更新日: 2019.05.17 その他
20代に始めると差がつく国の制度はどれだ!?あなたはどの制度を選ぶ?
そんな、未来への夢いっぱいのこの時期に始めたら、大きな差がつく国の制度を知っていますか?以前、紹介させてもらった国民年金の手続きはしましたか?
今回は20代になったら、使わないともったいない国の制度、NISA,つみたてNISA、確定拠出年金iDeCoについて紹介します。
いったいどれから始めたらいいのと思っている人も多いことでしょう。もしあなたが使ったらどうなるのか、一緒に考えてみてください。
Text:木田美智子(きだ みちこ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
確定拠出年金相談ねっと認定FP、DCアドバイザー、証券外務員内部管理責任者、相続士、金融知力インストラクター、FP未来への扉(幹事)、SANWA DCサポート代表。
確定拠出年金iDeCo、NISA、つみたてNISAはなぜ誕生したの?
少子高齢化といわれて久しいですが、「ライフシフト100年時代の人生戦略」という本の中で紹介されている言葉が印象的です。
「平均寿命という極めて重要な基準で、日本は世界のトップに立っている」という言葉です。時間軸で幸せな国と紹介されています。
特に、20代のあなたは100歳まで生きることを考え、この長くなった時間をあなたらしく過ごすためのプランが必要になってくるでしょう。
皆さんのように学び、そして社会人として活躍することはとても重要なことです。生きがいを持ち長くなった人生を、豊かに暮らしていきたいものです。
そのために必要になってくるのが経済力です。人生が長くなった分、より多くの経済力が必要になったわけです。
リタイアし、働けなくなったあとの経済のことを考えたことあるでしょうか。おそらく、私がそうであったように、遠い未来で年金があるから大丈夫、と安易に思われているのではないでしょうか。
また不安を抱く人も増えていると聞きます。今のマイナス金利の下では、預貯金で準備するには大きな金額が必要です。10年で2倍になった頃とは大きく異なります。
年金について考えてみましょう。これからの長寿時代に、若い世代からの仕送り方式になっている国の年金制度は、若い皆さんへの負担が大きくならないようにするため、年金額の減額や、年金受取り開始年齢を遅くするなど検討されています。
年金が少なくなった時の生活費を、どのようにカバーしていくのか考えておく必要があるようです。この準備期間は長いほど効果的で、負担が軽くなるでしょう。
国は皆さんが困らないように、将来の経済力を持てるようにと用意してくれた制度こそ確定拠出年金iDeCo、NISA、つみたてNISAなのです。これから長い人生を豊かにするための経済力を、国の力を借りて作っても良いのではないでしょうか。
確定拠出年金iDeCo、NISA、つみたてNISAを使うとどんなことが起きる?
社会人になって給料をもらうようになると、国民の義務として所得税、住民税、社会保険料など給与から支払うようになります。
その税金がどれくらいかかるのかを理解し、きちんと説明できる人は少ないでしょう。会社が皆さんに代わって計算し納めてくれます。皆さんは自動的に計算され、税金や社会保険料を差し引かれたものを受け取っているからです。
大学卒の初任給の平均は約20万円です。
所得税は3770円(源泉所得税扶養なしで計算)
住民税は翌年から
厚生年金保険料 1万8300円
健康保険料9900円
雇用保険料600円
初年度 合計3万2570円
(全国健康保険協会管掌健康保険料より試算)
会社によってはそのほかに、互助会、組合費など引かれるところもあったりします。会社の手当などさまざまですので、手取りは17万円前後が多いようです。
税金や社会保険料を引かれたあとの手取りは、思ったより少ないと感じるのではないでしょうか。
確定拠出年金iDeCoは、20歳から60歳になるまで加入できます。国民年金や厚生年金で掛け金を納めている人が対象です。
そして、掛金が全額所得控除、加入中の運用益が非課税、受取りも退職所得控除または公的年金控除という優遇がついている、60歳以降のお金を貯めるために作られた制度です。
60歳まで降ろせないということが決められていて、それまで開かない金庫に入ることになります。金庫の中では自由に投資信託を売り買いしたり、時には定期預金で休ませることもできます。
あなた専用の金庫でお金が育てられて、60歳から70歳までの好きな時に開けられます。その間ずっと税金が引かれません。
もしあなたが、確定拠出年金iDeCoに加入して毎月1万円積み立てしたら、1万円の給料に対しての所得税は所得控除によりかかりません。
翌年以降差し引かれる住民税が1万円に対してかかりません。結果として15%の税金を払わなくて済むことになります。
1万円に対して1500円となります。将来給料が上がり所得税を20%払うようになった時には2000円税金を支払わずに、将来の自身の備えとすることができます。
それを20歳から40年間続けたとしたら、15%の税率で72万円、20%の税率で96万円です。これは1万円積み立てとしての計算ですから、2万円だったらその2倍、3万円だったらその3倍と大きくなります。
積立額の合計も1万円で480万円、2万円で960万円、3万円で1440万円となります。確定拠出年金iDeCoは、節税しながら60歳以降使うためのお金を自分でこつこつ作っていくタイプの制度となっています。
加入の申し込みも、加入中の運用も、受け取りもすべて自身で決めて手続きを行っていくことになります。
まだ知らない人も多いので、まわりに影響されず調べながら手続きすることをお勧めします。加入の際にかかる手数料は、金融機関ごとに違うことも知っておきましょう。
次にNISAについて紹介します。
この制度は、投資信託や株式などで資産形成する人の分配金や売却益などを、1年間に120万円まで、5年間非課税にしてくれる制度です。
2014年から2023年の期間限定商品です。今の時代、大学生でも投資を学びます。なかには大きなお金を取引している人もいます。そのような人にはこの非課税金額の大きさはメリットといえます。
まとめて120万円は大きな金額ですから、毎月10万円ずつ1年間積み立てするということも可能です。NISAを選んだあなたは、株式を購入して配当金を非課税で受け取り、100万円で購入した株式が5年後150万円になったとしたら50万円の利益はすべて非課税で受け取れます。
一般口座なら50万円から20.315%の所得税が引かれます。約10万円を支払わずに、増えた分を全額受け取ることができます。
これはとてもうれしいことです。だたし、損した時には損益通算は行われずそのままになる、というデメリットもあります。
そして、2018年1月からスタートしたつみたてNISAは、貯蓄から資産形成へという、少額からの積立投資を応援する制度として誕生しました。
2018年から2037年までの20年間の期間限定商品です。年間40万円まで積み立て形式で貯めていくことができます。
運用商品は、金融庁厳選の投資信託の中から金融機関ごとに選んでいます。商品数や取扱商品が異なりますから、自分にあった金融機関を選んでいくことになります。
積立金額は1000円から自由に決められます。無理のない範囲ではじめ、払い出しも自由です。毎月コンビニで買うおやつ代、カフェのお茶代など2、3回をちょっと我慢して、つみたてNISAで投資信託を購入することもできます。
なにしろ1日100円節約しても1月で3000円が貯められます。3000円投資で20年積立したら、元本では72万円貯められます。
過去20年の実績で日本の株式・債券そして、外国株式・債券に4つに分散投資した場合で4%の運用ができています。
3000円積立で貯められた72万円は、もし3%なら98万円、4%なら110万円になります。現在の0.01%の定期預金ではたった717円しか増えませんが、つみたてNISA投資で大きく差をつけることができます。
あなたはどの制度を選びますか?
多くの人が始めやすいと感じるのは、つみたてNISAではないでしょうか? 始めるのもやめるのも自由。払い出しもいつでもできてしまいます。
結婚、出産、家の購入など、たくさんのイベントを控えている皆さんが、資産づくりをこれからしていくにあたって資産運用の知識が身に付き、自身で働いて得た収入以外の資産を、お金に働いてもらって得ることができます。
皆さんは20年後はまだ40代です。人生の半分までまだ行きません。そんな皆さんだからこそ、こつこつ積み立ての資産運用の力を身につけることができたら、資産形成に大きく役立つことでしょう。
アメリカ人は過去20年間で、こつこつ積立投資の方法で資産を約3倍に増やしています。若い時間をたくさん持つ皆さんだからこそ、その時間という最大のメリットを生かし、資産形成をしてみてはいかがでしょうか。
そのために、少ない金額から始められるつみたてNISAは最適です。
そして、資金力のある人、株式投資を始めてみたい人には、NISAを選ぶこともできます。つみたてNISAとNISAはどちらか1つしか選べません。
確定拠出年金iDeCoなら、どちらと組み合わせても大丈夫です。人生後半のあなたのために、オリジナル金庫を合わせて持ち、節税のメリットを生かしていくのも良いのではないでしょうか?
確定拠出年金iDeCoについてわからないことがあったなら、私たち確定拠出年金相談ねっとのメンバーにお気軽におたずねください。
Text:木田美智子(きだ みちこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者