置目的も預かり時間も利用料も異なります。また、幼稚園であっても、子ども・子育て支援新制度の対象施設かどうかにより対応が異なりますので、タイプ別に無償の範囲を確認しておく必要があります。
 

住民税非課税世帯かどうか

「幼児教育・保育園の無償化」の対象は、基本的には、3~5歳までの子どもの利用料ですが、住民税非課税世帯の0~2歳の子どもの利用料も無償化の対象です。
 
上記3点からタイプ別に無償化の範囲をまとめると以下のようになります。
 

●幼稚園、認可保育所、認定こども園等の場合(地域型保育も含む)
3~5歳児クラスのすべての子ども、住民税非課税世帯の0~2歳児クラスの子どもの利用料は無償
幼稚園に通う場合、月額2万5700円を超えた利用料については自己負担
 
●認可外保育施設等の場合
3~5歳児クラスの利用料(保育料)が月額3万7000円を上限に無償。
0~2歳児クラスの子どもについては、住民税非課税世帯は月額4万2000円を上限に無償
 
●幼稚園の預かり保育(幼稚園の利用に加え、預かり保育を利用する場合)
利用日数に応じて、最大月額1万1300円までの範囲で無償

 
認可外保育施設等や幼稚園の預かり保育について、無償化の対象となるためには、利用者は就労等の条件を満たして市町村から「保育の必要性の認定」を受ける必要があります。
 

無償化の対象とならない費用

「利用料」には原則、通園送迎費、食材料費、行事費等は含まれません。急な出費に慌てぬよう、入園にあたって、月単位(もしくは年単位)での負担すべき金額について確認しておきましょう。
 

子どもが2人以上の世帯の負担軽減や自治体独自の取り組みも

子どもが2人以上の世帯では、保育園等を利用する最年長の子どもを第1子とカウントして、0~2歳までの第2子は半額、第3子以降は無料となります。(年収360万円未満世帯では第1子の年齢は問いません)
 
また、市区町村によっては、独自の取り組みをしている場合も多くあります。お住まいの自治体の制度を確認することをおすすめします。子育て世帯を応援する自治体に住み替えるという選択肢もあります。
 

東京都の取り組み~2023年10月より第2子の保育料無償化

2023年1月、東京都の小池知事は、所得制限なしで、0~2歳の第2子の保育料を完全無償化する方針を発表しました。現時点では、住民税非課税世帯を除いて、国または都の助成により、保護者は1/2を負担しています。東京都の動向とともに、他県や他の自治体への影響をふくめて今後の推移を見守っていく必要がありそうです。
 

まとめ

ネット上などでは、これまで保育料を払ってきた世帯から「ずるい」という声も聞かれますが、子育て世代にとっては、教育費は、日常生活費にも影響を与える大きな負担となります。長期的目線で支援すべき課題と言えるでしょう。なお、経済的な側面において、無償化は何よりですが、保育の質が低下しては本末転倒です。社会全体として注視していく必要も感じます。
 

出典

(※1)内閣府 幼児教育・保育の無償化について

内閣府「幼児教育・保育の無償化」

内閣府(制度早わかり表)

 
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士

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