更新日: 2023.02.03 その他
20代で中古外車は「『投資する』価値が高い」? オーナーの考えとは?
毎年、1月にソニー損保保険株式会社がその年に成人する若者1000人を対象に実施する「2023年 20歳のカーライフ意識調査」(調査対象:2002年4月2日〜2003年4月1日生まれの男女1000名)によると、「車を購入するつもりはない」と回答した人は23.6%にのぼる。また、欲しいと思う車種のトップには「アクア(トヨタ)」が輝くなど、国産自動車の人気も高い。
税金やガソリン価格の高騰など、自動車オーナーにとっては厳しい要素が増え続ける中、Aさんは20代で初めての自動車購入に「中古外車」を選択した。「国産と比べても、『車を持たない』という選択と比べても、外車は意外とコスパが良い」と語るAさんの考えとは?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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車の購入・維持費と生じる『機会』をてんびんにかける
Aさんは千葉県在住で都内のIT企業に勤める29歳の男性だ。26歳のときに当時で8年落ち走行距離5万kmの外車のクーペを、現金一括で約100万円で購入した。当時は年収250万円程度だったという。
「会社までは電車通勤ですし、スーパーなどもアパートから徒歩10分圏内。正直言って車は『生活必需品』ではありませんでした。ただ、それでも私にとって車を持つことで生まれる『機会』の方が、現金100万円と維持費よりもよっぽど価値があるんじゃないか、と試したくなったのです」
新卒で入社して以来、Aさんは家と会社の往復の毎日で、休日は家でVODの映画やアニメ視聴、ネットサーフィンなどを繰り返す「コスパの良い生活」を送っていた。しかし、あるとき「入社時と全く同じ生活しかしていない」ということに気付いた。
「活動的な性格の人は、きっと自分で計画を立てて何か新しいことや人に会うためのチャレンジをすると思います。ただ、私は元来、面倒くさがりな人間なので、思い立ったときやモチベーションがあるときに、気になった場所などにいける『環境』を作らないといけないと思いました。その最たる手段が『車』だったのです。22~26歳で一切得られなかった刺激や経験を得られるなら、十分に『投資』できると思いました」
シェアカーやレンタカーも考えたが、これまでその手段が身近にあったものの活用しなかったということは、「理想的な環境ではない」と判断した。そして実際に車選びをスタートし、一般的には避ける人も多い「中古車の外車」という選択をした。
年間30万円分の維持費をかけても得たい、価値のある「機会」とは?
Aさんはまず、自身の家計の収支と貯金、車の所有にかかる維持費から車の予算を算出した。
Aさんは生命保険などには一切入っておらず、毎月、3万円ほど貯金していた。預金額はもろもろを含めて200万円台後半だった。一方、維持費の項目は以下のとおりだ。
■維持費
●自動車税
●車検費用
●任意保険料
●メンテナンス費
●ガソリン代、高速道路料金
●駐車場代
「年間の維持費をもろもろ入れると30万円を超えるのは少し驚きましたね。もちろん、車検の時期によって年差はあるでしょうが、70歳まで所有すれば維持費だけで1000万円を超える可能性もありますから。とはいえ、私にとって車は生活必需品ではないので、年約30万円分の価値のある『機会』を回収できればよいと考えました」
具体的にAさんが考えた、外車を持つことで得たい「価値のある機会」は以下のとおりだ。
■価値のある機会
●ゴルフや釣りなど、その場にいけないと楽しめない趣味(=通いやすくなる)
●今ままであったことない価値観を持つ人とのつながり(=車が趣味、好きな人)
●異性とのつながり(=デートに誘いやすくなる)
●車載動画やブログなどの発信
「かなり煩悩があふれていますよね(笑)。でも、これらすべてに『チャレンジ』するなら、きっと車を所有するしかないと思うんです。異性との出会いや距離の縮め方はほかにもたくさん方法はありますし、新しい趣味についても『連れて行ってくれる人』を探せばいいだけかもしれません。ただ、車を持てばそのハードルがぐっと下がるし、能動的に好きなタイミングで動きやすくなると思って当時はすごくワクワクしました。そして機会を最大化するのであれば『中古の外車』が一番だと考えたのです」
中古の外車選びのコツは「諦めること」
外車の中古車といえば、国産車よりも壊れやすく、部品代が高いため維持費もかかり、安全面などの不安があるというイメージが持たれやすい。ただ、それを差し引いてもAさんにとって中古の外車は魅力的な「投資対象」だった。
「まず、やっぱりカッコいい。外車に乗ればモテるとは思いませんが、私自身が『女性を乗せたい』と『同僚に見てほしい』といったモチベーションを抱けるのは、価値のある『機会』を増やす重要な要素だと考えました。それに国産車と比べると値下げ率も大きく、3年落ちで3割以上プライシングされていることもありました。もちろん、それでも100万円では買えませんが(笑)。ただそれでも、軽自動車を中古で買うよりは『ベンツ』や『BMW』という看板を掲げられる分、お得感は非常に大きいと思いました」
一方、中古の外車を100万円程度で買うには、諦めなければならないこともたくさんあった。上記に挙げたコストのほかに「絶対に手が届かない新型車」や「堅実に生きているというAさんに対するイメージ」はなくなった。ただ、それ以上に現在、Aさんは車を購入することで大きな価値のある「機会」を回収できていると語る。
「会ったことのない人に出会えるほか、プライベートであっても能動的に動ける自分、『仕事ができないくせに外車を買った』と言わせないために業務をがんばる自分など、中古の外車を買うことで、少なくとも初期コスト分は回収できたと思っています。逆に今後、うまく活用できなくなると『維持費が高すぎ』といった理由で手放してしまうかもしれないので、そうならないようにがんばっていきたいですね」
「2023年 20歳のカーライフ意識調査」では、「車を所有している大人はかっこいいと思う」と思う人が53.4%ということが明らかになっている。さらに男性が欲しい車の3位には「BMW」がランクインしており、車への憧れや外車の人気はまだ根強い傾向もある。
車の価値観、所有する意義も多様化しており、その目的によって新車、中古などベストな選び方もたくさんあるため、改めて「自分にとっての車」の価値を考えてみてはいかがだろうか。
出典
ソニー損害保険株式会社 2023年 20歳のカーライフ意識調査
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部