更新日: 2023.02.08 その他

事務職で雇われたのに「俺のコップ洗っておいて」と言われました。やる必要はありますか? 地味に嫌なのですが…

事務職で雇われたのに「俺のコップ洗っておいて」と言われました。やる必要はありますか? 地味に嫌なのですが…
就職先や転職先で、事前に提示されていた業務内容と異なる作業を任された経験を持つ人もいるでしょう。本記事では事務職として雇われたにもかかわらず「洗い物もお願い」と言われたケースを取り上げます。
 
上司や先輩からこのように事務職以外の業務をお願いされた場合、応じなければいけないのでしょうか。本記事では、法律の観点も含みながら解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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労働基準法を確認しよう

事務職で雇われたにもかかわらず、事務作業とは関係ないと思われる「洗い物」をお願いされた際、まず確認しておきたいのが「労働基準法」です。労働基準法15条には「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」とあります。
 
本記事では業務に関することのため、ポイントは「その他の労働条件」となります。ここでさらに確認したい点が、労働基準法を基に定められている「労働基準法施行規則」です。
 
この労働基準法施行規則5条1項に、使用者が労働者に対して「明示しなければならない労働条件」として「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項」とあります。
 
つまり、雇用する際には企業は労働者に対して具体的な業務内容を明示する必要があり、言い換えれば、それ以外の業務を担わせることは基本的にはNGとの解釈が可能です。また、労働基準法の第15条には、明示された労働条件が事実と異なる場合、労働者はすぐに労働契約が解除できるという趣旨の記載がある点も押さえておきましょう。
 

洗い物をする必要はある?

労働基準法とそれを基に定められた労働基準法施行規則を確認したところで、実際に、事務職として雇われた人が洗い物もする必要があるのかについて考えてみましょう。求人や雇用契約書に業務内容として「洗い物」の記載がないことを前提とします。
 

・洗い物が必要な理由を確認

そもそも、洗い物をしなければならない理由を考える必要があります。もし仮に、自分の使ったコップやグラス等を洗うように言われたのであれば、それは応じるのが一般的です。
 
一方で、上司や先輩などが使った食器を洗うように言われた場合は、応じる必要はないでしょう。「まれ」にではなく、他人が使った食器やグラスを毎日洗うように頼まれてしまったら、なおさら断っても問題ありません。自分が使っていない食器を洗う「合理的な理由」が見当たらず、ましてや事務職とは一切関係のない業務となるためです。
 

・自分が受け入れられるかを確認

洗い物をする合理的な理由が見つからなかったとしても、それを「仕事の一部」だと割り切れれば応じても構わないでしょう。給与が変わらないのであれば、受け入れられる人もいる可能性があります。
 
また、「断ることで職場に居づらくなるよりは応じた方が無難」だと判断し、洗い物を受け入れる人が出てくることも考えられます。自分が受け入れられるかどうかを確認した上で最終的な判断を下すことが重要です。
 

提示条件等と大幅に異なるときは相談を

事務職で雇われたため「洗い物」の業務を受け入れることはできないと判断したのであれば、しっかりと断りましょう。事前に明示された労働条件に含まれない業務を任された場合は、労働者側の判断で即契約の解除が可能です。
 
断った際にパワハラやいじめなどを受けたり、辞めたいと申し出たのに辞めさせてもらえなかったりした場合には、労働基準監督署などへ相談する必要があります。洗い物に応じないのであれば給与を減額するなどと言われた場合や、給与から不当な天引きをされた場合も同様に、早期に相談しなければいけません。
 

事務職で雇われたのであれば「洗い物」をする必要はない


 
労働基準法や労働基準法施行規則をみれば、事前に明示された業務以外の仕事をする必要はないと解釈できます。自分自身で受け入れられれば応じても構いません。
 
しかし、事務職で雇われたにもかかわらず「洗い物」を任される理由がわからず受け入れられないのであれば、一切応じる必要はないでしょう。パワハラや給与減額などトラブルへと発展しそうな場合は、労働基準監督署への早期の相談が求められます。
 

出典

e-Gov法令検索 労働基準法 第15条
e-Gov法令検索 労働基準法施行規則 第5条第1項
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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